第121話
「みことが数日こっちにいるようにしてくれたけど。どうしよう」
鏡を見ながら寝る支度をしてベッドに入る。ふかふかお布団。気持ちいいーとりんなは思う。
「大きなベッドやっぱりいいなー。地上の部屋のベッド大きくしようかな。ごろごろできる。気持ちいい」
みことのおかげで完全に多槻との事を忘れられたけど、雅臣の事が気になっていた。
「母でも女性として好きなんだなぁ。でも日本神話とか考えたらそんなのも不思議じゃないのかな」
目隠しをしていても口元だけで表情は分かる。寂しそうだった。真なる神ももうきちんと目覚めたらいいのに。りんなはずっと考えていた。真なる神に会ったらきちんと起きるように言ってみようかなと。もう創世神はいない。真なる神も辛いだろうけど息子が寂しがってるんだから。
りんなはそんな事を考えながら寝た。疲れ切っていて眠れた。
朝起きてりんなはすごくすっきりした気持ちだった。
「なんだかすごくすっきりした。私……迷惑かけてるよな……。帰った方が良いよね。でもみこと見てたら置いてけない」
支度してるとトントントンとノックの音がした。
「はい」
「オレだけど、今大丈夫?」
みことが朝早くから来た。どうしたんだろうと思って扉を開いた。みことは昨日より少し元気そうだった。
「どう?気分」
みことはりんなの事を気にして朝早くから部屋に来たのだ。心配かけたんだと改めてしょんぼりしてしまう。
「うん、元気。寝起きはねスッキリしたの。でも私迷惑かけまくりだなと思って」
しょんぼりしているりんなの背中をぽんぽんと叩いて、でもオレは来てくれて嬉しいからと励ました。
「実際オレこっちで孤独でさ、りんなが居たの嬉しかったんだよ。雅臣さんもぼっちだよ。あの人は他の神との関わりを持とうとしてない」
だから自分も他の神と関わりが出来ないとぼやいた。
「え、雅臣さまずっとぼっち?そんなの寂しくない?」
「この世界の神々はね、同性愛のひとしかいない。創世神が夫婦になって子供を作るのを嫌がったからだ。人間は子供を産まないと存続出来ないから夫婦を認めた。神々の子供を忌み嫌った。自分の子供を一番忌み嫌ったからね。……だから創世神が一番忌み嫌ってる雅臣さんと仲良くしようとする神が現れなかった」
「そんな。雅臣さまのせいじゃない……でしょ?結局真なる神の気持ちなんだから」
「創世神はそう思わなかった。そして仕事も全て投げ打って真なる神を求めた。神の国の統制は取れてなかった。そこで、真龍帝位から一気に力があるからって第一神となった。統制も取られてないぐちゃぐちゃな中で雅臣さんしか味方が居ない。実際力で支配するぐらいの事をしないと認められないんだろうな」
りんなは悲しくなってみことを抱きしめた。どうしても辛すぎて、何を言えば良いのか分からなくなって、抱き締めた。
「体制ができるまで私や多槻さまがこっちにいる方がいいんじゃないの?」
「少なくともまりあの件が落ち着かない限り地上から真龍帝位が居ない状態を作りたくない」
みことはいつものように背中をぽんぽんとして大丈夫だからと呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます