第7話

「魔法を学ぶ。どうやってですか?」

私があまりにも気軽に聞くので周りはびっくりしたみたいだった。

「え?」

「勉強するの?」

「王になるの?」

そんな言葉に頭を横に振って違うとの意志を見せた。

「分かんないよ。でもやってみないと何も分からないでしょ?それに魔法使えるって楽しそうだし」

そう言った時少し多槻さまは眉をしかめたように見えた。

「魔法を使えるからってなんでも出来る訳じゃないよ。病気も怪我も治せないし。ただやれる事は増えると思うけど」

そう言う多槻さまの顔は何だか苦しそうに見えた。まるで誰かの怪我や病気を治せなくて苦しんだ過去があるかのように。

「あ……の……」

私は何だか苦しくなってなんと言えばいいのか分からなくなった。その空気の中たーくんが話しだした。

「僕も勉強していいですか?」

「え?」

たーくんの言葉にびっくりした。たーくんは魔法とかそんなの興味あるとは思わなかったから。

「お……僕は凜菜1人に勉強させたらなにをするか分からないから。そして。僕は。こっちの世界の人間じゃなくて凜菜と同じ世界の人間ですよね?」

???突然たーくんは思いの丈をぶちまけた。その内容は今なら分かるけど一瞬何が何だか分からなかった。

「だって父は多槻さまと繋がってるんですから」

「……よくわかったな、さすが高弘だ。私と元妻は向こうの人間だ。こっちに色々あって逃げた。生活出来るように手配して下さったのはこの方だ。いつか生まれる次の王の為に」

お義兄さんはふぅと溜息をつきながら言った。

そこまで手配されて。私は守られてきた。ずっと要らない子、捨てられた子供だと思ってたのに。思わず涙がこぼれた。

「りんな……ごめんね。君のご両親も君を捨てたかったわけじゃない。君の成長を楽しみにしてるんだよ。本当は昭弘が育てる手筈だった。でも少しの間に君の母親に連れていかれたんだ。でも。トティランカと関係ない人間が育てる方がいいと結論づけて。金銭面でも困ってないから、今のご両親の元で育てるようにしたんだ」

私は昭弘さんに育てられる運命だった?たーくんと??

でも今の方がいい。お姉ちゃんがいて友達としてたーくんがいて。みんながいてくれる。私は幸せだもん。

「悲しい訳じゃなくて、捨てられたんじゃないってことが分かったから。それが嬉しくて」

今育ててくれてるみんな私を大切にしてくれる。なんて贅沢なんだろう。

ただ。王に選ばれたから命を狙われる?そして。高校生くらい?にみえる多槻さまが私をたすけてくれた?そんな小さい頃?そこら辺はよく分からない。

なんとなく聞にくい感じがした。

「多槻さまは高校生くらいに見えますが、そんな幼い頃に凜菜を助けたんですか?」

たーくんはすっと空気を読まずに聞いた。びっくりした。普段は空気読んで理路整然としてるのに。

「若くみえる?僕はもう立派な大人の年齢だよ」

少しくすくす笑いながら多槻さまはたーくんに答えた。

「多槻さまはこの世界だと25……位かな?それぐらいの年齢だよ。お若く見えるけど」

昭弘さんがそう言ったので驚いた。そんな年上に見えない。こっちの世界なら大学卒業して就職しててもおかしくないってこと?

でも、それなら私を助けた時若いけど判断力もある。でも見えない。若すぎる。

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