第25話 ゾンビはへっちゃら


 翌日の夜になって、いよいよゾンビの襲撃だ。

 私たちは二階の窓から弓で撃てるように待機していた。

 下ではゴーレムたちが、タンク役を引き受ける。

 アカネとグリムも、下に残って前衛をやるという。

 危ないからと止めたけど、大丈夫だそうだ。


「あいつらはかなり強い、任せておいてくれ」

「大丈夫かなぁ……」


 私とノルンちゃんとヴィルで、二階から魔法や弓で援護する。

 夜もふけてきて、いよいよゾンビたちがやってきた。

 以前の襲撃とは比べ物にならない勢いで、ゾンビたちが向かってくる。

 全部で200体くらいはいそうだった。


 家に群がってくるゾンビたちは、片っ端から落とし穴に落ちていく。

 トラバサミもあるから、なかなか家には近づけない。

 そして、大活躍したのはタレットだった。

 タレットがゾンビたちをどんどんハチの巣にしていく。

 だけど、ゾンビのほうもきりがないほどの大群だ。

 やっぱり何体かのゾンビはトラップを抜けて、こっちにやってくる。


 そこで活躍するのがゴーレムたちだ。

 ゴーレムたちは、ゾンビが家の中に入ってこないように、肉壁になってくれる。

 ゴーレムは頑丈だから、ゾンビが群がったくらいでは、なかなか壊れない。

 ゴーレムが抑えている間に、上から弓で攻撃。

 なにより活躍したのは、アカネとグリムだった。


 ゴーレムたちがゾンビを抑えているあいだに、アカネとグリムは剣を持って、ゾンビの大群に、自ら斬りかかっていく。

 まるで海を割るように、ゾンビたちは蹴散らされる。

 あの二人が強いというのは本当だったようだ。


 明け方ごろには、すっかりすべてのゾンビを片付け終えていた。


「ふぅ……なんとかなったよ。これもみんなのおかげだね。私ひとりだったら、もっと苦戦してたかも……」

「まあ、このくらいお安い御用だよ。少しでもサクラへの恩返しになったなら、うれしいな」

「いやもう十分すぎるよ……。こっちからお礼しなきゃいけないくらい……」


 アカネとグリムの戦いっぷりはすさまじかった。

 この二人がいれば、もう私たちはいらないくらいだ。

 

「お疲れー」


 勝ったお祝いに、みんなでお酒を飲んで、お肉をまたいっぱい食べた。

 んで、お昼くらいまで寝て、いよいよ、ヴィルたちが帰ることになった。


「サクラ、せっかくだから僕たちと一緒にこのまま街にいかないか? 舞踏会ももう明日だ。街を案内するからさ」

「うん、わかったよ。ゾンビももうしばらくは来ないしね」


 ということで、私も一緒に街までいくことになった。

 森の外に馬車を止めてあるらしい。

 ヴィルとアカネとグリムとノルンちゃんと、私、5人で馬車に乗り込んで、街まで行く。

 30分ほど馬車に乗っていると、街までたどり着いた。


「じゃーん、ここがアルトゲーネの街です! ようこそ、アルトゲーネへ!」


 街はとっても大きな門で守られていた。

 なんか、中に入るのドキドキするな……。

 異世界にきての、初めての街だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

過労死した社畜OL、ゲーム内のエルフに転生して無限の寿命とチートクラフトを手に入れたので今度こそ自由に生きたい!~趣味にものつくりに、のんびり森で【もふもふ】と【スローライフ】な日常を希望します~ 月ノみんと@成長革命2巻発売 @MintoTsukino

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ