(一)-3

 貨物船の前方にはかなりの高さのクレーンがあった。それがこの船のブリッジの方からの射線の遮蔽物となっていた。このポイントなら対空ミサイルも狙撃もできない。

 舳先に近づくと、ヘリは船との相対速度を調整し始めた。

「降下するぞ」

 ヴェロニカの怒鳴り声に返事をすると、ニーナ、アイリーン、そして二つ隣の席のヨギョン、その向かいのエレーナがシートベルトを外して立ち上がった。メグもそれを見て慌ててシートベルトを外した。

 ヘリの両側からロープが下ろされて、左からはニーナとアイリーンが降下した。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る