第8話:楽園

★クトラ視点★


初めて三男に会った時は変な奴だと思った。

敬語だしキモかった。昇格試験に一緒に出ろって言われた。

疲れるしめんどくさい。だから無理難題吹っ掛けた。

そしたら三男はプリンを作って来てくれた。

プリンは今まで食べたお菓子で一番美味しかった。

クトラもそれに応えようと思って試験頑張った。楽しかった。

試験の最中に三男に抱きかかえられた時、母さんを思い出した。

それが忘れられなくていつも三男に嘘ついておんぶして貰ってる。ちょっとゴツゴツしてるけど母さんの背中みたいでホッとする。

三男の背中が一番安眠出来る。クトラの楽園ユートピア

それを邪魔しようとするデカパイ現れた。懲らしめる。



「闘志のともしびよ。敵を穿て。ファイヤアロー!」


ボーっとしてた。危ない。


「アーシャ選手ここで先手を取るがクトラ選手に華麗に躱されたー!」


今日は三男に牛乳プリン作ってもらった。美味しかった。調子良い。


「おーっとここでクトラ選手。アーシャ選手の魔法を躱しながら詰め寄ったー!」


「私が接近戦を出来ないとでも?」


ガキィン!ガキィン!


「なんと激しい剣戟だー!両者とも一歩も引かないー!」


「これは素晴らしいね。剣術は両者共互角のようだ。しかし注目すべきはアーシャ嬢の詠唱の速さだ。このアドバンテージは後に聞いてくるかもしれないね」


「お前ら。俺をディスる以外はまともに実況してるな」


ガキィン!ガキィン!ガキィン!


魔法使わないと押し切れない。


「この程度なら詠唱しながらでも防げるわ!神より賜りし爆炎の咆哮」


「ここでアーシャ選手!クトラ選手の猛攻を受けながら詠唱を始めたー!」


ここは全力で躱す。


バチッ!


「顕現せよ!ファイヤストーム!」


「出たー!大技ファイヤストーム!炎がアーシャ選手を中心に渦を巻いているー!」


「これはマズイね。このまま渦が大きくなるとクトラ選手は逃げ場がない」


そんなの当たらない。


「炎が消えたー!・・・・っとクトラ選手がいない!?」


「いや。見ろ!上だ」


「なんとクトラ選手。空中に浮いている!?」


「彼女はいつ詠唱した?まさか無詠唱なのか?」


「へぇ。そんな事が出来るのね。でも良い的だわ」


「ここでアーシャ選手。ファイヤアローの応酬だー!」


バチッ!


「しかしクトラ選手。空中を瞬間移動しながら躱しているー!」


「彼女の属性はなんだ?風?・・・いや。僕はこんなのは初めて見たよ」


「そんな!?貴方なんなのよ!」


「ん。遅い」


バチッ!


「あーっとここでいつの間にかアーシャ選手の後ろに現れたクトラ選手!そして足払い!」


「きゃあ!」


チャキ


「転んだアーシャ選手に剣の切っ先を突きつけたー!」


「そこまで!クトラさんの勝ちです!!」


ワーワー!

キャー!キャー!


外野がうるさい。疲れた。

三男どこ?


「クトラ。お疲れ様」


いた。


「ん。おんぶ」


「へいへい」


やっぱここがクトラの楽園ユートピア

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