第一話 エルカという少女
私はエルカ・ノール・リレート。由緒正しき神官の一族の生まれです。15年前私が1歳のときに魔王が誕生しました。以来15年間、人類は勇者の誕生を待ちわび、日々魔王の脅威に怯えつつも着々と決戦のときへと備えています。
歴史上、単独で魔王を討伐した勇者も存在しますが、やはり勇者単独では時間がかかりその分人類への被害は絶大なものとなってしまいます。
そこで、活躍するのがパーティーメンバーです。初めてパーティーを組んだとされるのが、二番目の勇者、『万展』のハイン・リレイグ様です。かの方を補助したのは『聖女』カラフレア様、『大魔導師』フレーグ様、『聖騎士』ホフバルド様の三人です。
以来、数多くの英雄が勇者の活躍を助けてきました。そして、私、エルカ・ノール・リレートは聖女
さて、話が変わりますが何故私は
今存在している家系は、二番目の勇者、『万展』のハイン・リレイグ様、三番目の勇者、『冷酷』のロンド・ハート様、そして四番目の勇者、『皇王』アンハレンス・サー・シノバルド様のものです。そして、それら全ての家系の者は共通して文武共に優秀な方ばかりです。
だからこそ、パーティーメンバーを女性で固め、優秀な子孫を孕もうというわけですね。私個人としてはあまり感心できない理念ではあります。が、しかしながらそれによって私が聖女候補としていられるのも事実。甘んじて受け入れようというものです。
因みにですが、今私は朝の祈りの
「もしもし、貴女がエルカ・ノール・リレートで間違いないでしょうか?」
ふと、誰もいないはずの後ろから声がかかり、私がとっさに振り返ると、
「おめでとうございます、
左頬に大きな火傷を負った、私の知らない修道服を身にまとった少女が、私に微笑んでいました。
・・・え?今、なんと?勇者?私が?聖女ではなく?何故?え?どういうこと?
でも、驚きは後です。私はまず、少女に尋ねなければならないことがあります。
「その顔の火傷痕、どうしたんですか!?ついてからずいぶんと時間がたっているように見えます。何故治療をしていないのですか!?」
詰め寄る私に、少女は目を白黒させています。
「火傷痕?勇者についてでも、修道服についてでもなく?火傷痕?・・・ふ、ふふふふ。あははははっ」
突然、少女は笑いだしました。ですが、それも今は関係ありません。
「いいからその傷を見せなさい!私が治します。」
私は聖女候補として選ばれる程の聖魔法の実力者です。たとえ古くなった火傷痕であろうとも、治療することなど造作もないのです。
「ふふふ。い、いや。結構です。これは私がわけあって自分でつけたものなので。それにしても、、、ふふふ。まさか真っ先に火傷痕に反応されるとは」
「自分で?何かしらわけがあるとはいえ、年頃の女の子がそのようなことをしてはーーー」
「嗚呼、だからこそ貴女は勇者にふさわしいのでしょう。ふふふ。今後の活躍、楽しみにしています。ふふふ。嗚呼、すいません。少し、ツボに入ってしまったようで、、、」
その後、ひとしきり笑い転がった後、少女は「では」と、一言残してかすみのように消えて行った。
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「ーーーてなことがあったんですよ。リリア、信じてくれます?」
お昼。私、エルカは友人にして聖騎士のリリア・セトワールとのお茶を楽しんでいた。
「ふむ。信じがたい点が一つ、その少女が何故エルカが
「ぅえ?」
???急に消えたーとか、知らない修道服を着てたーとかではなく?それに知っていた?
「えっと、それだと、あたかも私が勇者であるというように聞こえますが、、、」
私が不安げにリリアの方を向くと、リリアはやけに真剣な表情で私を見つめていました。
「時刻で言うなれば午前10時、エルカの朝の祈りより数刻後だろうな。エルカ。神託によりお前が
え?
━━━
エルカ・ノール・リレート
筋力 F 耐久 G 俊敏 H(勇者覚醒後B) 器用 E 精神 B(勇者覚醒後A) 魔力 A
天啓『
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