遭遇③

一方、人類会議が行われている大聖堂では、黒夜に対する各国の被害の報告が行われ、今後の本件に対する対応の協議が行われ、先日から世間を騒がせている魔王受肉の件に続き、5つの影等、謎の暗躍組織の事も議題に挙げられ、各国は軍備の拡大と今後の各国同士の協力体制をより強固なものにしていこう、という形で議決された。今日は会議終わりの懇親会であった。


「結局、何も起こりませんでしたね…」


「何言ってるんですか。我々が聖堂を見張っていたからでしょう?僕の舞台も飛行魔法で空から聖堂を監視させてましたし…これで何か動きがある方が凄いですよ」


キタニス王を含め、四牙や各国の要人達は皆スーツにドレス姿に着飾り、社交辞令のパーティーを行っていた。


「ルイス君、あまり空気の読まない発言は慎むようにね?しっかり君は国の要人なんだから」


「君らこそ、距離が近すぎるぞ?いちゃつきたいだけならどっかに行ってくれないか」


「お、ルイス君、じゃあ各国の要人への挨拶任せたよ?」


「駄目ですよメイゼンさん、私達だって」


「良いじゃないかたまには」


2人はいちゃつきながら会場を後にした。



「はあ…僕も暇じゃないんだけどなー。」


ルイスは小さな身丈を活かしてパーティの長机の下に入り、シュナイザーと交信していた。


「どういう事です?勇者がいなくなった?」


「奴らに出し抜かれたね…結構まずいよ。」


「ええ…そうですn…!!??」


つい直前までなんともなかったルイスの魔力探知に、突然の大きな反応が現れた。長机の下から飛び出して


「敵襲!」


ルイスの声と同時に大聖堂正面の窓ガラスが割れ、6人の人影が大聖堂に飛び入ってきた。


ガラスの割れた音と同時にイルムや各国のボディガードのような黒服達が要人達を守るために聖堂に入ってきた。人影は魔法銃を要人に向けて乱射。咄嗟に防御魔法で護られてはいたが何人かの要人達は撃たれてしまったようだ。


「陛下!」


ルイスは王を守るため防御魔法を展開し、出力を絞った魔法を打ち返していた。


割れた正面の窓ガラスからは小型の魔物が入ってきていた。魔力探知によると、大聖堂周りに突如として魔物の群と、複数の強力な魔法使い達を確認できた。陛下や各国の要人達も剣を抜いたり魔法杖を構えたりと応戦の構えのようだ。


「敵襲!!撤退する!!」


各国の要人達は各国でまとまって建物を出るため中央広場を後にしようとしていた。


「参謀総長!!陛下の守備を任せます!奴らは僕が焼き払います!」


これまで火力と範囲を絞っていたが、周りは撤退を始めているし、この状況では被害を恐れずに全力を出させざるを得ない。出力を最大にして6人に向けた。


「させんぞ!」


「!!??」


人影のうちの1人のローブの男が、怪しげに紫色に光った触手のようなものを魔法で展開して伸ばしてきた。


「これは…闇魔法…」


僕の出力だから片腕でも止められているが、並の火力ではないな…


「…まて!お前…リアンか…?」


少し動揺して僕に隙が生まれ、他の2人から飛びかかられたが、メイゼンとソニアの2人が止めてくれた。


「らしくないじゃないかルイス君!」


メイゼンは着地際にスーツのジャケットを絨毯のようにソニアの足元に敷くという謎の紳士アピールをして見せた。


「メイゼンさん?土壇場ですよ。ふざけないでください」


「心外だなあ。」


各国に向けて1人ずつ人影が追撃として向かっていった。既に聖堂は魔物まみれで簡単には脱出できないだろう。


「四牙が3人か…我々だけでは部が悪い。」


煙幕を投げられて、煙が消える頃には人影は消えていた。


「ゲホッゲホッゲホ……へ、陛下!撤退しましょう!」


聖堂を出た辺りで、各国の要人達が公国軍とも合流し魔物の群れに対して応戦していた。キタニス王達が合流した辺りで、再び6人の人影が皆の前に姿を現した。


「皆の衆、よおおおく聞いてくださいねえ!?」


6人の人影のうち、白のタキシードに白のマント、奇異なお面を被った長身の男が喋り出した。


「魔王様は復活なされました!!」


転移魔法で1人の青年が皆の前に現れた。背丈はあまり大きくもないが、その堂々とした立ち振る舞いや豪勢な装飾、眼光に宿る圧倒的な威圧感は、魔王であると言われても相応の説得力があった。彼が恐らく、受肉したという魔王。


「幾千年の時を超え、再びこの世界に舞い戻られた魔王様は……この世界の破滅と、勇者ローランや人類への復讐を望んでおられるのだ!!」


「この世界を大人しく魔王様に引き渡しなさい…そうでなければ…戦争だ!!かの聖戦を再び!!全ての魔物は魔王様の一命のままだ!お前達人間には!勝ち目はない!!」


「な…なんだと…」


「何が魔王だよ!!」


「よせ!」


要人達は目を見開き聞いていた。だが一部の要人達は反発し、剣を抜いて魔王に飛びかかってきた。


魔王は手のひらからグニョグニョした粘土のような物体を作り出し、手槍のような形にして貫いた。


なんだ…?あの魔法…魔法なのか?


グニョグニョした粘土のような物体を、頭が虎、羽と羽毛が生え、蛇の尻尾があるキメラのような魔物にさせ、あろうことか作られた魔物が意志を持って暴れ始めた。


「ジョーカー。この場は任せる。僕は姉さんを連れて結界の破壊に向かう。それまでこいつらを足止めしろ。」


「承知しました。」


また転移魔法で魔王は消えていった。


粘土から分裂し何体もの大きな魔物達が要人達を包囲していた。


「魔王の手先よ!!これが何を意味するかを心得ておるな?我々イルム公国軍や、世界への宣戦布告であるぞ!私はイルム公国軍大佐ハルマサだ。陛下や各国御要人の方々や、人類に仇なす貴様らを!正義の名の下に打ち滅ぼす!!」


「上等だ!!」

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