第三章 たぐり合う糸
1.颯真の糸
待ち合わせのファミレスに着くと敦裕はすでに席に座っていた。颯真は少し驚きながら椅子を引いた。スマホでゲームをしていた敦裕は顔を上げて言った。
「よう」
「早いな」
「まあな。ちょいと心配だったんでな」
敦裕はタブレットで注文を始めた。「俺、朝飯食ってないんだ。お前は?」
「いや、大丈夫」
とても食べる気になれなかった颯真はコーヒーだけ頼んだ。
「それでどうしたんよ」タブレットを戻した敦裕が笑いかけた。
「それが、その……」
颯真は喉を詰まらせた。ここへ来るまでに何度も整理してきたはずだった。しかしいざ敦裕を目の前にすると、頭の中は再び混乱した。血を噴き上げて大きくのけぞる敦裕の姿が目の裏をかすめる。
「いいから話せって。今夜は中止にしたいんだろ?」
颯真は小さく頷いた。
「中止にするのはいいよ、残念だけど。それで何があったんだよ。話してみろよ、笑わねえから」敦裕は自分の胸を軽く叩いた。
「その、話はすごく複雑で……」
「なんだよ、俺の頭じゃ理解できないって言いたいのか」
「いやそうじゃなくて、すごく馬鹿げた話だから……」
「なあ」敦裕はテーブルの上に肘をついた。「お前の言うことならちゃんと聞いてやるから」敦裕の目がまっすぐに颯真を見た。
颯真は心を決めた。
「実は、今夜あのカラオケ店を襲おうとしてる奴がいる」
亜月を、とは言わなかった。これはまだ誰にも話せない。
敦裕は口を半開きにしたまま固まった。
颯真は動きの止まった敦裕に手の平を向けた。
「言いたいことはたくさんあると思う。だけど聞いてくれ。そいつはカラオケ店を襲い、たくさんの人を殺した。いや、殺そうとしている」
「人を殺す?」敦裕が苦いものでも食べたような顔をした。「しかもたくさんの人を?」
「うん」
「穏やかじゃないな」
「そうなんだよ」
「そのジョークはお前が考えたのか? それともドッキリか?」敦裕はキョロキョロと何かを探す素振りをして見せた。
「どちらでもない」
「それじゃあつまり無差別テロってことか? それなら警察か自衛隊を呼ばねえとな」
「テロ、とはちょっと違うんだ」
「自衛隊はねえか」敦裕は楽しそうに笑った。
颯真はうなだれた。敦裕は真面目に取り合っていない。だがこれが当たり前の反応だ。こんな話をいきなり信じる方がどうかしている。
「冗談にしか聞こえないよな」下を向いたまま颯真は言った。
「まあなんというか」笑うのをやめた敦裕は額を掻きながら困ったように眉を上げた。「そうだな」
しばらく二人は黙った。うつ向いたままの颯真を、敦裕は黙って見つめていた。
「お前、マジで言ってるのか?」
「滅茶苦茶なのは自分でも分かっている。だけどこっちの世界ではお前しかいないし。とりあえず信じてくれないか。でないと俺もどうしていいのか……」
颯真は消えてしまいそうな声で言った。
「こっちの世界?」敦裕は深く息をついた。「まあいい、分かったよ。お前が俺に嘘つくわけないからな。いまいち話が見えないが、ま、とりあえず聞くよ」
颯真は顔を上げ、ありがとうと言った。
「で、無差別テロじゃないなら一体何なんだ?」
「目的は殺すこと……なんだと思う」
「誰を?」
颯真は敦裕の視線から逃げるように顔を逸らした。「俺たち」
敦裕は素っ頓狂な声を上げてまた固まった。
「多分、なんだけど」
「多分⁉」敦裕はもう一度変な声を出して目を丸くした。
颯真は敦裕に向かって両手を広げた。「声が大きい」
「つまりなにか、その誰かさんは今夜カラオケにやってきて俺たちを殺す。ついでに他の人もたくさん殺しまくる」敦裕は呆れた顔をした。「お前、自分が何言ってるか分かってるのか」
「分かってる」颯真は間髪入れずに答えた。
「お、おう、そうか」
颯真の真剣な目に押された敦裕は表情を元に戻し、それから腕を組んだ。
颯真は静かに反応を待った。敦裕はどう対応すればいいか悩んでいる。馬鹿にするなと怒るだろうか。頭がおかしくなったのかと笑うだろうか。どちらにしても文句は言えない。
やがて敦裕が腕をほどいた。
「それが本当なら、またずいぶんと恨まれたもんだな、俺たち」
敦裕の意外な態度に颯真は少し驚いた。
「それは、どうなんだろう……」そして肩を落とした。「やっぱり信じられないよな、こんな話」
「ふうむ」敦裕は唸った。「誰なんだよ、俺たちを殺そ――」
「お待たせしました」女性スタッフが横から料理を差し出した。敦裕の前にクラブハウスサンド、颯真の前にコーヒーを並べると、スタッフは一礼をしてその場を離れた。その背中を見送ってから敦裕は声を落として言った。
「誰なんだよ、俺たちを殺そうとしているのは」
「それは……分からない」
「殺す理由は」
「分からない」
「じゃあなんでお前はそのことを知ってるんだよ?」
当然の質問に颯真は口をつぐんだ。
お前や咲世が殺されるところを俺は見たからだ。そして爆発が起こり、時間が二つに裂けた。亜月と俺は別々の時間を滑り落ち、今は異なる世界にいる。
そんなこと言ったら今度こそ帰ってしまうだろう。
「そういう情報を得た」
とだけ颯真は言った。もう少しまともな嘘はないのかと自分でも思った。
「なんだそりゃ。俺に言えないことなのか」敦裕は眉間にしわを寄せた。
「ごめん、今は言えない。でもそのうち話すから」
敦裕は黙った。
「時間がないんだ」
こんな話、自分だったら絶対に信じない。子供の嘘だってもう少しましだ。言ってる本人ですらそう思う。もし自分の頭と体に残る記憶、そして向こうの世界にいる亜月の存在がなかったら、全ては夢だと片付けて今すぐ家に帰るだろう。亜月に電話して家で映画でも観よう。その後は缶酎ハイを飲みながら映画の感想で盛り上がる。それはこの世で最も愛おしい時間。だが現実は違う。そして今この世界でやるべきことも分かっている。
敦裕がサンドイッチを掴み大きく頬張った。それから二口、三口と立て続けにかぶりついて口の中に押し込むと、それを水で流し込んだ。
「血糖値が下がると頭が回らねえからな」そう言って空のグラスをテーブルに置いた。「情報源については今は聞かないでおいてやる。とにかく俺たちを殺そうとしている奴がいる」
颯真は頷いた。
「それが誰なのかは分からないし理由も分からない。そういうことでいいんだな」
「ああ」
「よし、それで?」
颯真は自分のコーヒーに口をつけた。「今のところあの男――いや、その犯人に関して分かってるのはそれだけ。向こうは俺たちのことを知っていて、さらに今夜の行先のことも知っている」
「そんなことまで知ってるのはすげえな」敦裕が身を乗り出した。「ま、襲撃しようってんだから、当たり前か」
「あの店は元々お前のお気に入りだ」
「そうそう、あの店は前に飲み会の二次会で……いや、ちょっと待て。それじゃあその殺人野郎が俺の知り合いだってのか?」
「いや、知り合いかどうかまでは……ただ何か思い当たることはないかと思って」
敦裕を呼び出す前に思いついたのはこのことだった。自分たちのこと、そして今夜の居場所、つまりカラオケ店のことを知っている。その二つの点の先にまず見えたのが敦裕だ。
敦裕は小さく首を振った。「分からんなあ」
「そうか」
「だいだいさ、そいつはなんで俺たち四人を殺したいんだ? そこ重要だろ? 殺される理由なんて思い当たらないぞ。やっぱりそこから攻めたほうがいいんじゃないか。いわゆる動機ってやつ」
「それが分かればいいんだけど」
「考えてみろよ。四人とも憎んでるなんて相当だぜ」
「そうだよな」そこで颯真はふと呟いた。「四人?」
「あん?」
「四人を殺そうとしている?」
「お前がそう言ったんだろうが」
颯真の目に、再びあの光景がフラッシュバックした。
あの男は敦裕の喉を切る前に髪を持ち上げ、顔を近づけていた。咲世の時もそうだ。背中に包丁を突き立てる前に顔を覗き込んでいる。そして最後に亜月の姿を認めた。だが逃げようとした店員の顔は見ようともしなかった。俺のことも。
殺したかったのは亜月だけじゃない。
「三人だ」
「なんだって?」
あの男は俺のことなど気にも留めていなかった。他の客や店員と同じく、ついでに殺すだけの相手だった。だが敦裕と咲世、亜月は違う。三人に対しては明確な殺意を持っていた。
なぜ俺は入っていない?
「なぜなんだ」
「は? こっちが訊きてえよ」敦裕はすねたように言った。
「なあ敦裕」
「なんだよ」
「お前たち三人だけに共通することは何だ?」
「なに言ってんだよ」
「敦裕と咲世ちゃん、それに亜月のことは知ってる。だけど俺のことは知らない。たとえばそんな人間」
「言ってることが飛びすぎてて追いつけないぞ」
「俺以外の三人を知っている? 誰なんだ」颯真は誰にともなく言った。
「お前以外、三人だけの知り合い?」敦裕は顎に手を当てた。「さてなあ、会うときはお前と二人か、あるいは四人だったし。俺と咲世にとって亜月ちゃんはお前はセットだからな」
その通りだ。三人のことは知っていて俺だけを知らない、そんなことは考えられない。
「三人だけの知り合いじゃないのか」
一瞬何か掴めそうな気がしただけに、颯真はひどく落胆した。
あそこで起きたことは何だったのか、あれは何者なのか、二つの世界はどこに向かうのか。何一つ理解できないまま、焦りだけが腹の底で膨張していく。この世界の亜月と、向こうで一人怯えている亜月、二人を救いたい。
「写真とか」敦裕が言った。
「え?」
「お前以外の三人を括ったものがあるとすりゃ、写真くらいかね」
「写真……」颯真の心臓が大きく鳴った。
「ほら、ずっと前あのカラオケ屋でお前が撮ったろ。お前らといる時に写真なんか撮らねえから覚えてるよ」
思い出した。酒の回った敦裕が突然スマホを投げてよこし、写真を撮るように言った。咲世を真ん中に、敦裕と亜月が両脇で笑っている写真。シャッターを切ったのは自分だから、そこに写っているわけがない。当然、次は敦裕が撮ってくれるものと思っていたが、すっかり酔いの回っているこいつはそのまま次の歌に突入した。
「それだけのことだ。三人だけの知り合いはいないけど、三人だけの写真ならあるって話だ」
颯真の鼓動が早くなった。
「あの写真はどうした」
「スマホに入ってるよ」そう言って自分のスマホを揺らしてみせた。
「それ、誰かに見せた?」
あっ、と口だけが動き、敦裕の手がピタリと止まった。そうやってしばらく静止していたが、やがて泳ぐように目を逸らした。
「誰かに見せたんだろ?」
「……見せたというか」敦裕は少し動揺しているように見えた。
「見せたというか?」
「SNSにあげた」
颯真は目頭を押さえた。「そのまま?」
「あ、ああ」
「加工もせずに?」
「ごめん」敦裕は額をテーブルに押し付けた。「あの時は少し酔ってて」
颯真は深い溜息をついた。「酔った勢いで自分たちの写真をネットに上げた、と」
敦裕は顔を上げた。「でもすぐ消したんだよ、まずいと思って」
「一度あげた写真は消したってだめだろう」
「それはそうなんだけど、三十秒、いや二十秒、ほんとにそれだけだったんだよ」
「飲んでたんだろう?」
「飲んでたって言ってもそれくらいは――」だが敦裕は首を横に振った。「いや、お前の言う通りだ。言い訳しても仕方ない」
普通だったらいくらでも文句を言いたいところだった。しかし今は時間を無駄にできない。あの男は今夜火を放ち、人を殺すのだ。それにこういう時、敦裕は誤魔化したりしない。きっとすぐに消したのだろう。
颯真は時計を見た。引き戻された時間は前と同じ速度で流れている。止まることも、再び戻ることもない。
「その二十秒の間に誰か見たのかな?」颯真はぼそりと言った。
「見た」
敦裕はあっけなく答えた。
「え?」今度は颯真が目を丸くした。「なんで分かるの」
敦裕の顔がすまなそうに曇った。
「一瞬で『いいね』が付いた」
あっという間のことだったと敦裕は言った。SNSにアップロードし、写真が公開されたとたん『いいね』のマークが点いた。それを見た敦裕は背中に冷たいものを感じ、急いで投稿を削除したという。
「それで?」
「そうしたら、直でメッセージが来た」
颯真は黙って先を促した。
「つまりその、『可愛い子ですね』って」
「それは……」
「亜月ちゃんのことだよ」
そんなことがあったのか。それが始まりなのか?
颯真は拳で額をコツコツと叩いた。「どうしてそんな大事なことを。いや、それはいい。で、誰なの?」
「知るわけねえよ」敦裕は言い捨てた。「SNSを見てるのが誰なのかなんて分かるかよ」
颯真はあぶなく舌打ちをしそうになった。敦裕に対してではない。どこまで行っても何も見えないことに苛立った。
「それはそうだけど」
「だけどそいつ、そのあと何回もメッセージ送ってきてさ」
「そいつが? なんて言ってきた」
「根掘り葉掘り聞いてきやがった。名前はなんだとか、歳はいくつだとか、付き合ってる人はいるのか、とか」
それがあの異様に細長い男なのだろうか。はっきりとしないが、自分以外の三人を知っていたことや、最後に見せた亜月への執着はそれで説明できる気がした。
「学生かとか、住所はどこか、とか」敦裕は指折りながら続けた。
「まるで身辺調査だな」
「そうなんだよ。とにかくしつこくて」
ネットの中で勝手に芽生えた感情。現実の外では遮るものがなく、何のブレーキも効かないまま感情はどこまでも育ち、高揚し、制御できない偏執的な恋心になる。その先にあるものがあの狂気なのか。
「だが、どこの誰だかは分からない」敦裕は小さく言った。
「完全にストーカーだな。どうやったらあの男と結びつく――」
そこで颯真はふと言葉を止めた。
ストーカー?
「どうかしたか、颯真」
颯真の脳裏にあの白い封筒が映し出された。亜月がひらひらと揺らし、自分が取り上げたあの封筒。
「いや。それでどうした?」
「もちろん教えねえよそんなこと。だけど——」敦裕は口ごもった。「あまりにもクドクド五月蝿くてよ。何て言うかもう、安全に惚れちゃってるんだよ、亜月ちゃんに。でちょっと面白くなってきちゃって」
「面白いってなんだよ」颯真の語気が強くなった。
「その……彼女は可愛いだけじゃなくて性格もいい。滅多にいない素敵な女性で、それに今はフリーだって」
「なんでそんなことを」
「お前はラッキーだ、頑張ればチャンスはある、って言った」敦裕はきまりが悪そうに笑った。
呆れはしたものの敦裕に対する怒りはなかった。むしろわずかに見え始めた光明に颯真は緊張した。
「ちょっとからかっただけなんだよ。そしたらそいつ、なんか止まらなくなっちゃって。食事に行くなら何がいいか、いつなら都合がいいか、なんて俺に相談してきやがってさ。毎日写真を見ながら楽しみにしてるなんて言ってくるし」
「写真を見ながら?」
「そうなんだよ。あの一瞬のうちにダウンロードしてたらしいんだ」
敦裕は汚いものでも見るかのように言った。
敦裕に焚き付けられた想いは、やがてネットから実世界に飛び出した。『SOH’s』で亜月に手紙を渡したのはそいつなのだろうか。だがそうだとして、なぜ『SOH's』のことまで知っているんだ? 三人の写真を手に入れただけのはずなのに。そして、せっかく相手に手紙を渡したというのに、なぜ返事も聞かず殺そうとした?
2.亜月の糸
向こうにいる颯真から連絡が来ない。何をしているの? 何をしようとしているの? 警察への説明に手間取っている、そうかもしてれない。でも言葉で説明できない黒い霧が胸に広がって晴れない。何かもっと、大変なことが起こりつつある気がしてならない。颯真はあの殺人犯を捕まえようとしているの? まさかいくらなんでもそんな……
亜月は胸に手を当てた。
颯真は争いごとが苦手なくせに正義感だけは強い。その優しさは彼の強さであり、危うさでもある。そんなところも私が彼を想ってやまない理由の一つだ。
亜月は向こうの世界へつながるスマホを取ると、颯真の番号を表示した。
いえ違う。犠牲になる人を放ってはおけない、見て見ぬふりはできない、そう考えるのは彼らしい。だけど颯真はそんなに軽率じゃない。ただの正義感だけで殺人犯を探すなんて無茶なことはしない。何かあるんだ。どうしても彼が自分でやらなくてはならない理由が。それが何なのかは知らないけれど、彼が向こうで苦しんでいるのは分かる。彼を駆り立てているものは何? それは颯真がやらなくてはいけないの? もちろん私たち四人だけが逃げて助かればいいなんて思わない。あのカラオケでは多くの人が傷ついた。それを彼が良しとしないのは分かる。けれど、もっと違う理由があるに違いない。彼は何を思いつめているの?
亜月は微かに汚れの残るスマホを見つめながら手の甲を噛んだ。
私に関係がある? そうなの? だから颯真はあんなに
颯真はいつもそうだ。いつも私のことばかり気にかけて。もっと私を巻き込んで。あなたの心を私に分けて。
亜月の目が涙を湛え、揺れた。
あんな酷いことが私にどんな関係があるの? 私は一体何をしたのだろう。私が原因を作ってしまったのだろうか。もし颯真が私を助けようとしているのなら、私だって颯真を助けたい。あの日、あの教室から、私たちはずっと一緒にいる。これからも同じに決まっている。彼が苦しいのなら、絶対に一人にはしない。私たちの道標は、いつだって二人で見つけてきた。
「お願い」亜月は指を組んだ。
早く電話をちょうだい。私は何をすればいい? 私は颯真を助けたい。もうすぐ教習所が終わる時間だ。そうすればこっちの颯真は『SOH's』に来る。私はどんな顔をして会えばいいのだろう。その顔を見たとき、泣かずにいられるだろうか。
3.颯真の糸
「つまり、あいつが俺達を殺しにくるってことなのか」
「証拠はないけど」
「とにかくさ、今夜はカラオケに行かなきゃいいんだよ」敦裕は努めて陽気な調子で言った。「そうすればそいつは俺達に何もできない」
「今夜はな」
「ん?」
「いや、それだけじゃ不十分なんだ」
あいつは狂っている。店に火を放ち、目についた人間を次々と殺していた。その狂気は時間が経つほどに増殖する。うまく言えないがそれは確信に近かった。明日になればもっと人が死ぬ。だが今夜ならあいつの行動が分かる。どこで何が起こるのか知っている。俺だけが今日の記憶を持っている。だから今日しかないんだ。明日になれば条件は同じになってしまう。
「警察に行こう」敦裕が言った。
正論だし、颯真も最初にそれを考えた。だがそれだけでは駄目だ。警察がそう簡単に耳を傾けてくれるとは思えないし、今日という日が終わってしまえば取り返しのつかないことが起こるかもしれない。自分が死ぬよりもっと辛いことが。
「それも必要だとは思う」
「俺、咲世にメールするわ。今日は中止だって。まだ仕事中だと思うけど」
「うん」
敦裕はスマホを打ち始めた。
これから何が起きるのかを知っている。相手がどんな奴なのかも分かってきた。だが、どうやってあの男にたどり着く? カラオケに行かないということは、あいつとの接点がなくなることにもなる。
颯真は親指を噛んだ。
あの男に続く唯一の線はあの手紙だ。亜月が受け取った手紙を読めばどこの誰だか分かるかもしれない。ラブレターに自分のことを書かない男はいないだろう。だが元の世界で亜月が受け取った封筒は自分が預かった。そして俺は封筒をリュックに入れ、そのまま元の世界に置いてきた。今いる世界に持ってこれたものは、爆発の時に身につけていたものだけだ。洋服に腕時計、ポケットの中にあったスマホ。リュックはカラオケルームのソファーに置いてきた。だから俺はあの手紙を持っていない。つまり誰も中を見ていない。
颯真は目を閉じて考えた。
たぐり寄せる線はあれだけだ。これから『SOH’s』に行って亜月が受け取るはずの手紙を男から直接奪い取るのはどうか。顔は知らないが、あの異様な姿を見間違えるはずはない。手紙をから身元が分かればストーカー被害を警察に届ける。そうすれば何か手を打ってくれるだろう。それが一番確かな方法だ。もし凶器を持っていたら危険だが、この際やむを得ない。亜月を巻き込むくらいなら――
颯真はハッと顔を上げた。
見間違えるはずはない?
『SOH’s』であの封筒を見せられた時、亜月は相手の容姿について何も言っていなかった。もしあの殺人鬼が封筒を持ってきたのなら、亜月はまずその姿形について言うはずだ。だが手紙の男の容姿について彼女は「普通」だと言った。あいつの姿が「普通」だなんてあり得ない。
颯真は自分の両肩を抱えた。
だとしたら手紙を書いた男、一体お前は誰なんだ。
「大丈夫か」敦裕が声をかけた。
「あ、うん」颯真は目を開けた。「で、咲世ちゃんは?」
「だめ。既読にならないし、電話をかけても出ない」
こうしている間にも時計の針は回り続けている。今の俺にとって時が解決してくれるものは何一つない。
「敦裕、とにかく咲世ちゃんに連絡を続けてくれ」そう言うと敦裕の返事を待たず、颯真は立ち上がった。「俺は亜月に電話してくる」
颯真はファミレスの外に出た。そしてこっちの亜月に電話をかけた。
何度目かのコールの後、亜月は電話に出た。
「もしもし」
颯真っはほっとして頭を垂れた。
「俺。今どこ?」
「本屋さんだよ」
「亜月」颯真は平静を装うために一度深く息を吸った。「今夜なんだけどさ、咲世ちゃんがどうしても出られなくなったらしい」
「あれー、そうなの?」
「だから今夜のカラオケは中止」
亜月に嘘をついた。もちろんそうしなければならない理由がある。あの男を止めることができるのは俺だけだ。そして同じことを二つの世界でやらなくてはならない。そのために、まずはこっちの亜月を遠ざけておきたかった。それでも口から嘘を吐き出した時には息が詰まるほど苦しかった。心の中で何度も謝ったが気休めにはならなかった。こんな嘘はいずればれるだろう。だがその時の言い訳を考えている余裕は今はない。
「ごめんな。本屋を出たら家に戻ってて。俺は教習所が終わったらその後……敦裕と少しだけ会う。そしたら亜月のとこに行くから」
亜月はだいぶ残念がっていたが、すぐに気を取り直したように言った。
「そっか、分かった」
「ごめんな」
「颯真が謝ることないよ。仕方ないね、咲世ちゃんだって忙しいし」
「ごめん。俺がそっちに行くから、部屋に帰って待ってて」颯真はさり気なく念をおした。
「りょうかい」そう言ったあと亜月が尋ねた。「颯真、大丈夫?」
「ん?」
「何かあった?」
鼻の奥に込み上げるものを、颯真は必死に堪えた。
「大丈夫。何にもないよ」
「本当? それならいいんだけど。じゃあ私はもう少し本屋さん見てから帰るね」
「うん、じゃあまた後でな」
「あとでね。待ってるね」亜月は声を弾ませてから電話を切った。
とり急ぎこっちの亜月は遠ざけた。
そしてもう一つの世界のスマホをポケットから出した。
4.亜月の糸
電話が鳴った。向こうの颯真からだ。
亜月は電話に飛びついた。
「もしもし!」
「もしもし」
「颯真、今どこにいるの」
颯真が告げたファミレスの名は亜月も知っていた。何度か行ったこともある。
声の後ろには街の雑踏が聞こえる。違う世界にある、同じ街の音。
「頼みがある」颯真はすぐに切り出してきた。
「うん」亜月はスマホを耳に当てたまま頷いた。驚きはなかった。「なんでも言って」
「まずそっちの俺に連絡して、急に用事ができたから自分は直接カラオケに行くと伝えて」
「どうして?」
「亜月に一人でやってもらいたいことがある」
「私なんでもするよ。だけど颯真に嘘つくのは……」
「それは……俺もさっき思ったんだけど」
「颯真、そっちの私に嘘ついたの?」
「いや、と言うか、そのお……うん。でもこれはやむを得なくて——」
「冗談だよ」亜月はため息まじりに笑った。「それで私は何をすればいいの」
「本当だったら今夜は中止にしたいところなんだけど、そうすると手掛かりが何もなくなっちゃうんだ。だから……」
颯真が大きく息を吸い込むのが聞こえた。
亜月は颯真の言葉を待った。何を聞いても大丈夫。この電話を取る前に、もう心は決めていた。
「今から『SOH's』に行ってほしい。そしてあの手紙を受け取ってくれ」
颯真からの頼みは意外なものだった。
「あの手紙を?」
「俺が預かった封筒は元の世界に置いてきちゃった」
「あれが関係あるの?」
「もう一度教えてくれ。手紙を持ってきた男はどんな奴だった? 背格好は?」
「どんなって言っても、普通の若い人だった。フードを被っていたし、下を向いていたから顔はよく見えなかったけど、別におかしなところはなかったと思う」
「そうか」
亜月は颯真の言いたいことを理解した。
「カラオケに火をつけたのは、すごく大きな人だった」
「うん。だからきっと別人なんだ」
「だけど手紙の人も関係あるの?」
「まだ分からない」
「それで私が手紙の人を捕まえればいいのね」
「冗談じゃない! 封筒を受け取ったらそのまま行かせていい。あぶないことはするなよ!」
「わ、分かった」いつにない剣幕に亜月は驚いた。
「封筒を受け取ったらすぐに中を見てくれ」
「うん、それで?」
「書かれていることを電話で教えてほしい。多分本人の素性が書いてあると思う。名前とか住所とか。ラブレターを匿名では書かないだろうからな。俺がこっちでその男を探しだせば、もしかしたら殺人犯につながるかもしれない。もしそうなったら亜月はそっちで警察に連絡するんだ」
それじゃあ颯真が危険なだけじゃない。そう思ったが口にはしなかった。彼がそう決めたのなら、私は一緒に進むだけだ。
「分かった。すぐに支度して出る」
「ごめん。いつも通り亜月の助けが必要になっちまった」
「ううん、それでいいよ」
亜月は電話を切った。そしてもう一台のスマホから教習中の颯真にメッセージを送った。「急用」については慎重に言葉を選んだ。
颯真に本当のことを言えないのは、こんなに苦しいものなのだと初めて知った。
亜月は重い気持ちのまま部屋を出た。
***
通りの向こうに『SOH’s』が見える。亜月は腕時計を見た。元いた世界の今日——記憶の中の昨日より五分ほど早かった。心臓の鼓動が自分の耳にも響いた。次にどうしたらいい、いや、あのとき自分はどうしたか。亜月は記憶のページを覗き込んだ。たった一日前なのに、何気ない瞬間というのは自分の行動ですら朧気だ。
とにかく行こう。時間の流れに乗るしかない。
亜月は顔を上げ、精一杯の平静を装って通りを渡った。同じシーンが目の前で再生されていく。
あの男の人は現れるのだろうか。ここでは本当に全てが繰り返されるのだろうか。覚悟を決めたはずなのに、どうしようもない不安が次々に沸き起こってくる。ほんの少しでもあの時と違う動作をしたら全てが変わってしまうのではないか。ほんの些細な違いが未来を変えてしまい、その結果手紙は渡されず、颯真の努力を無駄にしてしまうかもしれない。そうなったら私は……
そんな錯覚に怯えながら亜月は『SOH’s』の看板を凝視した。もしこれが繰り返しであるなら、もうすぐ後ろから声をかけられる。そうしたら私は少し驚いて振り向き、私ですかと尋ねる。それが経験済みのシナリオだ。
背中にちくちくと見えない針を感じた。
そのとき亜月の前方、歩道沿いに並んだ街路樹の一本から墨のような影がにじみ出てきた。木陰の下、カーボン紙で写し取ったようなその影は、ゆっくりと向きを変えて亜月の方を見た。
すべてが同じではない。ここに来たのが五分早かったから全てが前にスライドしているのだ。つまり、あの人は五分前にはあの木の陰にいたということだ。
亜月は止まりそうになる足を懸命に前へと送り出した。
意識してはいけない。この瞬間の私にとって、あれは通りを歩く”誰か”に過ぎない。気に留める存在ではない。
そう思いながら亜月は顔を伏せた。とても顔を上げていられなかった。
伏せた視線の先に男の足が見えた。
亜月は思わず立ち止まり少しだけ視線を上げた。白いパーカーの胸元が目に入った。だがそれ以上顔を上げることができなかった。顔を上げれば相手の顔を見ることができる。そうしたら颯真の役に立つにかもしれない。しかしできなかった。
目の前に白い封筒が差し出された。
亜月は何も言わず、震える手でそれを受け取った。
すると相手は亜月をかわすようにしてすれ違い、後ろに歩き去っていった。スニーカーの軽い足音が次第に遠ざかっていく。その音が消えてなくなるまで、亜月は封筒を握ったまま立ちすくんだ。
しばらくして金縛りがとけたように振り向いたその先に、もう男の姿はなかった。亜月は封筒の一辺を破ると、中から三つ折りにされた一枚のレポート用紙を取り出した。指の先で紙が震え、乾いた音を立てた。
5.颯真の糸
颯真は目の前のカップを見つめていた。カップの中ではすでに何杯目か分からないコーヒが手つかずのまま冷たくなっている。敦裕の皿はとうに下げられており、何もないテーブルの上でただぼんやりとスマホを眺めているだけだった。
通りすがった店員がテーブルの上に目をやり、心なしか困ったような表情を見せた。
そうやって黙ったまま随分時間が経った。
突然、颯真の電話が鳴った。颯真は乱暴に立ち上がるとスマホを握って店の外へ走った。敦裕はびっくりした目で颯真を追った。
「もしもし」人目を避けるように歩道の隅で電話をとった。「どうだった。受け取れた?」
だが亜月からの返事はない。
「亜月、どうした」
亜月の息遣いを感じる。颯真はもう一度名前を呼んだ。
「……受け取った」亜月は虫の音のような声で言った。
「中は読んだか?」
「……うん」
「それで、そいつの名前とか何か書いてあるか」
「……書いてない」
颯真はうなだれた。
だめか。匿名で告白なんてどういうつもりだ。やはり男の後をつけるべきだったろうか。いやだめだ、そんな真似を亜月にさせられない。
「颯真」亜月が息苦しそうな声で言った。
「どうした」
「これ、ラブレターじゃなかった」
「なに?」店の前で待ち伏せして女に手紙を渡す。告白以外になにがあるというんだ。「何て書いてあった?」
「私を……」亜月の声が震えている。「恨むって書いてある」
颯真は首を締められたように声が詰まった。
恨む?
思いがけない言葉に、颯真は必死に言葉を探した。
そこに亜月の声が聞こえてきた。
僕は恨む
全部が嘘になった 僕の存在が嘘になった
嘘になってしまったら 生きていないのと同じだ
だから死ぬ
僕は嘘でも、それは存在する
忘れるな
亜月は抑揚のない声で手紙を読んだ。
颯真の脳にその一字一句が残らず刻み込まれた。
どういうことだ。亜月のことが好きだったんだろう。どうしてこんなことになったんだ。死ぬ? 亜月を恨んで自殺をする? 亜月を殺して自分も死ぬと言っているのか。それが今夜? いや待て、あの殺人鬼は手紙の男とは違うはずだろ?
頭が混乱している。次から次へと問いが湧き上がり、思考が同じところをぐるぐる回っている。いったい何が起こっているんだ。
ただ、と颯真は思った。胸に広がるこの感じはなんだ。混乱や恐怖とは違うこの感触は。
「颯真」亜月の声がした。
「亜月、すぐに家に帰れ。いや、やっぱり一人でいるのはだめだ。そのまま『SOH’s』に」 それもだめだ。なぜかは分からないが、少なくとも手紙の男は『SOH’s』を知っている。
「どこか人の多いところにいるんだ。できるだけ賑やかな場所に」
「どうしてなの?」亜月が喉をつまらせるように言った。「どうして私は恨まれているの? 私は何をしたの? あれは誰なの?」
颯真は必死に正しい言葉を探したが見つからない。そして亜月に手紙を開かせたことを後悔した。
亜月は淡々と自問を繰り返している。それが彼女の混乱を物語っていた。
「聞いてくれ」颯真は自分の動揺を悟られないよう努めた。「俺がその男を探す。大丈夫、何とかするから」
「そんなことできるの?」
「ああ。多分ね」
颯真はきつく目を閉じた。敦裕のSNSに現れた人物と手紙の男、これは偶然とは思えない。だからといって同じ人物である証拠もない。SNSの男を探し出せば糸口になると思ったが、もし違っていたら多くの時間を無駄に捨てることになる。そうなったらもう取り戻している暇はない。
「俺がこっちの世界でそいつを止める。そして……」颯真は言葉を切り深く息を吸い込んだ。「そっちの世界でも亜月を助ける」
こっちの世界とそっちの世界。二人の間に自ら線を引いた自分に、颯真は落胆した。
「分かった」亜月の声はいくぶん落ち着きを取り戻していた。「だけど時間が……」
「分かってる。大丈夫だ」
こんな言葉は何の意味もない。ただ無責任にこの場を取り繕っただけ。追い詰められているのが見え見えだ。我ながら頼りない。まして亜月から見ればなおさらだろう。何としてでも二人の亜月を救う。その気持ちに嘘はない。嘘はないが、俺はどうすれば――
「他に……他には何か書いてないか。名前じゃなくても、何か……」
焦れるほどにボロが出てくる。自分という人間を覆っていたものが、呆れるほど薄いメッキだったのだと思い知らされた。そんなメッキすら今や無様に剥がれていく。
俺は無力だ。
「edenseeker」
亜月が言った。
「なに?」
「最後に英語でそう書いてある」
「それだけ?」
「うん。その単語だけ」
なんの暗号だ。そう呟いたあと、颯真はハッと顔を上げた。「またかけ直す。いいな、ひと目のある場所にいるんだぞ」
「う、うん。待ってる」
颯真は電話を切ると店の中に走った。
勢いよく戻ってきた颯真を見て敦裕は表情を強張らせた。
「ど、どうした」
「やりとりを見せてくれ」
「やりとり?」
「そのストーカーだよ!」
圧倒された敦裕はいそいそとスマホを操作し始めた。やがて画面の向きを変えると、颯真に差し出した。
「これ」
スマホを受け取った颯真は画面に目を走らせた。亜月に興味を示すメッセージが画面を埋め尽くしている。その全てのメッセージの上に『@edenseeker』の文字が記されていた。
こいつが手紙の主だ。
「敦裕。おまえ、このストーカーに何を言った」
「なにって……」
「他にも何か言ったろ!」
敦裕はあっけにとられたように口を開けたが、ポツリと呟いた。「いろいろ言った」。
「何があったんだ?」颯真は声を落とした。
「最初は無視してたんだよ」敦裕は言った。「そのうち分かるだろうと。そうだろ? たかがインターネット上の話だ。結局は赤の他人だし。放っておけばいいと思ったんだよ。だけど毎日メッセージが続くんで、これはさすがにマズいと思って。それではっきり言ったよ、全部嘘だって。お前をからかっただけだって。彼女には彼氏がいるしお前と会うこともない。ネット上のお遊びだって」
「それだけ?」
敦裕はきまり悪そうに言った。「会えるわけないから他を当たれって。もっともお前みたいにブサイクな奴はどこ行っても無駄だろうけどな」
「顔なんて知らないだろう……」
「さすがに言い過ぎたかな、と思ってそのメッセージはすぐ消したんだけどな」
「ずっと見てたんだろう、きっと」
いや、間違いなく見ていた。
「そうかもな」敦裕は唇をつぐんだ。
敦裕に対する文句がいくつも浮かんだ。大きな声で怒鳴りたい気持ちもあった。だが怒りはすぐ焦りに変わった。あの手紙を持ってきたのはこの男に間違いない。会えるわけないと敦裕は言ったらしいが、そいつは会いに来た。
どうやって?
いや、それは後だ。こっちのストーカーはどこにいる? まだ店の前で亜月を待っているだろうか。
颯真はきつく目を閉じた。
「大丈夫か?」敦裕が心配そうに言った。
颯真が急に目を大きく開いた。そして自分のスマホに向かって慌ただしく何かを打ち始めた。まるで喧嘩でも売るかのように画面を睨みつけ、ひたすら指を叩き続けた。
「ど、どうした?」
やがて颯真は画面を額に押し付け、誰にともなく言った。
「大丈夫だ、他に行くところなんてないはずだ」
「お前、平気か?」敦裕が颯真の顔を下から覗き込んだ。
「問題ない」颯真は素っ気なく答えて立ち上がるとリュックを肩にかけた。「用事ができた」
「用事? どこ行くんだよ?」
「何かあったら連絡する。お前も咲世ちゃんも、あのカラオケ屋には行くなよ」
「わかったけど、なにする気だよ」
「ここはお前のおごりな」
「おい、颯――」
颯真は振り向かず店を後にした。
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