11-20「 嘘を重ねる男の話」


 

(────くそっ……!)

 靴音すら鳴らしながら、焦りを抑えて走り抜けるは裏街道。


 

 夢見が悪かった。胸騒ぎがする。

 

 もうあんな思いはしたくない。

 なぜあんな夢を見たのかわからない。

 どうしてそこ・・に、彼女が混じったのかわからない。


 焦る、焦る。

 視野も狭く、ただビスティーを目指す。

 

 『夢は夢だ』『夢は夢であってくれ』と、切に願いながら、息を切らし、よぎる悪夢を振り切るように。 





 言葉は、不思議だ。

 誰にいつ、どのような影響を与えるかわからない



 狙った言葉が響かないこともある。

 想像以上に、心を震わせることもある。

 何気ないひとことが、何かを動かすこともある。



 その一言は、平静・冷静を望む心を激しく揺さぶった。




「ミリアが……いなくなった!?」






 ────これは、嘘を重ねる男の話。


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