第5話 夢、異世界へ

 真っ白な世界。

周りを見てもどこまでも続く真っ白な世界、足元はふかふかぽよんぽよん雲の上。

そこにぽつんと1人、夢が立っていた…


「え?ここどこ?ふぁ~まっしろだ」キョロキョロ


 真っ白な空間をびっくりしながら周りを見渡していると、前方から誰か1人やってきた。

 金色さらさらの髪、鼻筋の通った綺麗な顔、白い衣を身に纏い、真っ白な羽を背にキラキラと耀き、ニコニコと優しそうにこちらを見ていた。


 「あの…ここどこですか?」

 「ここは天界ですよ。夢さん、あなたはどこまで憶えていますか?」

 「え?…私の名前なんで?」

 「ちゃんと存じておりますよ。あなたが年若い夫婦の間に産まれた時から、神様と一緒に見守っておりました。」

 「え?かみさま?私しんじゃたんだ…」

 「ええ、あなたはあの夫婦に引き取られ新しい家に向かう途中、交通事故にあい亡くなっています」


 天使とお話をして、だんだんと自分は亡くなったんだとわかってきた夢。


 「あ、申し遅れました。私は大天使アリエルと申します」

 「…天使さま?」

 「亡くなったあなたの魂を神様が拾い上げ、この天界に保護されました」

 「……」

 「ただ、神様は❮もう1人救いたい魂がある❯と、探しに行かれました」

 

 天界、神様、天使、魂、とびっくりしすぎて声もだせない夢。


 「神様が不在の今、私が代わりにあなたの異世界転生をおこなう命を授かりました」

 「…異世界転生?」

 「ええ、今までと違う世界でもう1度生きていけますよ?」

 「……」ポー

 「夢さん?夢さん?」

 「ハッ!はい」

 「大丈夫ですか?びっくりの連続で疲れましたか?少し落ち着きましょうか」

 「…ふぅ」

 

 まだ生きれると聞かされ、夢の思考がまた停止。なんとか夢が落ち着いたところでアリエルがこれからのことを話始めた。


 「これから向かう世界は剣と魔法の世界です。魔物もいますので何も持たせずに転生させてしまうと私が神様に怒られてしまいます。何かご希望はありますか?」

 「…剣?魔法?魔物?」

 「そうです。何もかも新しいことだらけですが、私があなたに力を授けます」

 「…う~ん…じゃ…じゃあ今度こそ優しい家族と生きたいです」

 「本当にそれだけでいいのですか?」

 「…はい。それだけで」

(剣とか魔法とか言われてもわかんないよ…)


 そんな夢の思いに気付いたアリエルは、

 「あ、そうですよね。申し訳ありません。では、私が最低限お付けしても大丈夫ですか?」

 「はい。ありがとございますアリエルさま」

 「では、前世の記憶と魔法の適性力と言語理解…あと、これからスキルも身に付けていくでしょうから成長率増加あたりですね」


 アリエルは顎に指を当て、夢に何を与えるか悩んでいました。

 アリエルが掌を夢の方に向けると、夢の魂が光始めました。


 夢の魂から光が収まった頃…

 「無事に定着しましたね。これで少しは安全に生きれるでしょう」

 「ありがとうございます」

 

 アリエルはにっこり微笑んで、魔法陣を起動させました。

 「名残惜しいですが、そろそろお時間のようです。この魔法陣の中に入れば新しい家族のもとへ行けますよ」

 「はい。ありがとうございますアリエルさま」


 夢はアリエルにお礼を言い魔法陣の中へと歩いていった。


 「優しい家族とのんびり生きてください。私たちはいつでも見守ってます」


 夢が魔法陣の中央で止まると、魔法陣が光だし夢は転移していった。

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