第10話 進化した?

 「ヒマリごめん!僕が至らなかったせいで君をこんな目に合わせて申し訳ない!」


 深々と頭を下げる洋一だった。


 「えっ、そんな大袈裟な洋一さんのせいじゃないですから、そんなに謝らないでくださいよ」


 ヒマリも洋一は関係無いと思っている。いやそれでもと洋一は譲らない。話が噛み合わない。


 「僕は一生涯掛けて君への責任を取って行くつもりだ!」


 えっ、責任何の?はっ、もしかして気を失っている間に私をとヒマリは自分の身体を抱き締める。


 「イヤ、それは無い」


 と言い切る洋一であった。


 「実は君の身体は…」


 「やっぱり何かしたのね」


 涙目で洋一を睨み付けるヒマリだった。


 「違うんだ!君はもう普通じゃないんだ」


 「どう言う意味よ!」


 激おこのヒマリさんもうすぐ手が出そうだ!


 「君はもう魔法が使える。自分を鑑定してくれないか?出来るはずだ。魔法はイメージ!強くはっきりとイメージする

と分かるはずだ」

 

 「えっマジ!自分を鑑定!私の事教えて頂戴!あっ!出た」


 ヒマリ 水島

 17歳

 神龍人しんりゅうびと

 HP 無限

 MP 無限

 

 神龍人はアホみたいな体力と呆れる程の魔力があり魔法の知識は変態を超えている。成長が終わると老化が止まり簡単に死なない。


 「悪意に満ちている。誰よこれ書いた奴!」


 「この世界の神らしい。なんでも古代の更に昔、最強とやりたい放題で神から疎まれていて全く反省もなく。それにキレた神が色々嵌めて全滅させようしたけど神龍人も神並みの力を持っているのでやっとの事、封印出来たそうだ」


 は〜っと深く溜息をつくヒマリ。


 「それじゃ神は私に目をつけているの?私始末されるの?」

 

 「それは無いはず神龍人の負のエネルギーは完全に浄化されたからね。それにタイマンでは負けないみたいだよ」


 「神龍人って人なの龍なの?」


 私変身するのかな?


 「イヤだよトカゲなんて」


 「変身はしないよ。人の形でドラゴン以上で神並みに強くて魔法の天才、正に無敵だな。年は取らないし病気もしない。死ぬ程のダメージなんて殆ど受けない。傲慢になるよね!」


 「あぁ、そうなのね。謙虚って大切なのね。私は大丈夫、傲慢にはならないわ。所であの玉は何?」


 「神龍人の力、其の物だけど封印された物なんだ。賢者オーリが古代遺跡の研究の末に手に入れたんだ。色々調べてたけど封印は解け無かった。賢者オーリ唯一の心残りは僕が引き継ぎ思いを晴らす!……そうか壊せばいいのか」


 洋一は空間から宝玉を取り出した。光りが青み掛かっている私が見つけた物と違う物だ。


 「その玉って幾つもあるの?」


 素朴な疑問が頭に浮かんだ。


 「相当の年月掛けて探したらしいけどここにあった3個だけなんだ。」


 洋一は封印の宝玉を握り締めてふんっと力を込めた。ぐぬぬぬっ!更に力を込めたけど変化なしひびも入らない。魔力を最大限に注ぎ込み再度フルパワーで握り締める。


 肩で息をしながら何でだ?魔力なのか?そうか!何かを閃く。


 空間から取り出した万倍の指輪を右手中指に嵌める。そして握り締めたパリンと軽く封印の宝玉が砕ける。


 うわー!目が!目が!とヒマリさんは強烈な光りをマトモに見たようだ。残念な子です。


 うぎゃー!痛い痛い痛い痛い痛い!

 頭も体も痛い痛い痛い痛い痛い!!


 頭にガンガンと上書きされて行き暫くすると輝きも収まり床の上で僕は横たわっていた。


 洋一は達成感に満ちていた。オーリの想いも遂げられたし、気も保てたし、お漏らしも無い?!うん、うん???


 「洋一さんなんか臭い……」


 はっ!ダブルで漏らした!速攻で風呂場に転移する。


 10分くらいで戻った洋一さん何も無かった振る舞いをする。


 「さて鑑定、鑑定と…」


 「洋一さん床の汚れ魔法で綺麗しておいたよ。マジ便利だね〜魔法」


 ぐぬぬっ、絶対僕の事ウンコマンとか思っている。


 「……ウンコマン」


 ヒマリが呟く、洋一は項を垂れ両手を床につく完敗だった。ボソっと鑑定と呟いた。



 洋一 木村

 30歳

 神龍人王

 HP 無限

MP 無限


 神龍人王は神龍人の王中身は神龍人とほぼ同じ多少のカリスマ性が有るのか?


 「なぜ、疑問系?本当に悪意を感じるよ」


 ヒマリが隣に立ち覗き込んでいた。


 「本当だ。てきとーだね」


 えっ!これ見えるの?


 「イヤだなぁ。魔法はイメージだって洋一さん言ってたジャン。強く意識したら情報が入ってくるんだよ。」


 えっ!何でも分かるの?


 さっきの風呂場の事、バレたら僕の身が危ない!どうする?褒めるか?……今は冷静になれ!


 「素のスペックが無限なら万倍の指輪は必要か無いな。外そうか?」


 洋一が外そうとヒマリを見るが彼女は首を横に振る。


 「多分だけど、この指輪のおかげで力が万倍で収まっていると思うの、だから洋一さんもつけよう。私がつけてあげるわ」


 彼女は笑顔で指輪を受け取ると僕の左手をむんずと掴み無理やり薬指を立ち上がらせる痛い痛い離せメカゴリラ女!って口に出せないけど。僕は微笑み返すそれが今一番の選択だからね。


 「ふふっ、洋一さんのプロポーズ謹んでお受けいたします。きゃっ!言っちゃた」


 「えっー!彼女もいない、DT魔法使いに飛び切り別嬪さんのJ Kが嫁にくるー!って何で?マジ、ドッキリ?カメラどこ?」


 ああ、さっき一生を掛けて責任を取るって言ったよな。あれは不老不死なり一人では辛いから僕の寿命を魔法で何とかしょうと思っての事だけど僕も死ななくなったしまあいいか。


 けど、すごーく嬉しい!!


 二人は見つめ合いお互いに歩み寄る。


 キッ、キスの瞬間だ!心臓爆鳴り限界間近の洋一。DTヘタレ君は自ら間合いを外す。顔を真っ赤にし、ようやく口にする。


 「一旦地球に戻りましょうか」


 ヒマリさんも顔が赤い。


 「はい」


 


 



 

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