祭へ酷く暗い目を向ける男に、サラインのダジは興味を惹かれた。タランガンとのみ名乗った男は己が傭兵であり、灰色狼退治の仕事へ赴く途中であるという。と、ダジはその仕事の裏にある事情を語り、自分の仕事が雇い主の真の狙い——すなわち龍退治であることを明かした。ダジと共に向かうと決めたタランガンは、死地の底にて龍と対峙する!
キャラクター力に圧倒されました! タランガンさんとダジさんの出会いに目を引くような事件はありません。でも、静かな会話劇から各々の個性や心情、スタンスまでが匂い立ち、たまらないドラマを魅せてくれるのです。これはセリフがひとつとして「とりあえず置いてみた」ものでなく、含められた説明すらも物語的な表現として成立していればこそですね。
そしてバトル! 世界観がたっぷり練り込まれた描写の濃やかさは読み応えしかなし! しかもそれが重ねられていくリズムが気持ちよくて、惹き込まれるのです!
ヒロイックファンタジーの醍醐味を存分に味わわせてくれる一作です。
(「剣閃き魔法輝くヒロイックファンタジー!!」4選/文=高橋剛)