第123話
「私何も出来ないな。いつも誰かに助けられてる。ううん、ほとんどみことに助けられてるのか。なにか出来ないのかな」
部屋をうろうろして悩んだ。真なる神に相談……うん、解決しないな。多槻さま。まりあの事が解決しない限り多槻さまに負担はかけたくない。りんなはそんな風に考えてとりあえずご飯を作ろうと思った。そして神の国には無いお風呂を作った。疲れて帰ってくるみことが少しでもゆっくり出来るように。暖かいご飯。何を作ろうかと悩んで地上に降りてお店に向かった。お店である程度買い込んで魔法ではなくゆっくり作ろうと考えた。りんな自身もゆっくり考えられるように。
煮物、焼き魚、お味噌汁とご飯。本当に普通の、普通の料理にした。
少しでも気持ちが落ち着くように。お風呂も沸かしてうきうき待っていた。
トントントン。ノックの音がした。りんなは扉を開いて言ってみたかった台詞を言った。
「おかえりなさい。ごはんにする?お風呂にする?」
昭和のドラマみたいだなと思いながら言ったのだが、言いながら笑ってしまった。
「え?なに?どういう事?」
みことはよく分からないと驚いてどうしたらいいのか分からなかった。
「疲れてるでしょ?お風呂作ったの。良かったら入って。先にご飯がいい?」
「え?じゃあお風呂入っていいかな?疲れてて」
よしよし、良かったとりんなは思った。お味噌汁を温め直してお風呂から出た音を聞いてテーブルに並べた。2人分。
「あー、気持ちよかった。お風呂は気持ちいいなぁ。オレの部屋にも作ろう。ごはん、美味しそうだな。え?作ってくれたのか?ありがとう」
2人でむかいあっていただきますと言って食べ始めた。みことは少し泣いてしまった。
「あ、ごめん。なんでだろ。美味しい。めちゃくちゃ美味しい。こんなにご飯美味しいなんて……。ありがとう、りんな」
泣きながら食べているみことを見て、良かった。自分に出来ることはこれだなと思った。
みことに少しお酒を薦めてゆっくりしてと言った。みことは少しお酒を飲んで寝てしまった。
わかってたけど、と呟きながらりんなは魔法を使ってみことをベッドに寝かせる。ベッドはダブルサイズだから2人でも寝られる。みことまた怒るだろうなと思いながらりんなはみことの横に寝転んで寝た。
夜中みことがうなされてたので思わず抱き締めた。そうするとみことは力を抜いて落ち着いた様子でまた寝た。りんなも眠かったのでそのまま抱きしめた姿で朝が来た。
朝起きると床に正座しているみことが居た。
「どうしたの?みこと」
「ごめん。嫁入り前の女の子と……。オレ、疲れてて。で、でも何もしてないよな??」
土下座の勢いで謝るみこと。りんなはみことの頭を撫でた。
「私がした事だよ?怒られると思った。でもみこと疲れてるから、疲れが取れるようにと思って」
「ありがとう、それは分かる。でも一応オレだって男だからな?前に言ったろ?直ぐに襲えるんだぞ?」
りんなはにっこり笑った。みことはどうしても罪悪感でいっぱいで顔を見られなかった。
「みことそんな元気ないでしょ?私に出来ること考えて、やってみたんだ。とりあえずみことが落ち着くまではこの生活をしよう」
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