自由

目出し帽の男が、再びフックを取り付ける。



「もう1度、やります。」



さっきと同様に、合図を受けてバックする。

けれど、またしても、後ろに引っ張る力はガクッと抜けた...。


その結果を受けて、除雪車の運転手が降りてきた。

何かをしているようだけど、こちらに対して何もアクションが無い時間がしばし流れた。

かなり固くフックを取り付けているのか?



「フックしっかり取り付けたんで、もう1回。」



目出し帽の男が、ドアを叩いて合図する。

雅代が強く踏み込む。



ズボッ!



車は大きく縦揺れし、雪から抜け出す音を立てた。



ズボボボボッ!



さらに激しく縦揺れし、音と共に車が後ろに引っ張られた!

目の前の景色も動く!


窓の外の目出し帽の男が、その動きを追い駆けて来た。



「そのまま道路の右につけてください。」



雪塊から自由になった車を、雅代は男に言われた通りに動かした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る