第110話

「神の位が真龍帝位……確かに。神冠位ではなく、真龍帝位。龍と神は確かに同等の存在なのかもしれないな」

みことは多槻の話を聞いて考え込んでいた。りんなは紅茶の入ったカップをトレイで運んでいた。

「紅茶でも飲みましょ」

3人は座って考えた。だけど分からないのだ。ただもっと龍使いとして龍と同化をもっとすれば。まりあは真龍帝位になれるだろう。

「まりあがそこまでして真龍帝位になりたいか。そこが問題なのには間違いない」

多槻がそう言うとふたりは頷く。まりあは龍使いの道を極める事を望むのか?

「龍使いのノウハウはあの国にしかない。だから龍使いになるにはあの国に一時的とは言え、戻らないといけない。だから、まりあに委ねるしかない。オレたちが決めることじゃない。ただ、真龍帝位って名前を不思議に思わなかった。その事は調べたいとは思う」

みことは遠くを見ながら考え込んでいた。興味深い。龍と神が同等。それは真龍帝位という名前にも現れている。

「みことはもう龍使いに違うことを考え始めてる。だからりんな。君としか相談できない。まりあに選ばせるとしても、どういうふうに伝えるか」

多槻はりんなを真っ直ぐ見ていった。りんなもまりあの事で頭がいっぱいだったので、多槻がりんなと普通に話す事が久しぶりな事にも気づかなかった。

「私よりまりあは多槻さまに信頼があると思います。多槻さまかみことが選ぶように指示をするべきだと思うんですが、みことがもうまりあの事忘れて考え始めてるので。多槻さま、お願いします。国に帰る時サポートが必要なら私が付き添います。多分まりあが真龍帝位にならなかったら、後数十年か数百年真龍帝位になれる人は現れないと思います。貴重な人材でもあります」

りんなにとっても真っ直ぐ真龍帝位に憧れるまりあは大切で、数少ない真龍帝位になれる可能性のある人間だ。真龍帝位に憧れる人間はいつでもいる。だが、そこまでに挫ける人達がほとんどで。冠位をとって終えようとする人達が多い。まだまだ真龍帝位になった人間が少ないのでノウハウが少ない。もっと真龍帝位が増えて授業のレベルも引き上げられたら増えるだろう。そうすればただの憧れでなくなる。りんなはそれを目標としていた。

「そうだな。まりあに僕から伝えるよ。まりあ、龍使いとしてバレてからおどおどしてると聞いたんだけど……」

「うん。彼女は龍使いということを悪いことみたいに思ってるみたい。だからバレた事がショックなんだと思うの。でも文化の宗教の違いなだけ。私がどう言っても伝わらない。みことは多槻さまから伝えるべきだと何もまりあに言ってくれないの」

真龍帝位という名前。雅臣に聞いてみるかとみことは考えていた。まりあが龍使いなのも意味があると考えたみことは、創世神がずっと描いてる世界をなぞってる気がしてならなかった。自分の力となっても創世神が望んだように進むように創世神が仕組んだかと。

そうだったら、創世神はどうしたい?杞憂であればいい。みことは創世神に囚われていた。

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