午前9時

山の自然とそれに挑む人々に思いを馳せる天身。

目出し帽の男が、某お笑い芸人に似ていると主張する雅代。



「顔の殆どが隠れているのに何が似てるの?」



半笑いで天身がツッコミを入れた頃、午前9時がやってきた。

言葉通り、北海道開発局の2人は、除雪車に乗って戻って来てくれた。

さっきと同じ場所に停車する。


再び目出し帽の男が運転席に近付いて来る。

雅代は窓を開けて話を聞く。



「フック取り付けますんで、取り付けたらバックしてください。」



「はい」と返事をし、作業を待つ。

そして、合図があり、雅代はバックのためにアクセルを踏む。

除雪車が、2人を乗せた車を引っ張るのが感じられた。


しかし...



すぐにその手応えは無くなった。

フックが外れてしまったのだ。

雅代はブレーキを踏んだ。

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