第125話

「凜菜さんが神の国に馴染んでるようですよ」

雅臣がある日みことに言った。みことはえ?と思って不思議になって聞いた。

「え?他の神と?他の神……え?」

「人間の国の食べ物や飲み物を渡して話してるそうです。神々も最初は煙たがってましたが、凜菜さんとお菓子作りなどして仲良くなってるそうです」

みことは知らなかった。ただ帰りに傷つけてくる神々が減ってきてるとは感じてた。りんななりにみことの力になってる。びっくりした。

「神々と仲良く……凄いな、りんな。真なる神を呼び出せるのは……次の真なる神になれる器があるのでは?」

次の真なる神?真なる神は人達を他の神を生み出した神。そんな女神になるのか?

「そうなのかもしれないな。でもまだりんなには力がない。弱すぎる」

「そうですね。第一神、ここで仕事してもらう事は無理ですか?ここでの仕事は確実に位を上げることが出来ると思います」

みことは悩んだ。りんなをずっと神の国に置くことを。でも神々ととりなすことが出来るなら、逸材すぎる。

「そうだな……。そうかもしれない。もう少し神々と馴染んでからがいいかもしれない」

少しずつ実務をさせて今は神々と馴染むのを優先させた方がいい。みことはそう思った。雅臣はそう思ってなかったが、はいと答えた。

神々が同性愛者しか居ないというのは根本的に困ることだった。男の神と女の神が会話もしない。全く別の生活圏で生きているので統制がとれないのだ。

「凜菜さんのおかげで神々が少しずつ話すようになりました」

またある日雅臣はみことに伝えた。純新無垢で他人を恐れずぐいぐいといけるりんなは神の国を少しずつ変えていった。そしてりんなはみことや多槻がどれほど凄いのかよく語った。少しずつ心がほぐれてそのりんなが言うみことは多槻は悪者ではない。そう思われるようになって。みことは襲われなくなった。

「りんなのお陰だよ、ありがとう。こんなにりんなが心強い存在だったとは思わなかった」

みことは前より疲れずに帰宅して、ソファに寝転がりながら話した。

「神様も元々人間と同じ存在だったと聞いたから、やっぱり胃袋を掴もうと思ったの」

りんな曰く美味しいものを与えたら大体のひとは心を開けやすい。そうして仲良くなっていったと。

「なぁ、りんな。みんなと仲良くするのもいいけど時々オレの仕事手伝うってのはどうだ?」

10日に1日でもいい。1ヶ月に1度でもいい。少しずつ事務的な仕事で位が上がるなら。ただ地上の仕事全てキャンセルになるが。

「私に出来るかな?」

「りんながいてくれると、他の神に頼みやすいだろ?だから前向きに考えてくれ。すぐじゃなくていい。まりあのことも気になるんだろ?」

りんなは頷いた。地上にいるまりあがどういう道を選ぶか。こんなに連続的に真龍帝位になれる人が現れるのは今後ないかもしれない。勿体ないと思うが器の弱さを克服する為に龍と同化……完全同化ではないがしないといけない。たしかに大事なのだ。他人がとやかく言うべきでは無い。りんなも地上が気になっていたから1度帰ってからまた神の国でみんなと過ごしたいと言った。

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