第7話

 あれから週が明けて月曜日。

 冬休みの宿題が渡される一週間。金曜日が終われば約一ヶ月の冬休みだ。

「絢瀬〜!」

 二時間目と三時間目の間の十分休みに呼び出された。何用かはすぐに予想がつく。から、なぜ二人で来た?と疑問が浮かぶ。

「ひな、例のものだ」

「うん。わかってるんだけど、危ない組織の取引、みたいな言い方はやめようねっ⁈」

「諦めるんだ、うん」

 九条…。そんな子供を宥めるような視線を向けるな。そして肩に手を添えるな。僕らの関係を知らない人が見たらどう反応するか知らん。それに諦めるべきなのはわかってる。こいつが中二病街道を独走まっしぐらなのは昔からだからな。

「で、これ。緊急用のホイッスル」

 そうだ、うん。そのはずだよな。

 スッと清嗣が僕にかける。

「あ、ありがと…」

「綺麗だな」

 あのな、ここ、学校なんだよなぁっ!人目ありすぎて恥ずかしいんだよ!きみはそんなこと気にしないタイプだったか?いや、後で気づいて恥ずかしくなるタイプだったか…?だとしたら絶対気づくなよ…?

 かけられたそれはホイッスルにも笛にも見えない、ペンダントみたいな可愛いやつ。

「幸い、清陵にアクセつけちゃだめ、なんて校則はないし、ずっとつけてるといいよ」

「うん。ありがとう、九条」

「選んだの、梅小路なんだ」

「コイツ、赤十字だったかのやつにしようとしてたんだぜ?ありえねぇよなぁ」

「言うな」

 なんか、とても想像つく。デザイン性というか、シチュエーションっていうか、そういうのが思考回路に組み込まれていない感じ。それから、二人であれがいいこれがいいって話してる姿。

「ありがとね、二人とも」

「おう」

「ん」

「じゃ、また放課後」

「うん」

 教室に戻って席につく。基本的に話し相手がいないここで、無理して関係を築くこともない。読みかけのラノベを開いた。

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