五日目「勝利者調整について」⑤

「ふわーやっぱり家が落ち着くんじゃー」

 ロッテが敷いた布団に転がる。長年住んでいる我が家のような発言だが、私の家である。

 自分の家にロッテと一緒に戻り、最後の夜を過ごすことにした。昼がラーメンで割りと重めだったので、簡単に済ませることにした。今日もロッテはお皿を洗うのを手伝ってくれた。

 お茶を入れてソファで並んでくつろぐ。テレビでは犬の赤ちゃんが写っていた。

 リンゴさんがいないだけで随分家が静かに感じる。

 それだけではない。

「あんず、だいじょうぶ? 具合悪いんじゃ?」

「うん……」

 私が気落ちしているのをロッテは気にしているようだ。

 ポチの部屋に入ったことは当然見られているが、ポチはスクラップブックを見たことまでは気が付いていないはず。

 たぶん。

「何を見たんじゃ?」

「……うん」

「うんじゃわからん」

「私も、よくわかんない」

 スクラップブックにあったのは断片的な情報だった。それだけで何を察すればいいのだろうか。

 何があったかはわからない。

 何かがあったかはわかる。

 それだけだ。

「それ、えろい方向の?」

 本気ではなく、おどけで冗談めかしてロッテが言う。

「いや、違う……」

 ポチと紫桐さんを結びつけているもの。

 ポチと一ノ瀬先輩を結びつけているもの。

 それらについて、だ。

「まあ、あんまりくよくよせんことじゃな」

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