第2話
「次の方〜。」
どんな人でも聞いたことがあるだろう。きっと、人生で聞く回数のうちの大半は病院や診察所だ。
これは基本明るく言う必要はない。だが、基本明るく言うだろう。僕だってその一人だ。理由はわからない。子供を優しく誘いたい時等は優しく言うだろうがなぜ成人している方でもそう呼んでしまうのだろう。
「今日はどんな症状で…」
僕はカルテを確認すると見覚えのある名前が見えた。
俺は本屋さんで棚を睨んていた。詳しく言えばあの本がおいてあったであろう場所を睨んでいた。あのただの駄文がつらつらと書かれている本は誰が買うのだろう。薄く安いのならまだしも厚く高いのなら余計にだ。
作家も出版社も何もかもが極端に無名なのだからここまで売れることは誰もが予想していなかった。即重版が確定したのも予想以上の売れ行きと初版で刷った冊数が少なかったからだろう。
ところで、質問なのだがこの商店街はこうも人が少なかっただろうか。普段ならそこら中にたこせんべいを食べ歩きしている人がいるのに。それなのに、今日はやけに静かだ。
俺は近くの百円ショップに向かった。麻縄は売り切れていた。俺は背中になにか冷たいものが走ることを感じた。蟻のように小型な俺が日本という国を変えてしまったのではないか。
俺はこの後何が起こるか大体の予想がついた。
何故ならここまでの人々の動きが「.e」として書かれて、売られていたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます