第12話
「多槻さまに頼んで次の土曜日あけてもらったよ。りんなちゃん、前に言ったけど大丈夫だよね?」
お義兄さんが電話で興奮しながら伝えてきた。前にお義兄さんに多槻さまに試験受けるから土日は空けておいてねと言われたから。まぁ学校の友達と土日あんまり会わないんだよね。みんな電車で通ってるから遠いから。あとスマホ持ってる子も多いから連絡とか簡単だし。
お父様や笹原さんはスマホでのみ土日友達と連絡取るのはなんだか悲しいみたいな事言ってた。時代が違うと感覚違うんだろうな。
たまに都会に出かける時は一緒に出かけたりするのに。
「大丈夫です。土曜日のいつそちらに行けばいいですか?」
お義兄さんはいつも冷静なんだけど多槻さまのことになると少しテンション上がるみたい。さまって呼んでるしなんか次の王がどうのこうの言ってたから偉い人なんだろうな。
「なるべく早く……朝の9時頃来てくれないかな?」
休みなのにゆっくり眠れないなーとは思ったけど、多槻さまの試験終わったらカード使えるんだよね?
それに関してはうきうきするし、魔法もっと使えたら楽しそうだし。
「わかりました。多槻さまの試験ですよね」
少し間があった。
「うん。でもトティランカに行くから。動ける格好で来て欲しい。ジャージみたいなのが好ましいんだけど」
トティランカってどんな所なの?山?分からないけどまぁ動きやすそうな服と靴のコーディネートを考えて分かりましたと返事して電話を切った。
少しずつ動いてる。あ、もしかしたら私の本当の親にも会えるのかな?
トティランカ。この間ドア越しでしか見られなかったけど。
あ、龍に乗れるのかな?それは楽しみ。
あっという間に土曜日の朝になった。わくわくして6時に起きちゃった。少しストレッチしておく。今日のバレエの練習行けないから笹原さんに伝えたんだけど、笹原さん自身バレエが好きだから私の準備するのが楽しみの一つみたいでしょんぼりしてた。
なにかトティランカで笹原さんにお土産になるもの手に入れられたらいいな。
部屋でこっそりバレエシューズはいて。ターン。いつかくるみ割り人形のクララやってみたい。小さい頃お父様と笹原さんとくるみ割り人形の舞台を見た。綺麗で踊りたいと心から思ったから。バレエの練習すると私の心が安定する。何回もバレエのビデオ買ってもらって見た。金平糖の踊りもいい。
少しテンション上がってたけど、踊って落ち着いた。うん。試験頑張る。
魔導書は丁寧に書いてるからページ数は多かったけど基礎の基礎だったから、大丈夫。それによく分からないけど次の王に選ばれた?んでしょ?私。うん。大丈夫。
……あれ?私が次の王って。大きくなったら日本じゃなくトティランカに住むって事?
魔法の事ばかり考えてたから、思いつかなかった。私トティランカに住むの?
王に選ばれたから。深く考えてなかった。でも絶対……じゃないよね?
えっと。私こっちの世界でバレエでくるみ割り人形の金平糖とクララ踊りたい。将来の夢はそれぐらいだけど。お父様お母様笹原さんお姉ちゃん。
でも私は元々こっちの人間じゃないのか。ものすごく落ち込んでしまった。8時も過ぎてる。着替えてお義兄さんとお姉ちゃんの家に行かないと。
どうしてもトティランカに暮らす?と考えたら思考が停止してしまう。
とりあえず運動靴をはいて2人の家に走っていくことにした。
体を動かしてる時何も考えない!猛スピードで走ったからぜいぜい言いながらチャイムを鳴らした。
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