Letter in a Bottle with Love ~SOT~
零
第1話
あなたが多くの困難を背負ってきたことを、私は知っています。
多くの涙が流れ、多くの痛みがあったことでしょう。
私はあなたに、その時の終焉を告げに来ました。
その困難が、あなたに訪った理由は、あなたは既にお判りでしょう。
そこに、あなたの何らかの失策があったわけでも、何かの呪いでも、何かの報いでもないことを。
その運命はただ、大いなる必然に動かされてあなたの元を訪い、あなたの元から去ります。
人は時に、それを抱くことがどれほど痛みと困難を伴うとしても、手放せないことがあります。
まるで、その波紋に魅せられて十の刃を同時に抱きしめるように。
何も持っていないと錯覚するとき、人は何かを求め、苦痛を伴うとしてもその空虚を埋めようとします。
たとえそれが自らを傷つけるものだとしても、空っぽよりは良いと思ってしまいます。
ですが、あなたは既にそれがあなたにとって意味のない行為であることに気づいているはずです。
あなたの手は、多くのものを得、その困難を手放そうとしています。
あなた自身のその素晴らしい決断を讃えてください。
あなたの中に空虚はなく、あなたはそのままで満たされています。
そのことに気づけば、あなたは最早、自らの手で自らを傷つける道からは解き放たれていることを知るでしょう。
永い眠りは今、終わりを告げます。
あなたをその地に留めていた刃は朝日とともに消えてなくなります。
さあ、歩き出してください。
あなたが本当にいきたいと思う場所へ。
Letter in a Bottle with Love ~SOT~ 零 @reimitsuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます