第6話 真夜、大ピンチ!
一方、真夜は…
落ち着いたら帰ってきます。という先生の最後の言葉を信じてずっと待っていた。
「…先生」グスン
待っても待っても帰ってこない先生。1週間待ち、1ヵ月待ち、半年間待っても先生は帰ってこなかった…
そんなある日、代わりに来ていた先生とゆっくり話せる機会があったので、気になっていることを聞いてみることにした。
「あの…」
「なんですか?真夜さん」
「…先生…いつ帰ってきますか?」
「ああ、あの先生ね~もう帰ってこないわよ」
「え?…で…でも落ち着いたら帰ってくるって…」
「ふ~ん。まぁ帰ってくるにしても何十年先じゃないかな~」
「え?え?どういうこと?何か知ってますか?」
それは、真夜が欲しかった言葉ではなくさらに真夜の最後の期待も打ち砕かれた。
代理先生がまだ何か知ってそうなので聞いてみたいけど…知るのが怖い。
「知りたい?教えてもいいけど、知らない方がいいかもよ?」
「……」
「はぁ、仕方ないわね。教えてあげる」
なんとか教えてもらえることになったけど…何か隠してる?
「あんたの両親よ!」
「え?私の親?」
「そうよ。あんたと夢の両親も子供をこの施設に入れるだけ入れて、それっきりなのよ」
「……」
「まぁあんたたちの親だけじゃないけどね…この施設もタダでやってるはずないでしょ?入ってくるお金と出ていくお金が合わないのよ」
「……」
「あの人はね…それを知りながら自分の貯金を切り崩し足りない分のお金を支払っていたのよ」
「……」
「さらに借金までしてたっていうじゃない」
真夜が黙って聞いていると、代理先生はぺらぺらと何があったか話だした。
「金額までは知らないけど、返せたところでここに戻れるかどうか…」
「……」
「そろそろ、この施設も危ないかも知れないわね。私は自分の貯金使ってまでここに居たくないからね」
先生の話だけだと思っていたのに、まさかの施設経営ピンチの話まで聞いてしまった…
今でもマイナス経営…ここが潰れれば私の家がなくなる。
もう帰ってこない先生、赤字経営の潰れる直前の施設…私の将来を考えるとどんどん落ち込み…完全に心が病んでしまった…もう笑うことさえできない。
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心を病んでしまい…もう笑うこともしない真夜は、日に日に貧しくなる施設に気付きながらも、なんとか小学生(6才)になっていた。
施設にいるイジメっ子も小学生になっている。勿論、同じ学校なので…全然笑わない、暗い、気持ち悪いと広められ新しいお友達ができることはなかった…。
イジメっ子も今度は学校にいても施設にいてもイジメ続けるようになってきた。
やっとイジメから解放された学校の帰り道、ついに真夜は…
❮なんで私ばっかり…こんな苦しい目に合わないといけないの?❯と思うようになりだす。
「もう嫌!夢ちゃんもいない、先生もいない!誰も助けてくれない!」
ついには頭を抱えだし…空をボーっと見上げフラフラと歩きだした。
周りに何があろうが今の真夜には見えてない…ただ一点だけを見つめフラフラ歩いている。
真夜の前に信号機の付いた交差点が見えてきた。信号機の色は赤!
一点だけを見つめフラフラと歩く真夜…その時!
【トラックが交差点に進入!真夜に気付かず…真夜は亡くなった】
[第一部 完]
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