第14話 初めての町ナーレ

 妹ローラは教会に入り、リリスが使っていたであろうベッドを発見。

リリスのベッドに姉カーラを寝かし斬られた傷を治療し始める。


 「ヒール!ヒール!ヒール!」


 なんとか出血が止まり、傷も治っていく。顔色もよくなりホッとするローラ。

すぐには起きそうになさそうなので…何かないか部屋の中を探し始める。


 本棚に近づき…

 「あの子たち、全部持って行けたみたいね。あら?1冊残ってるけど…」


 ローラはリリスたちが忘れていった物だと思い、残りの1冊を触った。

 ガコッ!と音がなり、本棚が横にズレていく。現れたのは隠し部屋への通路、

ゆっくり中に入っていくと…そこにはベッドに横たわる白骨化したミイラ!


 「きゃあぁぁぁぁぁ!」


 ミイラを見たローラは壁に体をぶつけ、そのまま腰を抜かした。その時…何かにぶつかりバキッ!と音が…。と、同時に隠し部屋の出入口が閉まりローラは閉じ込められた!…どうやら、壁掛け燭台がこちら側からの出入口の仕掛けだったようだ。

 まだ気づいてないローラは腰を抜かしながらも部屋の様子を見る。


 「なに…この部屋。突き当たりのあれって…拷問で使う磔?床に落ちてるのは白い羽?…まさか、天使さま?」

 「まさか…リリスちゃんたちが?魔族?…早く戻らなきゃ」


 急いで起きあがり、隠し部屋を出ようと閉まっている扉に近寄るが開け方がわからない。足元を見るとポキッと折れている壁掛け燭台…これを見たローラは。


 「いやぁぁぁぁーお姉ちゃん!起きてー助けてー!」


 地下の隠し部屋なだけあり、窓もない上に防音もしっかりしていた。

ローラは助けを求め叫び続けるが、防音効果によってすぐ近くに寝ているカーラにも聞こえない…ローラは完全に閉じ込められた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 一方その頃、リリスたちは教えてもらった町ナーレの入り口付近までやって来ていた。


 「おっきな町だねぇ」

 「ね~美味しい物あるといいな」


 大きな町を眺めながら、てくてく歩き続け門兵がいる入り口まで到着。


 「ちっこい嬢ちゃんたち2人でどうした?」

 「私たち森にある教会に住んでたんだけど、昨日カーラさんとローラさんが疲れたから休憩させてって訪ねてきて~一緒にお喋りしてたんだけど…盗賊が教会に現れたの」

 「え?盗賊が?それであいつらは?」

 「わかんない。その盗賊たちこの子の村も襲ってたみたいで…追ってきた?ローラさんがあいつら惹きつけるから、その間に逃げなさいって」

 「わかった。冒険者ギルドと領主様に報告しないとな…」

 「町入ってい~い?」

 「…身分証…持ってないか。じゃあ銀貨1枚とこの水晶触ってくれるか?赤なら犯罪者、青なら…大丈夫だな」

 「一緒にギルド行こうか?連れてってやるよ」


 町の入り口にいた門兵に今までの出来事を簡単に説明すると、門兵も報告しないとだから連れていってくれることになった。

 門兵と一緒に冒険者ギルドに到着。ギルド内は入り口から突き当たりに受付カウンターがあり、左の壁に依頼書を貼り出す掲示板、右の壁は間仕切りが受付カウンター手前まで続いていた。受付の右は食堂に入るため間仕切り1枚分抜いた通路になっていた。


 門兵が受付のお姉さんにギルドマスターはいるか?と確認していると、お姉さんはギルド内の個室へ私たちを案内しここで待つよう言ってきた。しばらく待つとギルドマスターがやってきた…


 「待たせたなアダン。何かあったか?」

 「…アダンさんか」

 「ん?あ、わりぃわりぃまだ名乗ってなかったな。よろしくな」

 「うん。私はリリス、この子はリンだよ」

 「リンだよ」

 「お?嬢ちゃんたち偉いぞ。俺はこの冒険者ギルドのギルドマスター、ラウルだ。よろしくな」

 「マスター、この子たちついさっき町に来たんだけど、カーラたちが盗賊に襲われたって聞いて来たんだ」

 「詳しく教えてくれるか?嬢ちゃん」

 「うん。私たち森の中の教会に住んでたの、昨日カーラさんとローラさんがギルドで魔物討伐の依頼を受けてきたけど疲れたから休憩させて?ってきて~」

 「ふむ…それから?」

 「4人でお喋りしてると急に両開き扉をドンドンガンガン!叩く音が聞こえてきて。ローラさんが普通じゃない…だぶん盗賊だって。私たちが惹きつけるから逃げなさいって」

 「何でローラは盗賊だと思ったんだ?」

 「少し前にリンの村が盗賊に襲われて…たぶんリンの追手?」

 「なるほどな。わかった。後は大人に任せろ…嬢ちゃんたちギルド登録も済ましてくか?登録しとけば町の出入は無料になるぞ?」

 「はい。おねがい」

 「おう。用意してくるから待ってな」


 アダンとギルマスは今まで何があったか私たちに聞いてきて、もう安心していいぞ後は大人に任せろと言ってくれた。


 「ほれ?この紙に名前と年齢と得意なこと書いてくれるか?」

 「書けたよ」

 「リンも書けたよ~」

 「2人とも得意なことないのか?」

 「ないかも…気にしたことなかった」

 「うん。」

 「そうか…書かなくても登録は出来るからいいか。2人は魔力はあるのか?」

 「ポカポカのやつあるよ」

 「うん。暖かいやつあるよ~」

 「そうかそうか。じゃこの水晶に触ってくれるか?光の強さでだいたいの魔力の多さがわかる物だ」


 登録するために紙を渡され名前と年齢だけ書いて、紙をラウルに渡す。

次に魔力の確認をするから水晶に触ってくれ?と言ってきた。

 属性まで調べれる水晶は今、サブギルドマスターが領主様の呼び出しで持って行ってしまったらしく、今は魔力の多さの確認だけだという。


 「わるいな。本当なら属性まで調べれる物があったんだがちょうど今、領主のところにあってな」

 「いえ」

 「よし。2人とも魔力あるな…見習い魔法使いで登録しておくからな」

 「はぁい」

 「私は今から領主にも報告しに行くが、君たちはどうするんだい?」

 「ローラさんが実家を訪ねてって言ってたから言ってみようかと…」

 「そうか、なら俺がローラたちの実家まで送ってやるよ」

 「ありがと。アダンさん」


 ギルドへの報告とギルド登録が終わり、アダンがローラの実家まで送ってくれることになった。ローラたちの実家は町の大通りからそれて、中に入っていった所にあった。ローラたちの親にも説明してくれるアダン…ここでアダンとはお別れをし家の中に入っていく。


 「さぁさぁお疲れだったね。こんなものしか無いけど食べな」

 「ありがと」


 家に入れてもらい椅子に座らせてもらい、そのままパンとスープの夜ご飯を食べることになった。ベッドに案内される2人…ポーチから着替えをだし、リンと一緒に寝ることにした。

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