第106話

夢の国。なんだそれは。ただここに来ている人達は笑っている。みことはこんな人混みに慣れてなかったのでりんなについていく。ただ色んな人達が乗り物に乗ったり写真とったり。自由に楽しんでいた。自分も乗ってみたいと思った。りんなはおどおどとした顔でみことをみる。本当にこれに乗るの?

並んでいる時みことは興奮していた。見たこともないもの達や人々。

「ウィンドウショッピングの方が良かったのかな?怖いけどみことが楽しんでるし」


うぎゃあああああああああ。りんなは叫んでベンチでぐったりする。みことは楽しかったようで園内地図をみる。

そういえばよくこの国の言葉分かるなとぼんやりしてたけど、第一神だったら余裕なのかなとも思った。

「次は何がいいかな。やっぱり凄いの体験したい」

りんなは怖い系が苦手だけどみことの気持ちが晴れるならと頑張って付き合った。

「も、もう駄目。とりあえずもう乗り物付き合えない……」

飲み物を買ってりんなに渡す。みことは目をキラキラさせていた。

「こっちの世界は凄いよな。魔法がないから科学が発達して。オレから見たら魔法みたいだよ」

りんなはゆっくりと飲み物を飲む。興奮しているみことは向こうの国もこれぐらいの事が出来たら。魔法で出来ることより科学の方が凄いよ。

ここに連れてきたのは正解だったよね?りんなはぐったり疲れきって立ち上がる力もない。

「科学って凄いな。どうしてここまで成長したんだ?」

りんなは座り直して戦争があったからよと呟いた。

「え?」

「戦争に勝つために文明は発達していった。戦争がおわってもその影響は残る。技術も残る。残らなかった技術もあるけれど、それでこの世界はどんどん文明が栄えたの」

みことはりんなの横に座り飲み物を飲んだ。

「そうか。向こうの国は神々が統制しているから、小さな諍いはあっても戦争までは起こらないからな。何がいいのか分からなくなるな」

2人は少し黙って座っていた。でもりんなは思い切ってたつきの手をとった。

「いまは遊園地楽しもう!」

みこととりんなはあちこちまわって楽しんだ。

「平日なのに人多いね」

「仕事のある日か。色んな人がいるからな。休みがずれてる人なんていっぱい居るんだろ」

「詳しいね。ううん、流石だね」

その通りだけどりんなは素直に驚いてた。みことは伸びをしてりんなにありがとうと言った。

「いい気分転換になったよ。こんなのが向こうの世界にあればいいのにな。こっちの科学を取り入れたいと思うんだ」

やっぱり向こうの国の事を考えるみことには完全に気分転換できたのか心配になった。みことはりんなの背中をぽんぽんと叩き、素直にありがとうを受け取ってと言った。

2人は電車で昭弘の家を目指した。電車に慣れないみことは本当に不思議そうに見ていた。

「向こうの人間がこっちに憧れるのも分かるな。違う意味で魔法としか思えない世界だよ」

確かにそうなのかもしれない。それに慣れてしまうとそれ以上を求める。でもやっぱり。本物の魔法の魅力は凄いとりんなは熱弁した。

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