第10話 ゴーレムつくるよ!


 ノルンちゃんが帰って、少し寂しくなった。

 だけど、のんびりもしていられないな。

 またあと7日経ったら、あのゾンビたちが襲ってくるんだもん。

 それまでにいろいろと備えないと……。


 カレンダーが必要だよね。

 私はリビングの壁に、剣でしるしをつけた。

 毎日ここにしるしをつけていこう。

 まずは「一」っと。


 今日は森の中をいろいろと探索しようと思う。

 ノルンちゃんが言ってたけど、昼間は森の中でも比較的安全らしいからね。

 だからノルンちゃんも護衛を付けずに森の中を通ることができたらしい。

 暗くなる前に、森の中を探索しよう。


 今日はシャルも一緒に連れていこう。

 犬って、散歩好きだもんね。

 身体を動かすことも必要だ。

 メープルはお留守番。

 羊を散歩させるなんてきいたことないしね。


 シャルと一緒に、森の中を歩く。

 私と一緒にお出掛けできて、シャルはとっても嬉しそうだ。

 しっぽをふりふり、舌を出して「はっはっは」と興奮している。


 しばらく歩くと、シャルが「ワンワン!」と吠えだした。

 そして、茂みの中へと入っていく。


「どうしたの? 待ってー!」


 私はシャルの後を追いかけた。

 もしかしたら、なにか見つけたのかな。

 犬って鼻がきくっていうし、匂いでなにか察知したのかも。

 シャルについていくと、なんとそこにはいくつかの野菜が生えていた。


「わ……! これ野菜畑……!? でも、誰かの手が入った形跡はないし……野生のものかな。これ、もらってもいいよね?」


 私は生えていた野菜を収穫していった。

 これはうれしい収穫だ。

 野菜をもって帰れば、栽培できる。

 コームギだけじゃ飽きてきてたんだよね。

 新しい野菜が手に入れば、料理の幅が広がる。


「えーと、なにが手に入ったのかな」


 インベントリを見る。

 野菜は全部で3種類。

 人参によく似た、キャットロという野菜。

 トマトによく似た、メメトという野菜。

 かぼちゃによく似た、キャンプキンという野菜。


 全部面倒だから、ニンジン、トマト、カボチャ、でいいか。

 とにかく、それらがいくつか手に入ったよ。

 シャルのおかげだね。


「ありがとう、シャル。ナイスだよ~。またなにか見つけたらお願いね?」

「わんわーん!」


 シャルを連れてきて正解だったな。

 しばらく歩くと、またシャルが何かに反応した。

 追いかけて行ってみると、なにやら見たこともない草が生えていた。

 一つとって、インベントリに入れてみる。


「こ、これは……!」


 なんと、そこに生えていたのは【薬草】だった。

 ファンタジーRPGといえば、欠かせないのが薬草だよね。

 そっか、これが薬草なのか。

 そういえば前にも生えてるの見たことあるな。スルーしてたけど。


「これがあれば、もし怪我したときも安心だね……!」


 今まで怪我に怯えて暮らしていたけど、これがあれば安心だ。

 回復アイテムがないなんて、戦いにならないもんね。

 薬草はこれからも必要そうだし、いっぱい集めておこうっと。


 私は生えている薬草を片っ端から引っこ抜いた。

 これも栽培できるのかな。

 それに、ポーションを作る材料にもなりそうだ。

 薬草って、売れるのかな。

 ノルンちゃんに買い取ってもらったら、よさそうだ。

 きっと薬草の需要はそれなりにあるはず。


 薬草を採取していくと、ひとつだけ、色や輝きの違う薬草があった。

 もしかして、レアアイテム……!?


「これはなんだろう……?」


 拾ってみると、なんとアイテム名は【神秘の薬草】となっていた。

 これ、もしかしてめちゃくちゃすごいアイテムなんじゃない……!?


「なんか、宝くじに当たった気分だ……」


 きっとすごい回復効果に違いない。

 大事にしまっておこう。


 私が薬草を採取していると、「こっこっこっこっこ」と間抜けな鳴き声がきこえてきた。

 ふと足元を見ると、そこには二羽のニワトリがいた。

 こっちの世界では、ニワトリじゃなくてコッコというみたいだ。


「こっこっこっこっこ」

「あら、ニワトリさん。こんにちは」


 どうやら敵意はないようで、人懐っこくこっちに寄ってくる。

 私に興味津々なようすだ。

 もしかしたら、テイムできるかも?


「えい……! テイム!」


 すると【コッコ×2 をテイムしました】

 よし、テイム成功だ。


 結構可愛いな。

 でも、ニワトリはうれしい誤算だ。

 あ、チキンにして食べようってわけじゃないよ!?

 まあ、それも考えたけど……。


 でも私に懐いてくれてるし、食べるのはちょっとな……。

 ニワトリのなにがいいかって、卵を産んでくれることだよね。

 毎朝美味しい卵が食べれたら、幸せだろうな。


 ニワトリ1号には、ぴよ坊と名付けた。

 ニワトリ2号には、ぴよよんと名付けた。

 よし、ニワトリテイムしたから、そろそろ帰ろうか。


 私は二匹のニワトリと、一匹の犬を引き連れて、家まで帰ってきた。

 よし、まずはニワトリ小屋を作ろうか。

 家を作るのと同じ要領で、木材ブロックを使って、ニワトリ小屋を作る。

 ついでに、犬小屋と羊小屋も作っておこうか。


 でも、シャルとメープルは私にべったりで、寝るときも一緒だから、基本は必要ないかもな。

 けどこの先動物が増えたときのために、一応作っておいた。

 ニワトリ小屋の地面にはコームギを敷き詰めておいた。

 ニワトリ小屋はこれでよし。

 

 次はとってきた野菜を植えよう。

 野菜をいくつか植えて、骨粉をふりかけると、ちゃんと成長した。

 よしよし、これで野菜の安定供給が可能だぞ。


 薬草も植えてみて、骨粉をかけたら成長して、増えた。

 うん、薬草も栽培できるんなら、かなり便利だね。

 でも、神秘の薬草だけは、植えて骨粉をかけても、なにもならなかった。

 

 なので仕方なく、ひっこぬいてインベントリに戻す。

 どうやら神秘の薬草は人工栽培ができないみたいだ。

 レアアイテムだからかな?

 まあ、できないなら仕方ないね。

 これは大事にとっておこう。


 さてと、次はなにしようかな。

 そうだ、ゴーレムを作ろう……!

 防衛するときにきっと役立つだろうしね。

 それに、お留守番もまかせられる。

 一人で戦うの心細いんだよなー。

 またゾンビがきたときに、ゴーレムがいてくれたら頼もしい。

 

 実は、ノルンちゃんにもう一冊本をもらってたんだよね~。

 本のタイトルは、【ゴーレムの作り方】

 この世界には、魔法をつかったりしてゴーレムが作れるらしい。

 だけど、ゴーレム作りにはめちゃくちゃな知識と労力が必要なんだそうだ。

 正直、本の内容はちんぷんかんぷん。


 だけど、なんと私は本をパラパラっとめくっただけで――

 【ゴーレムのレシピを追加しました】とメッセージが出たのだ。

 それで、クラフトメニューを開くと、そこには今まで存在しなかった、ゴーレムのレシピが!

 どうやら私の場合は、魔法と同じで、レシピを見るだけでクラフト可能になるらしい。

 ゴーレムをつくるための難しい理論や、魔法陣は必要ないみたい。

 これってすごくない……!?


 ということで、さっそくゴーレムをつくろう。

 普通にクラフトすればいいのかな。



 ◆石のゴーレム

 必要素材

  ・石ブロック×100

  ・銅インゴット×10



 ◆鉄のゴーレム

 必要素材

  ・鉄ブロック×100

  ・銅インゴット×10



 うげ……鉄のゴーレムはめっちゃ鉄食うなぁ……。

 でも仕方ない。

 とりあえず、石のゴーレム5体と、鉄のゴーレム1体をつくった。

 鉄のゴーレムは石のゴーレム5体分くらいの強さらしい。


 ゴーレムはそのまま石をくっつけたような見た目をしていた。

 大きさでいうと、2,3メートルくらいある。

 人型で二足歩行していて、石でできた巨人って感じ。

 ちょっと目とかは可愛い。


「ゴゴゴゴゴゴゴ」


 ゴーレムは洗濯機みたいに、ゴウンゴウン音を立てて動く。

 とりあえず、家の周りを防衛させておくか。


「よし、君たちはこの家をまもりたまえ!」

「ゴゴゴゴゴゴゴ」


 ゴーレムに感情はあるのだろうか?

 無機質な返事をして、ゴーレムたちはそれぞれ持ち場に着いた。

 うん、これで安心だね。

 

 ゴーレムが出来たことで、安心したのもつかの間。

 シャルがいきなり、めちゃくちゃ吠えだした。


「ワンワンワン!!!!」

「ど、どうしたの!? シャル……!?」


 さっきまでとは違って、ただならぬ気配を感じる。

 なにか大変なことを知らせようとしている……?

 シャルはいきなり走り出した。

 私は必死にシャルを追いかけた。


 シャルが草むらに入っていく。


「シャル……?」


 すると、そこには一人の男性が倒れていた。

 怪我をしているのだろうか、意識を失っているようだ。


「大変……!」

 

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