第103話
「はい。あ、みこと久しぶり。大丈夫?何だか怪我だらけだけど」
「うん、神の国は敵だらけだからね。まぁ毎日の事だよ」
みことがそう言うとりんなは消毒して手当てをはじめた。
「ごめんね、神の国でそんな目にあってるなんて」
まぁ真龍帝位から一気に第一神となってトップになるということは仕方ないよと呟く。自分でも辛いけれど、心配はかけたくないから。
「私も神の国にいた方がいいのかな?」
りんなが紅茶を置いて呟く。そうして欲しい。その気持ちが本音だが、みことはいいやと頭をふった。
「今はまりあに集中してあげないと。少なくとも真龍帝位になれる可能性があるんだから」
久しぶりにりんなに入れてもらう紅茶を飲んでほっとしていた。おかわりいい?と言い出した。
「やっぱりりんながいれてくれた紅茶が一番美味しいんだよね。あー、地上はやっぱりいいな」
りんなはおかわりをおいてにっこり笑った。
「そういうの、好きな子じゃないと口説いてると思う人もあらわれるよ?」
「そういうもの?」
「うん。ひとによるけどね」
女たらしになっちゃダメだよーとにこにこと笑っていた。
「りんなはどきっとした?」
「ううん」
「じゃあ駄目じゃん。でもさ、自分でいれてもおいしいんだけどね、りんなが入れてくれたお茶とは違うよ」
そう言うとりんなは嬉しそうに笑う。やっと、自分のやるべき事から離れて。みことはうとうとした。
「駄目だな、安心感から眠くなる」
「少し仮眠したら、私のベッドで寝ていいから」
みことが神の国でどれだけ苦労してるかりんなには分からない。だから出来るだけ優しくしたいと思った。
「いい?本当に眠くて。あ、紅茶冷めても後で飲むからな?」
そう言って、寝ていった。りんなは溜息をついてふとんをかけた。
「おやすみ、みこと。」
部屋の片付けをしてみことの様子を見にきた。苦しみながら寝ていた。
りんなは魔法を呟きみことの手を握った。
「みこと、ごめんね」
りんなは目を閉じてみことが見てる夢を眺めた。みことは何かに苦しめられている。すぐに場面は変わっていくが、みことが何かに苦しめられてるのだけははっきりとわかった。
「みこと……言わないけど苦しいんだ。言ってくれないよね。でも、どうにか出来ないかな……」
そしてまた魔法を唱えて手を握る。今度は女の子がいた。龍使いだと。私達にとって神より上の存在、龍。その話をしていた。
「龍使い……。うわさには聞いてるけど。みことこの子と出会ったのね……」
りんなは部屋をうろうろした。何か自分に出来ることはないか。自分があれだけ世話になったみことの為に何か出来ることを。
窓の外は土砂降りだった。何となく嫌な感じだった。りんなは雨だから、みことが暖まるようにシチューでも作ろうと思った。温かいものをたべてぐっすり寝る。いくら神になったとはいえ、心の栄養としてご飯と睡眠は大切だと思っていた。
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