第4話

ものを書く側として日常の全ては種になる。しかし、もう種はなくなってしまった。全ては「.e」に従っている世界になってしまったからだ。流石に一度書いたものは使えないだろう。使ったとしても凡作に違いない。

無名だった頃。いや、今も無名ではあるが作品自体も読まれなかった頃だ。当時は周りがどうやって種を探しているのか分からなかった。図書館でいろんな小説を読み漁ったし色々書いているのに、何も理解できなかった。

そんな中、SNSで見たあの投稿のお陰で今の自分が居る。

「ネタは人の小説から取るものではない。なぜなら、あなたはその登場人物の心情を正確に書けるわけがないからだ。」

今思えば馬鹿馬鹿しい。でも、当時は働かず小説ばかり書き続けていた。それはもう死物狂いで。

俺がこの小説の種を拾ったのは宗教の勧誘だった。近所の宗教だ。ここら一体ではすでに怪しい、胡散臭いと馬鹿にされている。そんな風に俺も揶揄していた。そんな俺でもいつの間にか予想外な行動をしていた。

聖書を十万円で買った。

宗教に入っていなくても買えると言われ、これも一つの縁だ。と思い買ってしまったのはきっとランナーズ・ハイに準ずる何かだろう。

聖書の中身は「異世界」「他の地球」等、本当に馬鹿馬鹿しいもので溢れかえっていた。そんな中、俺はある一つの文章に目が行った。

「この地球は有限だ。」

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