16.M3-8
木田からエフェクトが発生し、俺は光に包まれる。
初めての追加スキルを獲得。
木田からの二つ目の頼み。
それは「
これで俺も人殺しか…… あっけないものだ。
スキル<空間察知>。木田の思い。必ず継がなければならないと誓う。
「さて……戻るか……」
女性二人の方を向く。
「あっ……!」
早海さんが声をあげ、俺の背面にあたる上方を見つめている。振り返り、その方向を確認する。
「あ……! やべえ……!」
木田から発生したエフェクトのせいか巨大なカマキリの死体がバランスを崩し、倒れる。
その衝撃は凄まじく、戦闘中暴れまくっていたせいもあってか建物が異音を発し始める。
「崩壊します…… こっちです……!!」
白川さんが冷静に誘導してくれる。
◇
「で、どうするんですか? この状況……」
「……いや……ちょっと運が悪かったです」
白川さんは目線を逸らしつつ、バツが悪そうな顔をしている。
白川さんの誘導に従った結果、俺達は倉庫のような場所に閉じ込められてしまった。
頑丈な倉庫は崩壊を免れたところまではよかったが、運悪く、出口が塞がれてしまったのである。
「まぁ、今、生きているのは白川さんのおかげじゃないですか……」
早海さんが白川さんを擁護する。
「そ、そうですね……そうですが……」
残り時間は四十分。移動時間を考慮すると、タイムリミットはそう長くない。
俺は攻撃系のスキルを持たない。
唯一の攻撃手段である通常攻撃のブレイドでは、厚い壁は破壊することはできない。
「何か秘策はないんですか? ファシリテイターの特殊スキルみたいな!」
「私は特別、強いわけではないのですが……」
「……」
疑いの目を向ける。
「……仕方がないですね…… 私の保有する三つのスキルを開示しましょう……」
「おっ……!」
待ってました! 白川さんは言葉通り、仕方なさそうに目を細めている。
「私の能力……一つ目は<ホログラム>です。知っての通り、実体のない灰色のホログラムを出現させることができます」
知っています。それでは、この状況は打開できそうにありません。
「次に<火葬>です。火炎の火に、葬るで
「お……!」
強そうな響きである。俄然、期待感が高まる。
「この能力は、任意の遺体を激しい炎で火葬することができます」
「……え? 遺体だけ?」
「はい……ターゲットできるのは遺体だけです」
早海さんが殺害してしまった火野さんを焼失させたのはこの力か…… 確かにそこら辺に遺体が転がっていたら嫌だから、便利っちゃ便利だが、全然使えねぇじゃねえか!!
「そして最後のスキルが……<二重意識>です」
二重……意識……?
「……なんですか……? それ……」
「実は、私は右目と左目で異なる二つの意識を持っています……」
「え……? マジすか?」
「えぇ、本当です。右目の私と……左目の……私……です」
「…………」
全然わからん。そして終わった。
ここから脱出するのに何の役にも立たない。皆さん、すみません……
「あのぉ……」
「……?」
蚊帳の外気味であった人物が発声する。
「右のボタンを押すのは確かに怖いです…… だけど、気づいたんです…… 右のボタン……使わなきゃいいんだって……」
「え……? どういうこと……?」
「脳波コントロールを使うということでしょうか? だけど、あれはそれなりにやり込まないと……」
白川さんが早海さんの意図を汲み取ると同時に、その難しさを指摘する。
「これまで守ってもらってばかりで本当にごめんなさい…… 平吉さんと木田さんに……勇気を貰いました……」
「……」
「私……やってみます……」
「え……? え?」
脳波コントロールが使えたとして、何かできるのだろうかと思う。
「私のスキルは<アナライズ>……他人のスキル名を確認することができます」
「……」
確かに便利ですが、やはりその能力で、どうやってこの状況を打開するのでしょう……
「そして、私には……もう一つ……スキルがあります」
「!?」
「私が……火野次長から受け取った能力は……<ペネトレイト・レーザー>です……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます