魔法少女・大吉ガール
夢月みつき
第1話「大吉フォーチュン・ガール」
ここは、中吉町にあるおみくじ神社。1月1日の元日で初もうでに来た人達でごった返していた。
行列に並び
黒髪セミロングの巫女が参拝に来た人々にお守りを売っている。
この神社の娘、名を
(もう!お父さんったら。こんなに忙しい時に何をしているのかしら!)
咲夜はそう思った、が。次々と参拝に人が来るので。
それが顔に出ないように、「ありがとうございます。干支の土鈴ですね」
とにこやかに対応していた。他のバイトの巫女さん達もあくせく応対している。
その時、参拝者達が叫んだ。
「うわ~! おみくじが噛みついて来たあー!!!」
「きゃあ~、痛いっ! おみくじが!!」
「何じゃ、このみくじは~!!!」
次々と、紙で出来たおみくじ達が尖った牙で噛みつき、人々を襲っている。
「大変!みんなを助けなきゃ」咲夜は慌てて、神社の建物の物陰に隠れた。
すると、その瞬間に咲夜の肩の上に不思議な妖精、ミクジーが現れた。
「咲夜ちゃん! あいつらは、大凶将軍の手下の凶凶モンスターよ!
いつものようにメタモルフォーゼするわよ!!」
「うんっ! いくよ。ミクジー!!」
ミクジ―は赤い宝石に変わり、スマホに吸い込まれた。
咲夜はキラキラ光るスマホを取り出すと、上にかかげて叫んだ。
「大吉フォーチュン・ガールに、メタモルフォーゼ!!!」
大吉フォーチュン・ガール・イメージAIイラスト
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330667612748976
咲夜が光に包まれ変身を始めた。
おへそが出るほどお腹の部分が短くなり、
最後に髪の左右には、金色の大きな鈴が付いた赤いりぼんが現れた。
そして両手首には、鈴が付いたブレスレットと左手には、鈴がたくさん付いた
光に包まれていた咲夜は、一瞬にして魔法少女に変身した。
変身した咲夜は、さっそうと攻撃されている人達を守り、凶凶モンスターの前に立ちふさがった。
『キョ、キョ―!お前は、フォーチュン・ガール!』凶凶モンスターが叫ぶ。
「初もうでに来た人達を襲った罪。たとえ、神様が許しても
この大吉・フォーチュン・ガールが許さないわ!さあ、清めの時間よっ。」
フォーチュン・ガールは、華麗にポーズを決めた。
すると、黒い光の塊が飛んできて着地したかと思うと、光が弾け飛び突如トラのマスクをかぶり、黒光りした鎧を装備したガタイの良い男が現れた。
「俺の永遠の宿敵、大吉・フォーチュン・ガール!!
この悪のカリスマ、大凶将軍がキサマを大凶地獄に叩き堕としてくれるわ。ガハハハッ!!!」
「出たわね。悪の権化大凶将軍!! 今日こそは、許さないんだから!」
おみくじ神社で、大吉・フォーチュン・ガール対大凶将軍の戦いが始まった。
「今のうちに逃げるのよ。みんな!」
フォーチュン・ガールに言われた人達は、一斉に逃げ出した。
フォーチュン・ガールは、清めの神楽鈴を鳴らして必殺技を放った。
「大吉、フォーチュン・シャワー!!!」
神楽鈴から光のおみくじ吹雪が放たれ、凶凶モンスター達は粉々に砕け散った。
大凶将軍にも直撃する。
「ぐわーっ!」
「ぐうっ…おのれ。」
片膝をつき、フォーチュン・ガールを睨む。しゅうしゅうと身体から煙があがっている。
「おのれ! 大吉・フォーチュン・ガール!! 集まれ、モンスターども。
フォーチュン・ガールを倒すのだ!!」
『キョウ!キョ―!!』無数の凶凶モンスター達は、集まり合体すると、
凶悪なモンスター、大凶凶に変化した。
モンスターが地響きをたてながらフォーチュン・ガールを攻撃してきた。
その刹那、破魔の矢が飛んできて大凶凶モンスターに突き刺さった。
破魔の矢の力でモンスターは、痺れて動けなくなる。
「キサマは誰だっ!!」
大凶将軍が悔しそうに叫ぶ。
いつの間にか、1人の少年が立っていた。
神主のような着物を着て、白いアイマスクをした茶髪のヒーローが、フォーチュン・ガールを救ったのだ。
「私は、神社を愛し神に愛された男。破魔矢・ロビン・ザ・ボーイ。
大吉・フォーチュン・ガール! 今のうちに、大凶凶モンスターを倒すんだ!」
「分かったわ!」フォーチュン・ガールは、再び必殺技を放った。
それは、先ほどよりも強力な技だった。
「はああ~っ!」
フォーチュン・ガールは両腕に大吉パワーを溜め、光の弓を構え光の矢を放った。
「大吉フォーチュン・ライト・アロー!!!」
「ダイキョ―。バンザイ!」
大凶凶モンスターは、光の粒子になってキラキラ光りながら消えていった。
「やったな! フォーチュン・ガール」
とロビン・ザ・ボーイは、ガッツポーズをしてみせた。
フォーチュン・ガールとロビン・ザ・ボーイが、ジリジリと大凶将軍を追い詰める。
「もう、逃げられないわよ! 覚悟はいい?」
「大凶将軍覚悟しろ!」
「おのれ!おのれ!フォーチュン・ガールにロビン・ザ・ボーイ!!
今日の所は、引いてやる。この次は必ず倒してやるぞお!!!」
大凶将軍は軽々飛び上がると、空中で消えた。
「ふうっ! ひとまず一件落着っ。」
「ありがとう。ロビン・ザ・ボーイ。助かったわ。」
フォーチュン・ガールがお礼を言うと、
ロビン・ザ・ボーイはすっと、ひざまずきフォーチュン・ガールの手を取ると。
手の甲にチュッと音を立ててキスをした。
「礼にはおよばないさレディ。私は当然のことをしたまで。貴女が無事で良かった。」
にこっと紳士的に微笑んだ。
「はわわ…」と耳まで真っ赤になって、言葉にならない声を出すフォーチュン・ガール。
「それではまた、会おう!」
破魔矢・ロビン・ザ・ボーイは、すくっと立ち上がるとたたっと駆け出して途中でフッと消えた。
「ああ~っ!ロビン様っ。素敵~」
ぽ~っと頬を染めて、ロビン・ザ・ボーイが消えていった方をずっと、
見ているフォーチュン・ガール。そのうち、変身解除時間が来て元の咲夜の姿に戻っていた。
「もう、イケメンに弱いんだから! 咲夜ちゃんは」とミクジ―は、呆れて見ている。
その時、ふいに後ろから声を掛けられた。
「咲夜!」
その瞬間、ミクジ―はパッと姿を消した。
「咲夜、初もうでに来ているはずの人達が1人もいないが。何かあったのか?」
咲夜が振り向くと、父の
見ると、三郎太はあちこちケガをしている。
「お父さん、そのケガどうしたのっ!?」
咲夜が驚いて気遣うと。
「ああ、酔っ払いに絡まれちゃったんだ。酷くやられてしまって。」と苦笑いした。
「じゃ、家に戻ろ! 手当てしたいし。」
と咲夜と三郎太は、家に戻ろうとすると。
「―――よっ。咲夜!」と声を掛けられまた、振り向くと。
幼なじみの
「ああ、良矢。」
良矢は、ケガをしている三郎太の姿を見て心配をした。
「おじさん! そのケガはどうしたんですか!?」
三郎太は、良矢に酔っ払いに絡まれたことを話した。
「オレ…初もうでに来たんだけど。おじさんを早く、手当てした方が良いな。
もし、病院に行くならオレ、今日は帰るけど?」
「そうだね。確かに病院行った方が安心かも。ありがとう! 良矢。また、来てね。」
「すまないなあ、良矢君。ありがとう。咲夜頼むよ。」
三郎太はすまなそうに頭を下げた。
咲夜は良矢を見送ると、父を病院に連れて行った。
その一週間後。また、凶凶モンスターを引き連れて大凶将軍が現れた。
ふと、なぜか父と同じ所にケガをしている将軍に気がついた。
フォーチュン・ガールは、恐る恐る聞いてみる。
「ねえ、将軍。そのケガどうしたの?」
「キサマには関係ないっ!かかれ。凶凶モンスター達!!!」
大凶将軍は、怒り凶凶モンスターを放った。
「せっかく人が心配してるのにー!」
途中からロビン・ザ・ボーイも加わり、戦いは続いた。
戦いが終わった後、三郎太はさらに酷いケガをして帰って来た。
心配して聞くとまた、酔っ払いに絡まれたという。
―――月日が経ち……
咲夜は三郎太が、大凶将軍という衝撃の事実を知る。
三郎太は妻、真冬が大凶魔王悪グロスにさらわれたため。
救い出すために手下になって、救出する機会を狙っていたのだ。
真冬は、咲夜が幼い頃に亡くなったと父に聞かされて育ったが。魔王にさらわれていた。
父は、これまでの事を娘に号泣して詫びた。
咲夜達に負けた後、ボスの悪グロスに暴力を振るわれるという。
それを聞いた咲夜は、怒りに震え三郎太に協力して、母を救うために魔王と戦うことになる。
破魔矢・ロビン・ザ・ボーイも加わり、母を救い世界を救う最後の戦いへと
おもむいてゆくのだ。
―――戦え、魔法少女大吉・フォーチュン・ガール!負けるな。破魔矢・ロビン・ザ・ボーイ!そして、大凶将軍!世界の命運は君達に託された!
(終わり)
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最後までお読み頂いてありがとうございます。
魔法少女・大吉ガール 夢月みつき @ca8000k
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