第2話 友人

 鏡を見ていると、今日うちに友人が訪ねてくることを思い出した。


 急いでお風呂とか入って用意しないとなぁ。そういえば髪の毛の先、紫色になったこと、気になるだろうなぁ。


 あ、ちなみに昔は髪の色をかえると学校から怒られたりしたんだっけ?


 まぁ今はそんなことは絶対ないけどね。


 というわけで、お風呂を沸かして入ります!


◇◇◇


 お風呂から上がってオシャレをしてしばらく。インターホンがなった。


 私は急いで二人の友人を迎えにでる。


「ようこそ、私の家に!」


「おじゃましまっ!?」


 私の姿を見た瞬間に、二人の表情が変化した。


 ん? なんだろう、なにか見てはいけないものを見たような。


 次の瞬間、私はほぼ反射で天使の権能を発動、天使の剣を招来した。


 その刹那、二人が私に剣を振りぬいて攻撃しようとしてくる。


 その剣を私は天使の剣で弾き、部屋の中に入り、二人と距離をとった。


「急に何!? 私に何か恨みでもあった!?」


 私がそういうと、二人は焦ったように言い訳をしてきた。


「ご、ごめん! その、天使を見ると、ついね?」


「すいませんでした。どうもあの時の癖が抜けず……」


 二人はどうやら、1~2か月前の天界戦争での癖が抜けてなかったらしい。


 まぁそれもそうだろうなとは思う。二人は、あの戦争の時に、最前線で天使たちと戦っていたのだから。


「まぁ怪我も無かったし別にいいけどね。というか、世界を救うって言ってしばらくいなくなってた時って二人とも天界に居たんだね」


 私の友人二人は激動の時代を生き抜いた英傑。世界最強クラスの探索者たちだ。なんでこの二人と今までの私が友達だったのかと疑問に思う。


 二人とも本当に強くて、学校でも1、2を争うほどの美少女なのに。


「そうだよ~。あの時はまぁ辛かった……。しかし、継承天使かぁ……仲間ができてきららちゃんも喜びそうだね」


「桜ちゃんが天使になるとは……世の中狭いですね」


 柔らかな話し方で、身長が低くかわいらしい、銀髪赤目の美少女の方長麦 みいなという。


 そして、常に敬語で、黒髪ストレートのなんでもできそうな印象を抱かせる美少女が九重 春奈だ。


 ちなみにきららちゃん、とは18人の英雄のうちの1人、神宮司きららさんのことだろうなぁ。


 あの人も継承天使だったのかぁ。シルフィーナの記憶と照らし合わせると、多分光の天使の力を継いでるんだろうなぁ。


「いつかその人とも会えるといいなぁ」


「札幌に住んでるからまぁすぐ会えると思うよ。あ、あと天使の力、多分継いだばっかりでしょ? ステータスとか、おしえてあげるね」


 みいなちゃんには鑑定のスキルがあるから、私のステータスを見てもらうことができるわけだ。それはとってもありがたい。


 しかし、それは置いておいて。


「あの、みいなちゃん? いつまでも玄関で話してないで中に入れてもらいませんか?」


「んー確かに!」


「どーぞはいって~!」


 二人をうちの中に招きいれ、リビングのソファに座ってもらう。


「改めてうちにいらっしゃい。まぁ天使になったって件の報告はもういいよね」


「改めてお邪魔します! うん、今ステータスを文字に起こしてる通り鑑定でわかるからね。戦争の事とかも、当人だから知ってるし」


 と、いうことらしい。私の友人たちは話が早くて助かるなぁ。


「あの戦争はどちらが悪い、というものはありませんから、その力を持っているからといって私たちは桜ちゃんを恨みません。そこは心配しないでください」


 私の力に関して、春奈ちゃんがそんなことを言ってくれた。昔から気を遣うのが上手いんだから。


「ありがとね。私もシルフィーナの記憶があるけど、人間に対して憎しみとか、そういう感情はないし。まぁシルフィーナもそんな感情はなかったみたいだけどね」


 私がそう返したとき、ちょうどみいなちゃんがステータスを書き起こし終わったらしい。みせてもらおうかなぁ、私のステータス。


◆◆◆

名前:八木 桜

性別:女

年齢:16

種族:天使


レベル:5

攻撃:64871

守備:63129

魔力:88921

知力:89519

精神:68710

速度:76091


スキル:【風の大天使】【天使の料理】

◆◆◆


 すっごいことになってるね。ちなみにもともとは確かこんな感じ。


◆◆◆

名前:八木 桜

性別:女

年齢:16

種族:人間


レベル:5

攻撃:37

守備:29

魔力:18

知力:19

精神:27

速度:15


スキル:【料理】

◆◆◆


 シルフィーナのおかげで大分出世したなぁ、私。いろいろ気になることはあるけど、一旦後回しにして。


「書いてて思ったんだけど、ステータスの合計値、私より高いね。やっぱり天使強すぎる」


「天使と聞くとつい一月前の事なのに懐かしく感じますね、あの、激戦が」


 二人が昔(一ヵ月前)の事を思い出している間に、私はひっそりと気になっていることがあった。


 【風の大天使】のスキルはまだわかる。シルフィーナの力だし。しかし、【天使の料理】とはいったい何だろうか。


「スキルの効果も書いてもらえたりする?」


「あ、忘れてた! ちょっとまってね」


 【天使の料理】、か。どんな効果なんだろう。なんかすごい、気になる!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天使の食卓~強化された料理の力で、いろいろチートしちゃいます!~ ニア・アルミナート @rrksop

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ