第二章 推し様と思いがけない急接近!?⑤
大広間を照らす
王城の舞踏会場は昼かと
会場に入ってからずっと、私の視線が追いかけているのは、もちろんレイシェルト様だ。
高貴さと
ああっ、
何百年も昔、勇者が
『邪神の欠片』はふだんは何の
これが
私の目には、人の負の感情が黒い靄として見えるけれど、澱みの獣ほどの高濃度になると、
決して邪神が復活することがないように澱みの獣を討伐するのが、勇者の血を受け
聖女や聖者が澱みを散らし、光神アルスデウス様の加護を宿す王族が欠片を
というか、セレイアが討伐に同行したことは一度もないらしい。
『
と、本人が
祓いの儀式の直前に行われる神前試合では、今年もレイシェルト様の勇姿を拝見できるのよね……っ!
私はレイシェルト様に視線を向ける。今レイシェルト様がにこやかに
レイシェルト様の実のお母様は十年前に病でご
レイシェルト様とミシェレーヌ様の間には、今年で五歳になられた
「
とティアルト様に向けられたレイシェルト様の
「まだ大丈夫だもん! 僕だってもう五歳なんだから!」
「あらあら、ティアルト。でも、無理をしてはだめよ?」
お
レイシェルト様のお声に聞き
やっぱりあの声、レイシェルト様にほんと似てた……っ! もしレイシェルト様にあんなことを言われたら、興奮のあまり脳みそが融けてしまいそうだ。
でも、今はレイシェルト様自身を
と、レイシェルト様達のそばに、美しく
「レイシェルト
公爵家という家格に加え、男性の聖者は何人かいるものの聖女としては現在
ちなみに私は、レイシェルト様と直接お言葉を交わしたのは、二年前の成人の
レース編みで自作したリリシスの花のモチーフをつけた
「まあ、ご覧になって! あんなにセレイア様を
「よく顔を出せるものね。わたくしでしたら、
「セレイア様もお気の毒に。血を分けた姉が邪悪の娘だなんて……」
聞き慣れた
ずきりと針が
公の場に出るたび、何百回と言われ続けている
大丈夫。今の私はちゃんと対処方法を知っている。レイシェルト様のお姿を見れば、心の痛みなんてあっという間に……。
いつの間にか下を向いていた視線を上げた私は、レイシェルト様とティアルト様のお姿が見えないことに気がついた。どうやら場を外されているらしい。
レイシェルト様がいらっしゃらないなら、ここにいる意味なんてない。外の空気を吸って、気分
「まあっ、邪悪の娘が
「このまま
くすくすと笑いながら追いかけてくる言葉を
大丈夫。
外廊は無人だった。
春の夜風は、広間の熱気で
中が見えやすい窓はどれだろうと、ちらちらと広間を
角にさしかかったところで、どんっと勢いよく誰かにぶつかった。
「ひゃっ!?」
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