第11話 破壊

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「アイゾウお前、まだ言いそびれていることがあるんじゃないか? お前はいつもそうだ、人には、うまく誘導するなりして、洗いざらい吐かせるくせに、自分では重要なことを言いそびれる。まだあんだろ? 神崎に言えなかったこと。」


「あぁ そうだな。あるよ」


コウタは立入禁止のテープを持ってきたカッターで切り取りながら、アイゾウを問い詰められた。大胆な侵入だが、これは行方不明事件を不気味に思った隣人、周辺の人全てが部屋を引き払い、周囲に誰も住んでないことをあらかじめ、調べた上での行動だった。


「実は…クラクはこの本を、読んだせいでこんな事に、なったと言っていたが…オレ目線それだけとは、思えない。」


「どういことだ?」


 

 促された、ことで出たアイゾウの意味深な本音を紐解くためにコウタはさらなる追求をする。 それに対しアイゾウは真剣な声色で答えた。


「考えてみろ…オレとあいつ二人同時に幽霊が見えた日、もう一つ起こった大事件があっただろう?」


「そうか…未確認生命体BB 飛来。 やはりお前もそう思うか…。」


12月15日 18時35分 菜御矢市 都市部の上空700メートルにから突如…未確認生命体の死骸が出現し、落下した。この時間はクラクがモナリザを読み終え、気絶した時間、そして二人がそれぞれ自分に取り憑いた『幽霊』を見始めた時間と完全に一致する。



全長7メートルもある灰色の体色に覆われた魚人のそれは、損壊した肉体から『青い血』

を放出していた、ため『BlueBloodMonster(ブルーブラッドモンスター)』略して『BB』と名付けられた。


2つの事象どちらも体験、目撃しているアイゾウは、もちろんのこと、この2件の関連性はコウタも頭の片隅では疑っていた。


「クラクは自らの体験から本こそに関係があると言っていたが、俺が見え始めたのは、あのバケモノを見てからだ。 俺目線では、そっちのほうが臭う。」


「アイゾウ…お前だからなぁ そういう大事なことは、ラーメン屋の時点で言っとけよ。まじでよ。」


「臭いセリフ履く前に、他に大事なこと言わなきゃいけな……なんじゃこりゃ」


「どうした?」


コウタは通話しながらもなんとか防がれていたドアをピッキングして、中に入った。しかし、そんなコウタを待ち受けていたものは赤く染まったガラス片が床一面に飛び散り家具やら物が散乱した玄関だった。


「アイゾウ…ビデオ通話だ…画面を見ろ見ろ。」


コウタは予め切り替えておいた。通話のビデオモードを再起動し、アイゾウにも、部屋の様子がわかるように、そのままカメラを正面に向け、部屋の中を画面に映し出されていた。


「おいおい…随分荒れてんな…。」


「あぁ…ブーツでも履いてこればよかったぜ。」


コウタは家に入ると、鞄に入れていた黒い手袋をはめ小型の監視カメラを複数廊下や壁の目立たない場所に配置した。その様子を画面越しに把握していた。アイゾウが、ふと疑問を口にした。


「所で…おまえ…六道ソウスケの部屋で何を何をどうやって、探すつもりなんだ?」


「さあな、だが俺達の中では、あいつがいちばん怪しい、それはアイゾウ、おまえが一番感じていることだろ? 俺は少なくとも神崎の話を聞いて、あいつが死んだなんて警察の見解にも疑いを持ってる。」


「なるほど、もし何かしらの理由で六道ソウスケが雲隠れしているなら、いずれは此処に戻って来る可能性が高い。じゃあコウタ、おまえが仕掛けた監視カメラは、そのためか。」


「そういうことだ…。全く犯罪行為までしてる割にリターンは期待できそうにないな。 それよりもおまえが本の元の出処のほうが期待できる。」


コウタの主張を聞いたアイゾウは深くため息を着いて再びパソコンに向かい、本のことを調べ始めた。 しかし、コウタは散らかった廊下の奥をに入ると、壁に大量に貼り付けられた写真を撮影し再び、アイゾウを呼んだ。


「おい…見ろ…どうやらビンゴだったみたいだぞ…。」


「あん?今度はなんだよ…ッ…これは?!」


そこにはモナリザと同じであろう本の画像が複数のページに分けて、大量に貼られていた。

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