第7話 はじめての来客


 朝起きたら、またしてもイノシブタが罠にはまっていた。

 うん、毎朝新鮮な肉が届くって、いいね。

 さっそくイノシシをシメて、生肉にする。


 他にもボーンアーチャーが罠にはまってて、骨をゲットした。

 さてそろそろ家を作りたいな。

 さすがに洞窟生活を続けるのは、あんまりよくない気がする。


 洞窟は日光も差さないし、換気の面でも空気が悪い。

 なので洞窟の近くに、ログハウスを建てることにした。

 こんどはちゃんとした、豆腐じゃない家を建てようと思うよ。


 えっと、まずは建材を集めるところからだな。

 今回は木材だけじゃなくて、土台部分と屋根部分に、石レンガも使いたい。

 石レンガブロックは、石ブロックをかまどで焼けば作れる。

 

 まずは石ブロックをかまどに大量に突っ込んでおこう。

 石レンガは大量に使う予定だから、かまどを5つくらい置いて、平行で焼いておく。

 んで、かまどで石焼いてるうちに、私は木を集めてこよう。


 鉄の斧を作って、私は森へやってきた。

 鉄の斧は、石の斧よりも素早く木を切り倒すことができる。

 石の斧だと10回ほど叩かなくてはいけないが、鉄の斧だと7回で済む。

 耐久力も鉄のほうが上だ。


 2時間ほどかかって、木材ブロック×2000個を集めた。

 かなり木を切り倒したので、私の家の周りはちょっとした開けた広場になっている。

 戻ってきて、さっそく建築を始める。


 まずは土台部分に石レンガブロックを使う。

 んで、柱は原木ブロックを使うよ。

 原木ブロックは木材ブロック×4で作れる、おしゃれな原木風デザインのブロックだ。


 壁を木材ブロックで埋めて……っと。

 扉と窓も付ける。

 んで、まずは一番大きな部屋はリビングにして……っと。


 いくつか部屋を区切ることにする。

 まずはリビングでしょ。んで、トイレ。

 あとはお風呂。

 露天風呂もいいけど、やはり森の中とはいえプライバシーは大事。

 それに冬は外だと寒そうだ。


 それから、作業場も作る。

 作業場にはかまどなんかを置いて、いろいろ作業できるようにする。

 んで、スコップで地面を掘って、地下も作っておく。

 地下には収納ボックスをたくさん並べて、倉庫にする。


 あと、キッチンもいるよね。

 まあ、一階はこんな感じかな。

 んで、階段ブロックをクラフトして、階段を作る。

 

 二階には、まず私の寝室を作るよ。

 んで、他にもいくつか部屋を作っておく。

 一応、来客用?

 まあこんな森に人なんかこないだろうけどねー。


 んで、最後は屋根で天井を閉じる。

 屋根は階段ブロックを、階段状に置いて、三角屋根にしたよ。

 屋根裏部屋もつくれそうだな……。

 ちなにみ、屋根の全体は木材、ふちは石レンガブロックで建材を変えてみた。

 

 建築はブロックを置くだけでできるので、簡単でいいな。

 現実だったら、こうはいかないもんな。

 あっというまに、私一人でも家を作ることができた。


「よし! 完成……!」

「メェ~」


 洞窟からいろいろアイテムをこっちに持ってきて、お引越し完了。

 罠や柵も、家の周りにお引越ししたよ。

 

 あれ?シャルはどこだろう。

 シャルはそのへんで、骨を噛んで遊んでた。

 ふと見ると、骨が粉々になっていた。


「もう、シャルったら……」


 シャルの噛む力があまりにも強すぎるのだろうか。

 まあ、子供とはいえフェンリルだもんね。

 骨程度じゃ、すぐ壊れちゃうか。


 しかたない。

 私は新しい骨を与えて、粉々になった骨を回収した。

 粉々になった骨をインベントリに入れると「骨粉」というアイテムとして収納された。


「骨粉……?」


 これはなにに使うのだろうか。

 鑑定して説明を見ると、肥料になると書かれていた。

 お……じゃあさっそく肥料として使ってみよう。


 私は畑に行って、コームギに向かって骨粉を撒いた。

 すると……。

 なんと一瞬にして、コームギは収穫可能な大きさまで育った!


「うわ……! これすごい……!」


 まさかボーンアーチャーの骨にこんな使い道があったなんて。

 じゃあ、もしかしてコームギ以外にも使える?

 私は収納ボックスから余っていた骨をとりだしてきて、クラフトで骨粉に変えた。


 んで、骨粉をリンゴの苗木にまいてみる。

 一回じゃ効果なかったので、もう一回。

 すると、なんと一瞬でリンゴは木に成長して、美味しそうな実をつけた。

 

「おお……! これはすごい……! チートじゃん!」


 その要領で、シオの木の苗や、サトーの木の苗も成長させる。

 あっという間に、私の家の周りに大農園が出来た。


「骨すげえ! これはボーンアーチャーをまた狩にいかないとな」


 そうこうしているうちに、日が陰ってきた。

 今日は建築したから、かなり時間をとられたな。


 いっぱい働いたし、今日も風呂に入って、ご飯食べて寝よう。

 今日のご飯は、パンに肉を挟んで、そこに塩をかけたものだ。

 あと、デザートにリンゴを食べた。

 だんだん、ちょっとずつだけど食事も豪華になってきたな。


「よっし、おやすみ~」


 完成したばかりの新居で、私は眠りにつく。

 洞窟と違って、やっぱちゃんと建てた家ってのは落ち着くな。

 木の香りがして、ぐっすり眠れるよ。


 私はメープルとシャル、もふもふ二匹に囲まれて、あったかい~ってなりながら寝た。

 

 んで、朝。

 なんだか寝起きで身体が痛い。

 昨日めっちゃ建築したから、筋肉痛かな……。

 ぼーっとする。


 寝起き覚ましに、風呂に入ることにする。

 朝風呂っていいよね。

 せっかくだから、五右衛門風呂を庭に出して、露天風呂といこうか。


 私は家の外に風呂を設置して、服を脱いだ。

 んで、朝風呂を堪能する。


「あ~生き返る~ってかむしろ昇天する~」


 朝から風呂入ってのんびりできるとか、最高だ。

 社畜時代じゃ考えられないよな。

 顔を洗って、風呂であったまって、シャキッとしたところで、風呂を出る。


 風呂を出た瞬間だ――。


「あ…………」

「きゃ…………!?」


 森の中から現れた人間と、目が合ってしまった。

 なに!?覗き……!?

 幸い?なことに、現れたのは女性でよかった。

 いや、なにもよくないけど。

 私は一応、裸を見られたので叫んだ。


「きゃあああああああああああ!?」

「きゃあああああああああああ!?」

 

 向こうもなんか叫んだ。

 てかこの人、なにものなんだろうか……?

 大きなカバンを背負っていて、帽子をしている。

 旅の商人かなにかかな……?


 背はとても小さく、子供みたいに見えるけど、たぶん大人だ。


「あ、あの……こんな森の中で裸で……なにしてるんですか……? 変質者……!?」

 

 女性はひどく警戒しているようだった。

 てか、失礼だな。


「わ、私はここに住んでるんです! 変質者じゃありません! お風呂に入ってただけです!」


 そう弁解すると、女性はくびをかしげて、困惑した。


「へ……? こんなとこに住んでるんですか? ますます変わった人です……」

「で、でも私エルフだし! 森に住んでてもおかしくないでしょ!?」

「……? エルフなら、街にもいますけど……」


 まあ、そりゃそうか……。

 きっと彼女には、わざわざ森に棲んでいる変な女だと思われているのだろう。

 たぶん一般的なエルフはもはや森には住まずに街に住んでいるのだろう。


「と、とにかく……服着てもいいですか?」

「あ、はい……どうぞ」


 服を着て、とりあえず彼女を家に招く。

 この家に来た最初のお客さんだ。


「えーっと、それで……お名前は?」

「私はノルンといいますです。旅の商人です」

「そうなんですか……。お一人で旅を……?」

「ええ、まあ……。それで、あなたの名前は……?」


 あ、そうだった。

 私の名前……そうだな……。

 こっちではどういう名前が普通なんだろうか。

 まあ、でも、前世の名前を使っておくか。

 私の名前は、お母さんがつけてくれた大事な名前だから。

 きっとこっちでも違和感ないでしょ。


「私はサクラ。百瀬桜です」

「……? か、変わったお名前です……で、でもなんだか素敵なお名前」


 違和感あるんかい!

 てか、気つかわれた!?

 

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