第122話
「オレはさ、あの場に居た神だから第一神になれただけなんだ。他の神でも良かった。ただオレしか居なかっただけで、創世神の力を奪い第一神になった。だから妬まれる。仕方ないよな」
抱きついてきているりんなを剥がしてみことはりんなの頭をぽんぽんと叩いた。
「オレが解決しないといけない問題だからさ。そのためにまりあを振り回したくないんだよ。まりあが何を選ぶのかは分からない。でもさ。真龍帝位になりたいって思った時、真龍帝位が誰もいなかったら。導ける存在が居なかったら駄目なんだ。だから時々こうやってりんなが来てくれると嬉しい。どんな理由にせよありがとうな」
孤独な闘いなのだ。りんなは泣いてしまった。自分がきっかけで、自分を守ろうとしてくれたから創世神の罪を断罪する為に神殺しの剣を使ってくれた。何回助けてもらったのだろう。
「ごめんなさい。私が原因じゃない。みことがそんなに苦しんでるなんて。私知らなかった。私を助けるために」
みことはりんなの頬っぺたを軽くつねった。ばーかと言いながら。
「オレがした事なんだから後悔してないんだから、謝るな。それにあそこで止め無ければ地上もどうなってたか分からないんだ。あそこで神殺しの剣を使えるオレがいて良かったんだよ」
2人は堂々巡りだった。
「あのな、神の国の現状を言ったのはりんなを責める為じゃないんだ。雅臣さんも助けたい。あのひとは孤独過ぎる。ほかの神と何かしら繋がりが欲しい。それを手伝ってほしいんだ。まずはオレが第一神と認められなきゃ駄目なんだ」
みことはそう言って外に出ようとした。りんなは慌ててどこに行くの?と聞いた。
「神の仕事……かな。人間の世界の災害などを少なくするために神に指示を出す。でも実際動いてくれないからオレや雅臣さんが動いてる」
みことは落ち着くまでここに居ればいい、直ぐにりんなが居なければ出来ないことは今のところ無いみたいだしなとりんなに伝えた。実際真龍帝位の教えを乞うほどのレベルの人間は今まりあだけだ。他の生徒のレベルは人間の先生で充分対応できる。
地上では真龍帝位である多槻がいる。他の人が多槻が真龍帝位と知らなくても、他の先生に比べたら知識も魔力も及ばないので、多槻は崇められていた。なぜ真龍帝位にならないのか。それをよく聞かれたが多槻は黙っていた。
「みこと、私もみことを手伝いたい」
「そんな顔ぐしゃぐしゃで外に出なくていいから。りんな。ここは神の国だ。今までと違う世界だ。オレをサポートするくらいならいいが、他の神に存在を知られたら……傷つけられるだろう。だから他の神に見られたくないんだ」
自分が苦しんだ思いをさせたくない。だけど独りで苦しいからりんなや多槻が傍にいて欲しい。我儘なのは分かっていた。ただそうじゃなきゃ狂いそうだった。雅臣さん以外は敵。そんな中で。我儘を1つ言いたかった。
「私に出来ること……考えて?私が考えた方がいい?私にはこの世界が分からないから」
「今日の仕事が終わったら話そう。本当はただ話し相手がいてくれるだけでいいのかもしれない。それなのに、ごめんな」
みことはごめんな、行ってきますと言って去っていった。りんなは悩んだ。
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