第10話
家に帰って笹原さんに魔導書を見られて不思議そうな顔をされたけど、こういうのが好きなお友達に借りたのと嘘を言って部屋に入った。
ドキドキした。ページをめくって色んな呪文を口の中で唱えた。
火をおこす魔法。水を出す魔法。風を起こす魔法。
確かに基本だなと思ったけど、確かにリミッター解除されてたら寝言で火を起こす呪文唱えてしまったら怖いなと思った。少し気が引き締まった気がした。
ただ。私の生活に魔法って不思議な事が増えて。大変だけど楽しくなった。
毎日少しずつ覚えて。魔法陣も書いて。勉強の合間だから中々もどかしいけど頑張ってた。
学校の勉強が追いつかなかったらコネで入ったと言われるかもという恐怖のため、魔法の勉強だけに力を入れられない。魔法もっと勉強したら学校の勉強なんか簡単に覚えられるのかな?とか馬鹿なことも考えたりした。
魔法の構築。構造。複雑なんだなぁと思う。この本にまとめるまで。どれだけの人が魔法の実験してきたんだろ。
ゲームの世界だったら一言呪文言うだけで回復も攻撃もできるけど。実際はプログラムみたいに色んなものを構成していかないといけない。
楽しいけど実践出来ないから、実際覚えてるか心配になる。
でもまだ試験してもらうには全然おぼえてないから。
ゆっくりと毎日学校の勉強と並行して魔法の勉強をした。
早く試験を受けたい。実践したい。でもお義兄さんは厳しい人だから。ペーパーテストもすぐにはしてくれないだろう。
漫画やゲームで出てくる魔法使いを思い出してなんか衣装欲しいなぁとか思う。
カードキャプターさくらちゃんなんかいいよなー。いっぱいお洋服作ってもらって。私が持ってるのは習ってるバレエの衣装。
2年に1度の発表会のための衣装。これを着て魔法は無理だ。うーん。
なんとなくコスプレの事調べ始めて気づく。
ずれてるよ。魔法少女に引き摺られすぎてる。たーくんは私を守るためにって魔法勉強してくれてるのに。浮かれすぎだよ、私。
両手でほっぺた叩いて深呼吸する。うん。魔法覚えてから考えよう(諦めきれない私)
よーし!頑張るぞぉぉぉぉ。
半年程経った時にお義兄さんがペーパーテストをしてくれた。やっぱり実践してないから覚えるのは大変だった。
たーくんはやっぱり頭良いからか難しくないらしい。地頭の違いを見せつけられる。
私もお義兄さんの合格ラインには達した。すごく安心した。
「実践なしだったもんね。よくここまで覚えられたよ。2人ともお疲れ様。そしてこっちにおいで」
庭に呼ばれて私達はサンダルをはいて出た。お義兄さんは多槻さまと同じように手首だけしならせて空気を横に切る様な動作をした。カードが出現した。2人ともしてるということはこれがカードを出す方法なんだろうなとぼんやり考える。
「手の甲出して」
私もたーくんも右手の手の甲をお義兄さんに差し出した。
お義兄さんは出したカードを私の手の甲にあてて呪文?を唱えた。私の手の甲になにかの魔法陣みたいなのが現れてそして消えた。
たーくんにも同じ事をして2人とも一時的に魔法陣が手の甲に描かれたみたいだった。でもその跡は全くない。
「火を出す魔法の呪文唱えてみて」
お義兄さんはにっこりと笑って促してきた。私はよく分からいけど、右手の甲を差し出した形で呪文を唱えた。
手の甲に魔法陣が現れその上に小さな炎が現れた。やった!できた!
テンションが上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます