第三話 異世界転生者

その物語は、感情と意思を地獄によって取り除かれた少年…。


少年アルテリアが新たな命を得て『異世界』に生れ落ち旅をする、ファンタジー小説だった。



『か弱きもののための護られた世界樹』、『重油喰らう暗黒の根海』、『月の砂降る永夜の巨大海岸』『鉄と油の光り輝く深淵』、『最も楽園に近い真森』、『漆黒の地平線』『グリーンセル・エクスプレス』『龍骨の大熱湖』『黄金パイプの機械騎士団護るカゲロウ城下街』『モノリス達の黑故郷』『魔王城跡地』『重オーロラと酔いしれるカエル共の隠れ家』『誘いの影沼』『ウィストロル女神の大教会』『至り着く頂き』



少年アルテリアの冒険、その旅の道中を通して満遍なく無数に記されたその世界は、俺達が生きる世界とは比べ物にはならぬほど、果てしなく壮大でどこまでも幻想的な世界だった。


アルテリアは膨大な旅路の果に、遂に望むもの、望まぬものをも全て手にする。


まさしく王道といった展開を迎える、ファンタジー小説の長編だったが、なぜか一つだけ他のこの手の物語から、明らかに違うところがあった。


リアリティーだ。


オレ達の住んでいる、この世界より何百万、何億倍も大きく、それでいて遥かに奇天烈かつ幻想的、ファンタジーらしくまるで気が遠くなるほどのスケールの差がある、世界観を、オレはどういうわけか、架空のものとして捉えることができなかった。 この物語があたかも史実であるかのような確信は、実はもうこの頃からあった。


最終ページを見るまではオレはずっとこの本なタイトルは『異世界殺し転生者のアルテリア』だと思っていた。 だがこの本は極めて奇妙で珍しいことだが、最終ページに物語のタイトルとは別にこの本の名前が記されていた。



『この魔導書の名はモナリザである』


そう最初に記されたページには、その文言の下に小さく、この世には、存在しない文字で文章が記されていた。


この物語にのみ登場する古代の魔術文字である。


この文字は断片的にだが、きちんと理解するには充分に物語の中に登場する。 最後のページまで、数時間で読み切ってしまうほどこの本の虜になっていたオレは、当然この文字を解読してやろうと舌を巻いた。


しかし、その時、突然正面から色白い手が現れて本と、俺の片腕ガシッっと掴んだ。


「なっ?! なんだッ お前は!!」


慌てたオレが、正面を見上げるとそこには

2メートルを超えるくらいの高い身長をもち

頭にはそれぞれを巻きつける8本の細い角をもち、背中には四対のカラスの羽根と悪魔の尾をもつ美女がこちらを見下ろしていた。


目を合わした瞬間、突然強烈な眠気に襲われ、抗う間もなくオレはその意識を手放した。


それと同時に、外からは、明らかにナニカ巨大なものが落下したような轟音がここまで鳴り響き地面を強く揺らした。


オレはその女の存在を知っていた。 それは読んでた本に登場していた。人物だったからだ。


それは、主人公アルテリアの時代から、遥か前、勇者と、人と神の最終戦争時代、その力を持って猛威をふるい続けた存在


『封じられた最災厄者』



『魔王』と呼ばれる存在だった。


あぁ やっぱり本当の出来事だったんだ… あの物語は。


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      モノリス ナゴヤ


モノリスランク  F

          


       タイプ アーティファクト

      元所有者 獣の女神 アルガサ



魔能発動精霊消費    ☆

クールダウン      ∞(制限なし)

損壊力/死誘力      ☆/☆

能力発動スピード   ☆☆☆☆☆  

耐久性/タフネス    MAX

発展性/進化余地    なし


全長3メートル 重量700キログラムを誇る黒い鏡のような物体。


あらゆる物をこの物体に近づけると、反射して映し出されたそれの頭上に何かしらのローマ字、或いは記号も映し出されれる。


その文字はものの価値、能力、危険度をを総合的に記しているとされ、基本はSABCDEFG の順番に優れているとされているが 稀に記号が映る時がある。


記号は現在各国合わせて『!』『?』『↑』の3種類が確認されているが、何を表しているかは不明。



今やそれは、あらゆる物の評価として、国をこえて現代社会で用いられている。



西暦2003年世界的に大規模かつ本格な地殻調査が行われた際、地下900メートル地点から全世界で計22本のモノリスと呼ばれる黒い反射物体が見つかった。


これは日本の菜御矢で発見されたものである。




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