第2話
私は中学受験をすることになっていた。
父の経営先の中高一貫に入る為だった。
いくら親が経営してるとはいえ、進学校なので勉強せずに入ったらついていけないのだ。
小学校は笹原さんが地元の小学校がいいと言ったのと、比較的活発だった私が小学校受験に合格するのか?母が入院してるのに両親面接は?問題が山積みだったので、初めての受験だった。
中学受験は小学校受験と違って、勉強さえ出来ればいい。
しかし父の学校は小学校の出席日が少ない(塾にかよって小学校を疎かにする子供が多いらしい)子供は受験資格すら与えられないとの事。
頑張って塾と小学校に通った。
「お前大変じゃねーの?」
クラスメイトによく言われた。
「大変だよー。小学校の宿題も塾の宿題もあるし」
「お前自分の親の学校行くんだろ?楽じゃんwなんでそこまで無理してんの?」
少し返答に困った。裏口入学をすると思われてたのだ。父が理事長だからと言ってそれだけで入れると思われるのは悔しかった。
「中学でもついていくためだよ」
「ふーん、楽に入れるんだろ?いいよなー」
私はその時クラスメイトを殴りたくなった。小学校に入る前だったらそうしてただろう。
でも、受験も近づいてるこんな時期に無駄な時間を割きたくない。
年が明けたら他の地域から受験が始まるのだ。
一応試験慣れの為に受けるのだ。
怖いけど、頑張らないといけない時期。
我慢した。
「おーい、昼休みドッチボールしようぜ」
クラスメイトは私と話すのに退屈したようで、他の子に話しかけて私の元を去っていった。
同じように必死に勉強する子は何人かいたけれど、姉の義理の息子……私の甥に当たる同級生もその内の1人だった。
「どこ受けるの?」
甥のたーくんはよく聞かれてた。頭が良かったから。
「たーくんは教えてくれないの。気になるよねー」
「たーくんって呼ぶのやめろよ、子供っぽいだろ、高弘って呼べって」
たーくんはよく呼び方で怒ってる。でもみんなの前だけなんだよ。こうやって怒るの。照れ屋さんなんだ。
たーくんのお父さんは教師で、クラスメイトみんながたーくんの進路気にしてる。
私にも教えてくれないけど、多分あそこなんだろうなぁとは思ってる。
超難関校の、通称NDに行きたいんだろう。
めちゃくちゃ入るの難しいし、なんだかよく分からない入試問題だし。
入れなかった時のこと考えて言わないんだろうなあと思ってる。
「いいじゃん。あ、たーくん今度お家行っていい?お姉ちゃんに渡すものあるから」
「勝手に来たらいいじゃん。自分の姉に会うんだから」
一応姉妹でももう他の家庭だから気を使う。お姉ちゃんと暮らしたのはそんなに長くないけど、大切にしてくれた。今でも大切にしてくれる。
実の妹じゃないのに、本当に優しい。お姉ちゃんもお姉ちゃんの旦那さんもたーくんもみんな大好き。
こんな日々が続くと思ってた。
でも。たーくんがほかの学校に進んだらこんな風に話せなくなる。だからたーくんが進学するの応援したい気持ちとしたくない気持ちがせめぎ合ってる。
「凜菜も中学受験するもんね?もう一緒に登校できないもんね」
友達のちーちゃんが悲しそうに言う。私も同じなんだな。多分めちゃくちゃ成績悪くない限り中学受験は成功すると塾でも言われてる。
でも、進学して理事長の子供って知られたら。
コネで入ったと思われる。嫌だ、怖い。
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