第3話
「えっと、本日はどのような」
要件を聞こうとしたが、彼は食い気味でこう答えた。
「助けてください…」
「え?」
「こうなるなんて知らなかったんです…」
何がなんだかよくわからない。
「そもそもどうなっているのか詳しく教えてくれなければこちら側も対処できませんし。」
きっと本のことではないだろうか。ストーカーにつけられているように感じたり、そういう精神症状の患者も僕は幾度となく見てきた。
「世界が、世界が変わってしまったかもしれないんです…」
とても抽象的な答えである。カルテになんと記入すればいいのか僕には考えることもできない。まぁ、そのまま書いておこう。まぁ、後から追記で書いておこうか。
「なるほど。それ以外には何か。」
「いいえ、それ以外は何も…」
うむ、もう考えられる病気はなくなってしまった。
「警察に行かれては…」
「ただの狂った人のように思われてしまうんじゃないかと…」
なるほど。良識はあると。まぁ、いい。少し詳しく聞いてみるか。
「例えば、どのように。」
「麻縄が売り切れていて。」
「それは偶然じゃないですか。そういうこともありますよ。」
きっと、あの小説だ。あの小説のせいだろう。
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