第4話
中学生になった。制服を着たら大人になった気がした。笹原さんやお父さんに見せたあと、お姉ちゃんに見せるためにお姉ちゃんのお家に行った。
お姉ちゃんと結婚した後お父さんはお姉ちゃんの事心配だからと近所に新居をプレゼントした。
お姉ちゃんとお義兄さんとたーくんの3人のためのお家。そしていつか生まれる実の孫の為のお家。
白いお庭の綺麗な家。ドアホンを鳴らす。お姉ちゃんが出てくる。
「わー、りんな可愛い!それ制服でしょ?凄い」
お姉ちゃんが笑顔で迎えてくれた。お義兄さんもたーくんもお家にいた。2人とも見に来た。
「かわいいね。よく似合ってるよ」
「そんな制服なんだ。俺の学校は制服ないから」
たーくんは可愛いって言ってくれなかった。少し不満だけどこれぐらいの男の子が女の子褒めるのほとんど見ないし気にしないことにした。
「上がってよ。よくきたね」
お義兄さんは優しく家に招き入れてくれた。シンプルで明るいお家。羨ましいなぁと思う。
好きな人と新しいお家。とても素敵に思う。純粋に羨ましかった。自分の家も広いけど、お父さんは仕事であまり家にいないし家政婦さんと私の世話の笹原さんしかいないから。家族じゃないから。だからこの家に来るのは大好きだった。
「りんな、制服ずっと着てたら入学式までにしわくちゃにならない?私の服でいいなら着替えない?」
お姉ちゃんは小柄なので私より少し大きいくらい。私もそんなに大きくないんだけど。服貸してもらって着替えた。お姉ちゃんは制服をハンガーにかけてくれた。
「もう2人とも中学生になるんだね」
お義兄さんがなんだかしみじみ語り出した。なんだか不思議だった。
「あんなに小さくて初めて会った時高弘と同い年だし一緒に育てられるか心配だったよ」
そう言った時お姉ちゃんが慌てて立ち上がった。
「あなた……。それは……」
そうお姉ちゃんが言った時お義兄さんは口に手を当てて慌てだした。あまりにもおかしい。一緒に育てる?私を拾ったのはお母さんだ。お義兄さんとは関係ないのに。
「どういう事だよ?りんなは確かに拾われたけど、お父さんが育てる?意味が分かんないよ」
頭がくらくらして話せない私を置いてたーくんが話してくれた。
「あ……勘違いして……」
お義兄さんは慌てて取り繕うとした。でもそんな様子をみて。たーくんはテーブルをバンと叩いて言った。
「子供だと思って誤魔化せると思うな。そこまで子供じゃない」
たーくんは元々何かを感じてたのかもしれない。ふとそう思った。そうじゃなきゃここまで突っ込む人じゃない。
比較的穏やかなのに。
「ふぅ、そうだよな。高弘はあの学校に合格出来るくらいだもんな」
「そういう事じゃない」
何だか穏やかじゃない。私の事なのに。私は慌てて声を出した。
「どういう事ですか?私を拾ったのはお母さんだし、その時お義兄さん居たんですか?そんなの聞いてないけど……」
お姉ちゃんは手をもじもじさせながら深くため息をついた。そして顔を上げてお義兄さんのことを見つめた。
「キリもいいし話してあげた方がいいと思うの。早いと思ったけど……いい機会だし」
お義兄さんは仕方なさそうに頷いた。そして語り出した。私の過去を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます