第13話 リンの追手

 「ドンドン!ガンガン!」


 私たちがこの世界のお勉強をしていると両開き扉からすごい音が聞こえてきた。


 「し~。」


 ローラが人差し指を口元に当て、私たちの部屋に連れていってくれた。


 「あの叩き方はノックじゃないわ。たぶん…さっき話に出てた盗賊の追手よ」

 「…リンの村を襲った人ら」

 「私たちがあの盗賊たちを惹きつけて、ここから遠ざけてあげるからここから逃げなさい」

 「え?でも、それじゃお姉さんたちが…」

 「よく聞いて。私たちがいた町に私たちの実家があるから、私たちの名前を出して訪ねなさい」


 ローラは逃げなさい。と私の手に地図とお金が入った革袋を持たせてきた。

 ローラは姉カーラの側に戻っていくと、カーラと目を合わせコクンと頷いた。

カーラたちはゆっくり両開きの扉を開けすぐに外に出る。


 「やはり盗賊、5人か…ついてきなさい。ここで戦ってもいいけど、これ見てわかるでしょ?あんたたちも瓦礫に埋もれるわよ」


 カーラはなんとか虚勢を張り、盗賊5人を惹き連れて森の中に入っていった。

 私たちはローラに言われた通り、荷造りを始める。


 「リン。はい、ウェストポーチ」

 「なんかちっちゃい鞄だね」

 「これはマジックバックっていって、信じられないほどの量の物がここに入れれるんだって。時間ないから適当に全部入れていって」

 「はぁい。わぁ~すごぉほんとに入ったぁ」


 まず、木箱にウェストポーチがあったのを思いだしリンに着けさせた。

このポーチはこの部屋1つ分の荷物をしまうことができるみたい。木箱はリリスしか開けられず、リリスが教会から離れると隠蔽がかかるそうなので安心して放置することにした。


 「木箱の中身すべてポーチに移し替えてっと…リン~本棚の本は私の方に入れとくから食器も少し入れてきて~」

 「はぁい」


 リンに隠し部屋を見せないように本棚にある錬金術関係の本もどんどん入れていく。


 「リン。ここ離れる前にお庭の草とか葉っぱも少し取っていこうか?あれお薬になるらしいよ」

 「うん。わかったぁ」


 2人はお庭で草や葉っぱを取りポーチに入れ、冒険者がここから来たという町ナーレに移動していった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その頃、カーラたちは盗賊たちとの間合いをしきりに確認しながら、森の中の少し拓けた場所についた。

 盗賊は5人…姉カーラが前衛、妹ローラが後衛で迎え撃つ。盗賊の中心となる人物は左目に眼帯をつけ、戦いなれてそうな筋肉もりもりの男性。


 カーラに眼帯をつけた男と他2名が向かってきた…と、同時にローラにも残りの2名が襲いかかる。


 「森で火は危険だけど私にはこれしか…❮ファイヤーボール❯」


 2人の盗賊に命中し怯みはじめる…カーラも眼帯をつけた男以外を怯ませた。

だが…カーラに向かってきた眼帯をつけた男は強かった。


 「く…強い」


 カンカンキンキンと打ち合いが続く中、一瞬のスキを見せたカーラはズバッ!と盗賊に斬られた!肩から腰まで斜めにズバッと斬られ、胸当ては真っ二つ、出血も酷かった。

 ローラが駆け寄ろうとするが盗賊4人に押さえつけられ動けない。


 「お姉ちゃん!お姉ちゃん!やめてー!」


 眼帯をつけた男がトドメを刺そうとカーラへ近づいていき…剣を振り上げた時!     ローラの後方からAランク級の魔物❮イヅモベア❯が現れ、ローラを押さえつけていた盗賊たちを次々と吹っ飛ばしていった。

 眼帯をつけた男は魔物の出現に呆然としていたところに、ローラから決死のタックルをくらい後ろにあった木にぶつかり気絶する。

 ローラはそのままカーラに駆け寄り、肩に腕をまわし教会まで運んでいった。

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