(一)-2

「ははは、こういうのは初めてかい、メグ」

 隣の席の大柄な中米系のニーナが大きく笑った。

「訓練所のヘリでは、爆発は起きないからね」

 メグの向かいのシートのアイリーンが冷たく言った。

「ローターをやられた! 不時着する」

 無線でそう聞こえた。旋回中のヘリのドアの向こうでは煙を噴きながら貨物船に降りて行く僚機が見えた。

 メグたちの乗ったヘリは海上を大きく右旋回していた。

「舳先へ回れ!」

 分隊長のヴェロニカ・ハビエルが無線を通じて怒鳴り、ヘリを船の舳先(へさき)へと向かわせた。


(続く)

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