第11話 神秘のポーション


 森の中に、一人の男性が倒れていた。

 どうやら怪我をしているようだ。

 大変だ……!


 なんとかしないと……。

 だけど私の力だけじゃ、家まで運べない。

 そうだ、さっき作ったゴーレムに頼もう。

 私はゴーレムに命令して、男性を家まで運ばせた。


 男性をベッドに寝かせる。

 なんとかできないかな……。

 そうだ、薬草があったんだった!

 薬草からポーションが作れるはず……!

 


 ◆下級回復ポーション

 必要素材

  ・薬草×3

  ・水



 私はクラフトでポーションをいくつか作成した。

 これって、飲ませればいいのかな……?

 それか、患部にぶっかけるの……?

 とりあえず飲ませてみよう。


 男性の意識は朦朧としていたが、なんとかポーションを飲ませる。

 すると、少しはよくなったのだろうか、顔色がましになった。

 だけど、傷口は開いたままだ。

 血もどくどく流れている。

 

 やっぱり、直接ぶっかけるか……。

 患部に優しく、そっとポーションを塗布してみる。

 すると、染みるのか、男性は顔をしかめた。


「う…………」

「痛かったかな……!? ごめんね……」


 ちょっとだけ傷がよくなった気がする。

 だけど、下級ポーションだけじゃなんともならなそうだ。

 このままじゃ、大量出血で死んでしまうかもしれない。

 なんとかできないかな。


「そうだ……! これがあったんだ……!」


 薬草の中に、一つだけ紛れていた神秘の薬草。

 これをつかえば、もしかしたらなんとかできるかもしれない。

 だけど、貴重な神秘の薬草だ。

 栽培はできないし、これ一個しかない。


 ううん、迷ってる暇なんかないよね。

 目の前で人が傷ついて、苦しんでいるんだもん。

 今使わないで、いつ使うんだよ!

 よし、神秘の薬草をポーションに……!



 ◆神秘のポーション

 必要素材

  ・神秘の薬草×1

  ・水



「できた……!」


 神秘のポーションは、普通の回復ポーションと違って、見た目もすごく綺麗で、神秘的な感じがした。

 これならもしかしたら、助かるかもしれない。

 私はさっそく、それを男性に飲ませた。

 すると――。


 なんと、男性の傷はみるみるうちにふさがって、顔色もよくなっていった。

 血が止まり、傷は完全にふさがった。


「やった……!」


 やっぱり、神秘のポーションの効果はすごい。

 とりあえずよくなったみたいだし、あとは安静にするしかないね。

 男性は安心して、そのまま眠りについたようだ。

 しばらく寝かせてあげよう。


 男性の寝顔はとても穏やかなものだった。

 さっきまでの苦痛に苦しんでいた顔が嘘のようだ。

 本当に、助けられてよかったよ……。


 こうして寝顔をよく見てみると、とても綺麗な顔立ちをしていることがわかる。

 こっちの人ってみんな美形なのかな。

 って……なにをイケメンに見とれているんだ私は……。


 起きたらあったかいスープでも作ってあげよう。

 採ってきたばかりの野菜がある。

 栄養もつけないといけないよね。



 ◆野菜スープ

 必要素材

  ・キャットロ×1

  ・メメト×1

  ・キャンプキン×1

  ・塩

  ・コショウ



 スープを作って待っていると、男性が目を覚ました。

 寝室から、キッチンに恐る恐る降りてくる。


「あの……」

「あ、目を覚ましたんですね……! よかったぁ……。でもまだ安静にしてないとだめですよ……」

「いえ……傷はもうよくなりました。あの……あなたが助けてくださったのですよね?」

「ええ、まあ……」

「本当に、ありがとうございます。なんとお礼を言っていいか……」

「いえいえ、何事もなくてよかったです」

「あ、申し遅れました。僕はヴィルといいます」

「私はサクラです」

「サクラさん……素敵なお名前ですね」


 ヴィルは、立ち上がるととても背が高い。

 金髪のくせっ毛に、するどい目つきが特徴的だ。

 透き通るような碧眼は、するどいながらもどこか優しそうだ。

 動いていると、本当にゲームキャラって感じで、美形が際立つ。

 もしかしたら、重要な登場人物だったりするのかな。

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