04.I1-2

「……」


 高峰さんであることはすぐにわかった。


 高峰さんは、一言で言うならクール・ビューティである。

 大きな目に高い鼻、長めの黒髪で、あまり他人を寄せ付けないようなオーラを放っている。

 仕事でも飲み会でもわりと淡白な対応なようで、話しかけてもあまり会話は続かないらしい。


 まさに<高嶺の花の高峰さん>だ。


 そんな高峰さんが突然、現れたものだから、俺は咄嗟に目を合わせないように顔を背けてしまった。


 普段であれば、絶対に話さないような相手なのだが、この状況なら、挨拶くらいした方がいいのだろうか……とも思うが、現在の不安定なメンタル状態で、高峰さんによる塩対応を受け、追い打ちをかけられるのは流石に辛い。


 結局は普段の俺と変わりなく、なるべく意識していないような素振りで待機を続けた。


「あの……」


「へ?」


 予想外過ぎる相手からのアクションに、へたれた声で反応してしまった。


「あ、え、えーと、何でしょうか?」


「平吉さん、すごいですね……!」


「えっ!?」


 なんだ? なんだ!? 高峰さんに話しかけられるどころか褒められている?


「前回の優秀者のランキング、一位だったじゃないですか。しかも、三位以降には、かなり差をつけてでしたし……」


「あ……えーと、まぁ、ゲームとか得意だったので……」


 話を盛るスキルは持ち合わせていないため、ありのままの事実を歯切れ悪く答えた。


「そうなんですね…… 私、ゲームなんて子供の頃に兄に借りて、ちょっと遊んで以来、ほとんどやったことがなくて……」


 高峰さんは、少し俯き気味に言う。


「そうですよね……」


「……」


 俺が相槌を打つだけで話を広げられないせいか、沈黙が発生してしまう。


 しかし、高峰さんの方から口を開いてくれた。


「あの……もしよかったらなのですが、シミュレーション訓練……一緒にやってもいいですか?」


「あ、はい…… って、え?」


 反射的に了承してしまったが、内容の再確認を行う。


「あの……さっきも言いましたが、ゲームとかあまりやったことがなくて…… 実は、最初のミッションも部屋から出たところでフラフラしていただけなんです……」


 ある意味、最も効率的にクリア条件を満たしている。


 部屋から出たかどうかだけでこんなにも結果が異なるとは誰も思わなかっただろう。


「だから、少しでも練習しなくちゃと思って来てみたのですが、一人でシミュレーション訓練というのがとても不安で…… 差支えなければ、色々と教えていただけたらなって…… あ、でもご迷惑でしたら全然いいので……」


 こんなに丁寧にお願いされてしまったら断るのは、なかなか難しい。


 終わった後、友沢に何か言われそうなことだけが気がかりではあるが……

 宇佐さんに怒られる……なんてことはないよな……


「こちらは構いませんよ」


「あ、ありがとうございます」


 高峰さんは、ほっとした様に少し微笑んでいる。高峰さんの笑っている顔なんて初めて見たかもしれない。


 ◇


 ほどなくして、シミュレーション訓練の個室に案内される。広さは四畳くらいであろうか。


 非常に目が疲れる純度百パーセントの真っ白の部屋だ。その部屋の真ん中で立つと、天井から降りてきたヘッドギアを装着させられる。


 バーチャル環境でヘッドギアを付けて本体を操作しているわけだが、その本体にもヘッドギアを付けるという何とも奇妙な状況だ。


『難易度やロケーションにリクエストはありますか?』


「難易度はとりあえずEASYで。ロケーションはファンタジーっぽい世界があると、うれしいのですが……」


 俺は案内音声の問い掛けに回答する。できれば難易度高めでいきたかったが、高峰さんと一緒と考えると最初からHARDにするのははばかられた。


『難易度については承知しました。ロケーションは都市A、都市B、都市Cから選択することができます』


 都市しかないなら、最初から言えよ……と少し思うが、自分自身も状況に見合わない……頭の中がお花畑になっていたと反省する。


「では都市Aでいいです」


『承知しました。それではシミュレーション訓練を開始します』


「!?」


 案内音声の掛け声と同時に白い部屋は荒廃した都市へと変貌する。


 VRのクオリティは一言で言えば、まるで本物だ。

 この世界の技術レベルはどうなっているんだ……などと考えつつもしばらく待機した。


「おっ……」


 空間ディスプレイに、高峰さんの入室リクエストがあった旨と、入室を許可するかどうかを確認するメッセージがポップアップする。


 同空間で複数人が訓練を行うには、最初に空間に入った人がルームマスターとなり、別の人が入室のリクエストを行い、マスターが承認するという仕組みであると案内音声に説明された。


 当然、承認した。


「お待たせしました……」


 高峰さんが足から徐々に全身を描画するようなエフェクトで出現した。


「いえいえ……それじゃあ、行きましょうか」


 その後は、次々に湧いてくるヤギのようなモンスターを無制限に倒すという内容の訓練を行った。


 EASYというだけあって、ゲーム慣れしている俺からすれば、正直に言うと、少し退屈であった。


 高峰さんはゲーム経験ほとんどなしということもあり、かなり苦戦していたが、俺からのアドバイスも素直に聞いてくれて、少しずつ操作に慣れていった。ヤギが出現しない間には、訓練以外の話もした。


「失礼かもしれないですけど……高峰さんってちょっと冷たい感じの印象持ってました」


「そうかもしれないです…… 他人からそう思われているのは、自分でも分かってはいるんです。正直に言うと、人と話すのがあまり得意ではないんです。いつも会話が途切れてしまって…… そのせいか人と話すこと自体に苦手意識ができてしまって……」


 自分も自分の領域に持ち込めない相手と話すと会話が途切れてしまいがちなのだが、まさか高峰さんが同じだとは思いもしなかった。


「でも、今日、話してみた感じ、高峰さんは、そんなに会話が苦手な感じはしなかったですが……」


「そうですか? ……確かにそうかもしれないですね。不思議ですね……」


「もしかして、人と話すことが苦手ってことは、僕は人として認識されていないとかですかね?」


 ヘラヘラしながら自虐ネタを口走ってしまう。


 元から大きな目を更に大きくし、「ちょっと何を言っているのかわからないです」というような表情の高峰さんの顔を見て、いつものように言わなきゃよかったと後悔するが、


「あはは……そうかもしれないですね」


「へ……?」


「冗談ですよ?」


 高峰さんは、目を細めて微笑んでいる。その瞬間は、こんな絶望的な環境にいることも吹き飛んでしまうような感覚だった。


 結局、三時間くらいヤギを狩り続けたところで、高峰さんの疲労が限界に達したため、訓練を終えた。


 訓練により高峰さんの印象も随分と変わった。印象が変わったという意味では宇佐さんもそうではあるのだが、不思議ちゃんという点で変化のない宇佐さんよりも大きな変化かもしれない。


 その後、特にやることもなかったため、難易度HARDのシングルプレイで十五時間ほど訓練をし、眠りについた。


 これがインターバル三日間のうちの二日目の話。


 ◇


 そして今日。インターバル最終日。

 メッセージのポップアップにより目を覚ます。またしても日比谷部長からのミーティングへの呼び出しであった。


「月村次長が殺害された」


 日比谷部長から告げられた内容に会議室がざわつく。確かに生存者数を表す数値は、昨日から更に一人減り、42から41となっていた。


「こ、殺されたってどういうことですか? そ、その自殺じゃなくて……ですか?」


 友沢が皆の疑問を代弁してくれる。


「残念ながら、自殺ではなく、恐らく他殺だろう。今朝、月村次長の遺体が見つかったのは自殺室ではなく、自殺室周辺のひと気の少ない通路であった。斬撃により心臓を一突きにされていた」


 皆、驚きを禁じ得ない様子だ。俺だってそうだ。斬撃ということは、俺達の誰かがやったということか?


「なぜ……殺されたのでしょうか……」


 友沢が呟くように言う。


「私にもわからない。月村次長は知っての通り、誰かから恨みを買うような人間ではなかったはずだ」


 確かにその通りだ。月村次長のような人の良さを具現化したような方が憎まれているとは考えにくい。しかし、殺す理由がわからない。仲間が減れば、それだけ自分自身がキメラに殺されるリスクが上がるだけだ。


「理由はわからない。まだ、我々の内部の犯行であると確定したわけではないが、残念ではあるが、それが濃厚と考えるのが自然だ。こういったことが起きてしまった以上、皆、一人になることは避けてください。また、個室では必ず施錠し、二人きりになることも極力避けてください」


 確かに二人きりでは、そいつが殺人者かもしれないからな。


「そして最後に……月村次長を殺した奴は絶対に許さない…… 見つけ出し、相応の罰を受けてもらう……」


 日比谷部長は眉間にしわを寄せ、低い声でそう告げる。相当な怒りと決意が感じられた。


 その後、重苦しい空気ではあったが、明日に控える次のミッションに向けたチーム分けが発表された。管理層五人をそれぞれリーダーにして、その他のメンバーを合わせ、八から九名のチームに分割された。


 実は、チーム分けすることはファシリテイターからのアドバイスであった。


 チーム分けのメリットは、単純に危険である単独行動にならないこと。逆に、全員がまとまって行動することによる全滅の防止、また多人数行動による意図せぬ仲間討ちの防止である。


 日比谷曰く、ファシリテイターのアドバイスを聞き入れるのは、少々、しゃくではあるが、生き残るために必要であるなら、私は利を取る……とのことだ。


 俺は木田課長配下のチームになった。

 木田チームは、俺、友沢、白川さん、高峰さん、早海さん、西園寺さん、王さんという八名のメンバーとなった。


 宇佐さんは水谷配下のチームとなり、残念ながら離れてしまった。


 どうやらミッション1の成績により戦力バランスを調整したようだ。


 だが、友沢と白川さんとは再び、一緒になれた。その上、高峰さん、早海さんという美女四天王が二人もおり、白川さんと合わせて、女性陣の顔面偏差値が非常に高いチーム構成だ。


 西園寺さんは面識が全くなく初めて認識したが、少々、恰幅かっぷくが良く、名前がかっこいい男性だ。肉体改造をされても体型は改造されなかったようだ。


 王さんは少し一緒に仕事をしたことがある。中国人で身長が高めの男性だ。IT業界の現場には、アジア系、特に中国出身の方がかなり多い。国同士はいくつかの問題を抱えているものの、現場では、ほとんどが気のいい人ばかりだ。


 そして、リーダーは木田課長だ。


 ふと直属の上長である木田課長との過去の会話を思い出す。


 ◆


「平吉、お前はITスキルはとても高い。俺としてはお前を高く買っている」


「あ、ありがとうございます」


「だが、もう少し人をまとめ上げるようなことをやってみないか」


「え……」


「個人の力はいずれ限界が来る。もっと高い視点に立ち、チームを率いるような……」


「いえ……私は今の仕事で十分です。人をまとめ上げるなんてとても……」


「……そうか」


「えぇ……」


「だが、そうなると今のうちの会社の仕組みだと、なかなか上には行き難いぞ」


「……そうですね」




 まだ学生だった頃、親の会社における役職なんてものに興味はなかった。部長だの課長だの係長だのというものをふんわりと聞いたことはあったが、どの程度の違いがあるのかなど全く理解はしていなかった。適当にサラリーマンをやっていれば皆なれるんでしょ? くらいに思っていたかもしれない。


 係長は望めばなれる人が多いだろう。そんなに係なんかないだろうというくらい係長はわんさかいる。

 まぁ、俺は、その前段階である主任試験にすら落ちたわけだが……


 係長の上には課長がいる。課長になれる者は決して多くない。

 課長以上は社員全体の十パーセント程で、エリートと言って、差し支えない。


 社によって呼び方は違ったりもするが、その上に、次長があり、部長は更にその上だ。

 当然、役職が上になれば貰える報酬も大きくなる。


 多くの企業において役職を持つものに求められる力は<マネジメント能力>という謎のステータスだ。


 マネジメント能力とは、簡単に言えば、ヒト・モノ・カネを俯瞰ふかんし、動かす力、そして企業の利益に結び付けること……らしい。


 よくコミュニケーション能力、いわゆるコミュ力という言葉を聞くが、コミュ力はマネジメントのヒトを動かすために最低限必要な力ということのようだ。


 そして、俺、平吉の評価はこうだ。

 業務スキル:〇

 マネジメント能力:×


 一般的な企業において、業務スキルがあるだけのコミュ障では、社会的地位、及びそれに伴う賃金の上昇を期待することは難しい。


 木田課長はそのことを率直に伝えてくれた。俺のような人間が正当な評価を受けられない現状の会社の制度には問題があるとさえ、言ってくれた。


 そして、俺がマネジメント能力に重大な欠陥を抱えていることを承知の上で、昇進試験に推挙してくれたのだ。(期待には応えられず面接で不合格となったが)


 そんなこともあり、俺は木田課長の人間性が嫌いでなかった。


 それゆえ、木田配下のチーム以外になるのは少し嫌だったため、俺としては宇佐さんがいないのは残念ではあるものの、全体的に満足感の高いチームとなった。


 ◆


 まず初めに、簡単な挨拶を済ませた。


 その挨拶の中で、木田が四人の娘を持つことを初めて知る。しかも三女と四女は双子らしい。木田は、俺がそのことを知らなかったことに驚いていた。どうやら俺がネットショッピングの宅配受け取りのために欠席したであろう飲み会において、皆に周知していたようだ。知らないのは必然であった。


 挨拶の後は、チームメンバー合同によるシミュレーション訓練を行うこととなった。


 木田はゲームは嗜む程度とのことであったが、なかなか良い反応を見せていた。


 やはり元々のスペックが高い人は何をやらせてもそこそこできてしまうのだろうか。


 一方、仕事が尋常ではなく速いことで、疾風の早海さんの異名を持つ早海さんはあまり動きが良くなかった。


 美女四天王に名を連ねる彼女の人並み外れたスペックを考えると、意外ではあったが、意図的ではなかったにしろミッション1において、火野次長を殺めてしまったことを引きずっていると考えると仕方がないようにも思える。


 三時間程度、訓練を行い、チーム合同練習は終了した。


 その後はまた一人で訓練を行おうと思ったが、友沢が誘ってきたため、二人で訓練を行うことになった。


「月村次長が殺された件、どう思う?」


 訓練中、友沢が問題の件について意見を求めてきた。


 そう言えば、日比谷からは二人きりになるなと言われていたのを思い出す。


 流石に友沢は大丈夫だよな……と彼を信用するが、そもそもこんなことを思うこと自体が疑心暗鬼な状態である気がした。


 とはいえ、シミュレーション訓練の仮想空間では仮に襲われたとしても死ぬことはないのだが。


「どうもこうもわからねえよ。殺す理由が全くな。仲間を殺せば自分の生存確率が下がるだけだしな」


 思ったことを率直に伝える。


「そうだよな……」


 友沢はいつになく真剣な顔つきで同意してくれる。


「逆に友沢はどう思うんだ?」


「あ、あぁ……俺もお前と大して変わらない意見ではあるんだが、一点だけ引っ掛かってることがあるんだ」


「ん……? なんだ?」


「最初に生存者数が表示された時のこと覚えてるか?」


「……!」


 友沢に言われて、当時、ふと疑問に思ったことを思い出す。


 あの時、最初に表示された数値はであった。


 日比谷によると部内の人数はその日、ちょうど二百名であると言っていたので計算が合わないと不思議に思ったのだ。


「あの時、すでに火野次長は亡くなっていたのに、生存者数が200だった……」


 友沢が答え合わせをするように今、自分も気が付いたことを口にする。


「部内以外の誰かが紛れ込んでいるかもしれない……」


 友沢が更に踏み込んだことを切り出す。


 しかし、「そんな馬鹿な……」とも言い難い。


 部内に二百名もいれば、全員を把握しているわけではない。目立つ人や仕事をしたことがある人のことは知っているが、逆に言えば、それ以外の人は、ほとんど面識がないのだ。


 事実、今回、同じチームになった西園寺さんのことを俺は全く知らなかった。


 そう考えると別の誰かが紛れ込んでいて、それに気づくことができなかったとしても不思議ではない。


「だが、友沢…… 来訪者とか清掃員ってことはないか?」


「いや、恐らくだが、今回の件、場所ではなく、人で選別されている…… あの時、喫煙所に行っていた奴も灰色の部屋にはいたからな」


「そうか……」


 それは気が付かなかった。しかし、確かに高確率で最低でも二、三人は便所に行ってはいるだろうしなと今更ながら当然だと納得する。友沢の黒縁眼鏡の分析力は伊達ではないようだ。


「まぁ、紛れ込んでいる奴が何者なのか、まして何が目的なのかはわからないが、今回の殺人に絡んでる可能性は否定できないな……」


 そんな会話をしつつも、友沢との訓練を二時間ほど行った。友沢は訓練後は、疲れたと行って、去って行った。


 俺は特にやることもなく、シミュレーション訓練の個室は施錠もされており、安全であったこともあり、一人で訓練を続けることにした。


 難易度VERY HARDで十時間ほど訓練をした後は眠りについた。


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 補足情報


【役職(偉い順)】

 部長>次長>課長>(管理職の壁)>係長>主任


【登場人物】

 平吉・・・主人公、35歳、役職:平社員

 友沢・・・平吉の同期で友人、33歳、役職:主任


(七曜の管理職)

 日比谷部長・・・フロアのトップ、四十代前半、役職:部長

 ×月村次長・・・五十代、役職:次長 インターバル中に刺殺された。

 ×火野次長・・・五十代、役職:次長 早海さんに切られた。

 水谷・・・平吉の同期で最速で課長に昇格、35歳、役職:課長

 木田課長・・・平吉の直接の上長、平吉も慕っている。四十代、役職:課長


(美女四天王)

 ×星野さん・・・キラキラ星野さん

 宇佐さん・・・ロケット宇佐ちゃん

 早海さん・・・疾風の早海さん

 高峰さん・・・高嶺の花の高峰さん


(その他)

 白川さん・・・ゲーム開始の日に参画したらしい美女

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