第3話
私はコネで入学出来たと思われないように頑張った。
学校でも、塾でも。
家庭教師もつけてもらったんだけど私にはみんなで受ける塾の方があってたみたいで、家庭教師はやめてもらった。
たーくんはND特別クラスに入ったらしく、私より塾が大変になったらしい。
でもたーくんは勉強が楽しいみたいで。
差を凄く感じた。お姉ちゃんも義理の息子の受験でちょっと焦ってるようにみえた。
何だかんだで親子になってると私にはみえた。
年が明けたら受験がはじまるから。
私たちの受験は毎年センター試験と同日にはじまるから。
テレビでセンター試験の話をされるとドキッとする。
上手くいくんだろうか。
毎日こんなに塾や宿題で頑張ってるんだから実力で合格したい。
焦っても仕方ない。塾の模試は私はA判定だったけど、たーくんはB判定でぎりぎりだって。
心配する。人の事心配してる場合じゃないんだけど。
たーくんの受ける学校は2日試験があるから。
お姉ちゃんと希望校の近くにホテルとって受験なんだって。
私も頑張る。
試験は終わったらすぐに発表される。マークシートじゃないのによくこんなに早くに出るなと思った。
私の前日にたーくんの発表があった。合格だった。ぎりぎりでの合格だったらしい。嬉しかった。
私も父の経営する学校に合格した。
周りの何人かは親が理事長だからって言う人もいる。
でも無視することにした。
うちの小学校からは半分位が私学に行く。当然たーくんの進学校、私の進学校に落ちた子もいる。
嫉まれたりしたけど。 新しい環境で頑張りたいと思ってた。
ふと、私はたーくんを目標にしてて好きだったのかな?と疑問に思うことがあった。
たーくんが頑張ってたから私も頑張ろうと思ってたから。
好き……なのかな?よく分からないやと思ってた。周りの友達は誰々がかっこいい、好きとか言ってるから気にしだした。
結果的に好きだったかは分からない。でも。たーくんに好きな人が出来たから。恋なのか分からない気持ちは捨て去ることにした。よく分からないものにしがみつきたくないもの。
たーくんの想い人はお母さんの入院先の病院にいた。
2つ年下の女の子だった。たーくんもお姉ちゃんと一緒にお母さんのお見舞いに来てくれてたから。そこで、出会ったんだって。
アレルギーと心臓の何かの病気で安定するまで入院してるとの事。
アレルギーで手術するのがなんでも難しいらしい。そして手術するには体力が必要。だから手術する為に検査やなんやかんやで入退院繰り返してるんだって。
たーくんはその子に恋をした。
頑張って生きてるその姿に惚れたみたい。そして。医者になりたいって言い出した。
たーくんの進学先では医者になる人が多い。だから夢物語と言いきれない。まだ私は将来なんてよく分からないから凄いなぁとしか思わなかった。
たーくんの好きな子はありすという名前だった。ありすは綺麗な黒髪だった。
ありすのお母さんが入院しててもって髪の毛大切に手入れしてくれてた。それは少し羨ましかった。
お母さんのお見舞いに行っても頭は撫でてくれるけど髪の毛の手入れはしてもらえないから。当たり前なんだけど。
家に帰ったらベビーシッターの笹原さんがいる。習い事のバレエの為にお団子に結ってくれる。
でもお母さんに髪の毛手入れしてもらってる姿は。
羨ましい。贅沢なんだけど。
たーくんから愛されてて、お母さんからも愛されてて。病気なのに羨ましいと思ってしまった。
やっぱりたーくんのこと好きだったのかな?単に羨ましいのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます