第101話

器の強化を認可して欲しい。それを嘆願書として提出した。体の弱い人も魂の器が弱い人が多かった。

条件次第ならと、通達が来た。こういう通達は龍が持ってくる。龍たちは気ままに生きているが、神の指示があれば動く。人の中にも魔法を使って龍と契約している人達がいるらしい。龍の谷に無断で来てる人達がいるという事だ。基本的に選ばれし者しか近づけない。だから近づけるということは何かに選ばれた者だからと、神々は放ったらかしにしていた。多分めんどくさかったんだろうなとみことは溜まってる仕事を見つめながら考えた。

「人間がこれ以上神の国で跋扈するのは許せない」

みことが第一神になった事で大部分の神は不満たらたらだった。ただ実務を黙々とこなす雅臣が第一神と呼び、従っている。雅臣の正体は知らないが創世神のように莫大なる力をもつ神は少ないので、みことに渋々従っていた。

「元々神と人間は同じ存在でした。ただ神の力を持っていても神になるのを望まず人になった神もいる。同じようにどちらも選べるべきだ」

雅臣はずっと一貫してこれでみんなの文句を封じる。誰でも神の国に来れる訳では無い。レベルが高い、神に近い人間しか来れない。それでも文句があるなら。文句がある者も真龍帝位の試験を受ければいい。そして新たに文句を言うべきだと。神として勉強もせずにのほほんと暮らしている神が今真龍帝位の試験を受けて合格するか、自信が無いものが殆どだった。

何もしなくても死なない。ただ緩やかに日々を呑気に過ごす神は多いのだ。

神の国でもらかくのように人間の世界によく行く者もいる。神それぞれ考えは違う。

そんな中で元々人間だったみことが第一神として神の頂点にいる。不満はたまっていく。ならば決闘を申し込めばいい。そう雅臣は言うが決闘を申し込む神はいない。ただ影から襲ってくるのだ。

あんなになりたかった真龍帝位。今日も傷だらけで部屋に戻る。

疲れたとベッドに横になる。地上にいた頃が1番楽しかった。真龍帝位となって1番嫌がってるのは女神達だった。神の国は創世神と雅臣以外は同性愛者だった。不思議に思ったので雅臣に聞いた。

「創世神が他のものが子供を作って幸せな家庭を作るのを妬んだんです。人間は子供を作らないといつか居なくなる。けれど神々は死なないから、自分の周りで子供が産まれるのを嫌がったんです。私が憎かったから」

雅臣は力があったから創世神の傍で仕事をしていた。だが仲は悪かった。創世神は雅臣さえ生まれなければ真なる神は地中に眠らなかった。そう言って雅臣をにくんでいたのだ。

「真なる神は私たちの和解を心から望んでいました。だが創世神は私を憎んで憎んで。地上に災害を起こしまくったり他の神を虐めたりと、好き勝手にいました。湖の近くだけは平穏でしょう?あそこは真なる神が眠っているので、創世神も絶対に守るべき場所として認識していたのです」

みことが、第一神がやらないといけないことは沢山ある。だが他の神が邪魔をする。溜息しかなかった。

創世神を断罪した。それを信じられない神が殆どだったからだ。創世神が間違いを犯すなんて?でも神殺しの剣は発動した。何か小細工したのでは?でも人間から神になっただけの者がそんな事できるのか?

とりあえず第一神は認められない。そういう神が毎日襲ってくる。

「みんなに会いたいな……やっと先に進められても、こう毎日はやっぱり疲弊してしまう」

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