第12話 新しい出会い

 「コンコン」


 隣の広間の両開き扉をノックする音が聞こえる。

2人は顔を見合せてゆっくり広間へ向かい、両開き扉を開ける。


 「どなたですか?」


 リリスがゆっくり両開き扉から顔を出しながら聞くと、両開き扉を開けた先に若い大人の女性が2人立っていた。

 その姿は…布のシャツにスカート、革の胸当て、フード付きマント、革の手袋、ロングブーツ、腰には片手剣のロングソードを身に付けた赤い長髪の少し気が強そうな女性と、

 黒いローブ、ショートブーツ、ローブの襟から見えるシャツ、手には杖を身に付けた赤い短髪の気の弱そうな女性だった。


 「突然の訪問、申し訳ない。私たち姉妹はここから南にある町ナーレから冒険者ギルドの依頼で、この森の魔物の討伐をしにやってきました」

 「…冒険者ですか」

 「はい。慣れない森での魔物討伐で疲れていたところ、ここを見つけまして良ければ少し休ませてもらえませんか?」

 「いいですけど…何故ここに?」

 「この教会の…横の部屋かな?から魔力を感じまして、安全に休めそうだと思いましてね」


 私たちの知らない場所からやってきた冒険者の女性たち。

何故ここを選んだのかを聞くと…私たちの部屋だけ崩れていない理由がなんとなくわかった。(絶対ルシファー様だよね…)


 赤い長髪の気が強そうな女性は…

 「私はカーラ、隣にいるのは私の妹ローラです」

 「ローラです…」

 「私はリリス、この子はリンです」

 「リンです」


 2人を教会の中まで案内し、広間を通り私たちが使っている小さな部屋を見せた。


 「あら~可愛いお部屋ね」

 「さすがにこの部屋に大人2人入るのは…」


 小さな竈、小さなキッチン、横には水瓶、小さい椅子2つに小さいテーブル、これでもかってぐらいリリスたち用に作られたと思わんばかりの部屋に、大人2人は遠慮し始めた。


 「私たちは広間でいいよ」

 「ん?屋根あったりなかったりだし、壁も崩れかけだけどいいの?」

 「休憩しに来ただけだから落ち着ける場所があるだけでありがたいよ」

 「そっかぁ」


 てっきり部屋に入ってくるのだと思っていたリリス…広間に戻っていった大人にお水と果実を1つずつ用意してあげるのだった。


 「これどうぞ~」

 「ありがとー。2人はここに住んでるの?」

 「うん。最初は私1人だったけど、リンの村が盗賊に襲われちゃって…外の木で倒れていたのを助けてあげてからは2人だよ」

 「盗賊か…まだ近くにいるかも知れないわね」


 カーラは皮袋から地図を取り出し、今いる教会、町の場所、森の広さ、リンの村の場所など教えてくれた。


 「今いる教会はここね。私たちが来た町は教会から南に行ったここ。この森は人族が住む地と魔族が住む地のちょうど境目辺りにあってね…広さはだいたいこれくらい。リンちゃんが住んでた村はたぶんここじゃないかな?」

 「リンこんな遠くから、ここまで来たんだね」

 「そうかも。あの時は必至だったからわかんなかった…」

 「2人は町に行ったことあるの?」

 「ううん。ないよ」

 「リンもないよ」

 「じゃあ困らないようにお金覚えておこうか?」


 カーラはまだリリスたちが知らないだろう知識をどんどん教えてくれた。絶対必要になるからとお金の数えかたまで教えてくれるみたい。

 私たちの目の前に銅貨、銀貨、金貨を置きはじめた。


 「この世界には銅貨、銀貨、金貨、大銀貨、大金貨と5種類のお金があって、銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨10枚で金貨1枚って数えるんだよ」

 「へぇ~」

 「手持ちに大銀貨と大金貨ないから見せてあげれないけど…町に行くなら絶対必要だから覚えるんだよ」

 「はぁい」


 カーラとローラ、リリスとリンで地図とお金を囲みこの世界のお勉強していると…また両開き扉からノックとは違う音が聞こえてきた。

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