待ち

男2人の力でも、車体はビクともしなかった...。



「9時になったら道路封鎖するから、その後で引っ張り出してやる!待っとけよ!」



除雪車の運転手は大声でそう言った。

目出し帽の男を回収し、除雪車は再び去って行った。



「待つ以外の選択肢ってある?」



天身は、楽しげにそう言った。



「外に出て助けを求めてフラフラする人もいたんじゃない?」



追い詰められたら、人はこの吹雪の中に活路を求めるものなのだろうか?


冬山登山をする方々は、この環境の中を突き進むのにどんなトレーニングをしているのか?

僅かな時間外に出るだけで、露出した皮膚からおかしくなり、身体がロクに動かなくなるというのに、山を頂上まで登り切り、さらに下って帰るなんて、尋常ではない。

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