第2話 私の”生きがい”だったこと



私は、生まれてこの方自分に自信があると思ったことがありません。

そういう人は、私以外にも大勢いるでしょう。

もともとの性格がそうだと言えばそれまでですが、性格以外に、自分への自信のなさを裏付ける根拠がありました。


私は、自分の学歴がコンプレックスです。

気を悪くする人がいたら、申し訳ないと思っています。

ただもし自分と同じような人がいたら、この文章を読んで、どう感じたか教えて欲しいのです。


私は、2019年に京都大学を卒業しました。

昔から負けず嫌いであることは、自分でも自覚していました。

また同時に、人から教わることを完璧にしなければ気が済まないという性格でした。

小学校、中学校、高校、で成績をひたすら気にしていたのは、特に後者が原因だったことが大きいかもしれません。

テストの点数が悪いと、気持ち悪いのです。

「分からない」という感覚に、焦りを覚えました。

周りの人からどんどん、自分が置いていかれるようで、それが「怖い」とさえ思っていました。

頭が良くなりたい、とか、

将来学者になりたい、

大企業で働きたい、

という願望は微塵もありませんでした。


ただひらすら、やることなすこと全て、「完全」であることが、私の理想でした。


とくに勉強においては、努力次第で力がつけられることだったので、ことさら力を入れていたんだと思います。

成績さえ良ければ、先生からも褒められます。

一目置かれます。

贔屓目に見られます。

親も「勉強しなさい」と言ってくることはありません。

何より、それだけが自分の「自信」に繋がりました。

成績という、分かりやすく数値で示される結果だけが、臆病な私の自尊心を保ってくれました。


教室の中で完璧の地位を築き上げることが、私の生きがいだったとも言えます。

もちろんいつも一番ということはなく、私なんかよりも勉強ができる子はたくさんいました。そういう子がいると余計に頑張らねばという気にさせられました。


成績が良い時もあれば、順位が落ちて悪い時もあります。

特に高校生になると、教室に中間テスト、期末テスト「成績順位表」というものが貼り出されるため、同学年の誰が賢いのか、というのが皆に知れ渡り、成績の上がり下がりが如実に分かりました。

順位が落ちたとき、私はとことん落ち込みます。

家に帰ると悔しさがこみ上げて泣いていました。

精一杯泣いたあと、次こそはと、奮起できたからまだ良かったことですが。

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