第17話 初めての魔法

 「おはよ」

 「おはよー」


 顔を洗い、いつもの服に着替えポーチを腰に着けると、昨日作ってもらった短剣もポーチのベルトに差していく。準備できたら朝ご飯を食べていく。


 「パンと果実ばっかりだね…早くお金なんとかしないとね」

 「そうだね。でも美味しいよ?」

 「うん」


 朝ご飯を食べ終わり、そろそろ出掛けようと部屋を出て宿屋の受付まで向かうと宿のおかみさんと会う。


 「おや?もう出るのかい?」

 「はい。お金なんとかしないと…」

 「お金稼ぐのは大変だけど頑張りな」

 「うん」


 このままだと何も出来ないので、冒険者ギルドに向かうことにした。

 冒険者ギルドに着くと受付のヒルデから…


 「2人は魔力をお持ちなんですよね?今日、魔法訓練ありますけど受けられますか?」

 「受けたいけど…お金なんとかしないと、今日寝るとこもないんです」

 「それなら、訓練後に昨日のお手伝いしますか?お宿代にはなるよ?」

 「おぉ~お願いします」

 「はい。では、訓練終わるまでに用意しておきますね」

 「ありがとう」

 「では、今日の訓練も隣の建物になります」

 「はぁい」


 魔法訓練の日だったらしく、リリスたちにも誘ってくれた受付のヒルデ。

今日のお宿代が無いと言うと…なんとお宿代も解決してくれた。

 2人は隣の建物に向かい、壁際のベンチに座って待っていると…ぞろぞろと大人の男性1人とリリスたちより年上の男女が入ってくる。


 「集合!私はここのギルドのサブギルドマスターのガビノだ」


 サブマスは自己紹介を始め、「スキル」と「魔法」の説明を始めた。

この世界のスキルと魔法は…

 スキル:練習することで一定のレベルまでは使えるが失敗することもある、必要ステータスが足らないと「スキル」になることはない。

 魔法:魔力があり適性属性を持っていても、必要ステータスが足らないと覚えることはできない。

 魔法で例えるなら、賢さステータスや最大魔力がこれに当てはまるため、同じ魔法でも使える人、使えない人がいる。スキルも同様、同じスキルでも使える人、使えない人がいる。覚えられる条件が揃うと頭の中に魔法(スキル)名が浮かんでくる。と、説明された。


 「ここに属性を調べる水晶がある。自分がどの属性に対応しているのか確認してくれ」


 訓練生たちは並んで順番に水晶に触っていく…

 リリス:火・風・闇・無の光が水晶玉の中で光っていた。

  リン:水・土・光・無の光が水晶玉の中で光っていた。

 「おお~あの子らすげ~4つも属性持ってるぞ」(訓練生全員)


 この世界には火・水・風・土・光・闇・無と7つの属性魔法があり、魔力があっても属性がいっぱいあっても覚えれない人は覚えれない!と念を押された。


 「魔力循環をすると最大魔力を上げることができます。魔力を上げるだけでも覚えられる魔法はあるので、今日は魔力循環からやってみましょう。覚えられる条件が揃うと頭の中に魔法名が浮かんできますからね~」


 リリスとリンがいつも通り、魔力を体の中でぐるぐると循環させるとリリスの頭の中にふわっと❮血の操作:網❯❮闇魔法:ダークボール❯と浮かんできた。リンの頭の中にもふわっと❮水魔法:ウォーターボール❯と浮かんできた。


 「やった。初めての魔法出てきた」

 「私も。頭の中に浮かんできたよ」

 「お2人ともおめでとうございます。魔力を持っている人は何をしなくても魔力を放出していますので、魔力循環は1度すればいいと言うわけではありません。毎日少しずつコツコツしていきましょうね」

 「は~い」


 魔力循環を繰り返しても魔法が覚えれない場合は他のステータスが足りていないとのこと、詳細なステータスを知るには❮超・鑑定❯というスキルが必要なこと、これは覚えるのにとても難しく今この国に1人しか使える人がいないと教えてくれた。魔法の訓練が終わり、ギルド受付のヒルデさんのところへ向かう。


 「お疲れ様。用意してあるよお願いね」

 「はぁい」


 今日のお宿代のため、お願いしておいたギルド荷物の配達を引き受ける2人。


 「ギルドからお荷物持ってきました~」コンコン

 「あいよ。ご苦労さん」

 「サインお願いします」


 ギルドに戻り、お宿代を依頼料としてもらい昨日泊まったお宿へ向かう。


 「おかみさん今日も1泊いいですか?」

 「はいはい。大丈夫だよ」


 宿のおかみさんに今日寝る部屋に案内され、寝る準備をする。


 「魔力ぐるぐるはちゃんと合ってた訓練だってわかったね」

 「ね~お姉ちゃんすごい」

 「本のおかげだけどね~」


 ポーチからパジャマを取り出し着替え、もう1度魔力循環させ体がポカポカしてくるとベッドに入り一緒に寝るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る